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.社会  投稿日:2015/3/27

【仕事は名刺でするものではない】~新・社会人へのメッセージ~


東芽以子(フリーライター・元テレビ局報道記者)

 

 

季節が真逆の南半球、ペルーに住む私ですが、この時期の通勤風景を思い浮かべるだけで、新年度のパリッとした空気を肌に感じるような気がします。

新社会人の皆様は、もう、自身の名前が入った名刺を手にしたでしょうか。名刺というのは厄介です。地方テレビ局に就職し早々に、「報道記者」と印刷された名刺を手にした私ですが、すぐには一人前の仕事ができない訳ですから、現場で取材相手に名刺を渡す度、情報も取れない、原稿も書けないのに、名刺について回る肩書きの責務を重く感じる日々が続きました。

自分の肩書きには自信のない一方、取材相手の肩書きには恐れをなす有様で、今思うと笑ってしまいます。本来、自分の仕事は、事実や問題を追究することであるのに、その入り口に立っただけで恐れおののいていた訳です。

当たり前ではありますが、企業の名前や役職は、自分の社会での役割を明記するものであるとはいえ、個人の名前を奪うものではありません。逆に、愛社心が強すぎてか、自ら、個人名を社名にかすめてしまう人もいますが、これもおかしな話です。自分を偽ることなく、かつ、矜持を持って、仕事に向き合ってください。

自分はこれまでと変わらず一個人で、個人の目標を実現するために社会で働いている、だからこそ、組織のチームワークに謙虚に関わることができるのだと、今では思います。

そしてもう一つ、将来、子供を持つことを希望する女性へ。子供を出産できる時期は限られていることを心の片隅に置いてください。結婚・離婚や出産はいつでも選択できますが、女性が出産できる時期は限定的です。多種多様な価値観がある事、また、社会的、政治的に産後女性の社会復帰が容易でないことも理解した上で、少し乱暴ですが、個人の意見を書きます。

子供を産み、育てることの尊さ、それによる幸福感、人間的な成長は想像以上です。子供を持つことを希望するなら、その時期が来た時に、変化を恐れず、妊娠、出産を選択してください。

その後、仕事のやり方や生活スタイルは大幅に変わるかもしれない。しかし、志を捨てなければ、何であれ、成せないことはない、と感じています。兎にも角にも、皆さんが充実した社会人生活をスタートできますことをお祈り申し上げます。


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