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.国際  投稿日:2015/8/25

[宮家邦彦]【北朝鮮、「準戦時状態」解除】~南北高官会談合意、衝突回避~


 宮家邦彦(立命館大学 客員教授/外交政策研究所代表)

「宮家邦彦の外交・安保カレンダー(8月24日-30日)」

執筆記事プロフィールblogWeb

(以下の記事は24日時点のもの。北朝鮮と韓国の高官会談は25日未明、緊張緩和に向け合意に達した。)

今週の焦点は何といっても南北朝鮮高官会談の行方だろう。発端は今月4日に軍事境界線の南側で韓国兵2人が地雷で負傷した事件。10日には韓国側が地雷は北朝鮮が最近埋めたと断じ、報復として拡声機による宣伝放送を11年ぶりに再開した。

拡声機は巨大なもので、遠くまで音が通るだけでなく、内容も金正恩を厳しく非難するものらしい。たかが放送とは思うのだが、北朝鮮としても我慢ならないのだろう。14日に北朝鮮は地雷への関与を否定、翌日には韓国に放送中止を要求している。

17日から米韓合同演習が始まったが、21日に北朝鮮は「準戦時状態」を布告する一方、南北高官会談を提案している。再び危機を煽ることで北朝鮮国内の引き締めを狙い、更には宣伝放送を止めさせて対韓国勝利を誇示するつもりなのだろうか。

 

〇東アジア・大洋州

24日の時点でも会談は続いている。内容は平行線でも話が続くということは、南北とも戦争する気などないということか。今北朝鮮の暴発を最も恐れているのは中国だろう。北京の言うことも聞かずに自滅でもされたら、中国のメンツは丸潰れだ。

いずれにせよ、米中とも第二次朝鮮戦争を望んでいない。中国は南北妥協に向け働きかけるかもしれず、米国もそれを内々歓迎するのではないか。なお、24日から日本の国交省とタイ運輸省との間で新幹線建設に関する協議が行われる。

 

○欧州・ロシア

欧州は相変わらず。24日にベルリンで独首相・仏大統領・ウクライナ大統領の三者会談が、27日にはウィーンでウクライナ・EC・米国間で天然ガス協議が開かれる。また、28日からはアゼルバイジャンでロシアとトルコのエネルギー大臣会合がある。

 

〇中東・アフリカ

今週からイランとGCC諸国との協議が始まる。議題は勿論イラン核開発問題だろう。25日にはエジプト大統領が訪露の予定であり、別途同時期にサウジとヨルダンの国王が訪露するとの噂もある。流石に中東でのロシアの存在感は決して小さくない。

 

〇アメリカ両大陸

トランプ候補の勢いが止まらない。17人もの候補が乱立する共和党内でトランプ氏の支持率がダントツということは、米国民、特に中年以上のブルーカラー白人男性のワシントンに対する憤怒が渦巻いているということだ。

トランプ候補が大統領に選ばれることはないが、このまま彼の人気が続けば共和党は分裂する。そうなれば仮にジェブ・ブッシュが共和党候補に選ばれても厳しい戦いになるというのが現時点での相場観だろう。

その上、ヒラリーまでもが脱落したら・・・。米大統領選挙は本選挙400日前から民主・共和両党とも星雲状態、大乱戦・大混戦となる。この壮大な消耗戦、止めろとは言わないが、せめて少しでも短くはできないものか。

 

〇インド亜大陸

24日にインドとネパールが石油パイプライン建設で合意する。同日からインドの対外関係相がエジプトを訪問する。今週はこのくらいにしておこう。

 

いつものとおり、この続きはキヤノングローバル戦略研究所のウェブサイトに掲載する。

タグ宮家邦彦

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