[渋谷真紀子]演劇と教育プログラムを組み合わせた活動で社会貢献〜子供たちに新しい世界を提供するアメリカ演劇教育の最前線
渋谷真紀子(ボストン大学院・演劇教育専攻)
私のボストン演劇教育留学も秋学期が終了。最初の3ヶ月は大変でしたが、今は春学期に向けて、やりたいことやアイデアが沢山溢れてきています。
この3ヶ月で興味深いと感じたことは、劇場や劇団プロダクションが地域貢献に力を入れているということです。彼らは運営費の多くを寄付金で賄っている為、公演を通じて社会に還元することがとても重要です。その一つが教育プログラムにあります。多くの団体はEducation Teamを抱えていて、公演に関連する教育プログラムを地域に提供しています。
私が担当したワークショップを例にあげれば、American Repertory Theater(今年のトニー賞演出家Diana Paulusがアートディレクターを務めるアメリカを代表する劇団のひとつ)は、The Heart of Robbin Hoodの公演に関連して、地域の子供たちへの教育プログラムを提供しています。
そこでは、小学校から高校生の子供たちに、地域を救うヒーローという劇のテーマに関連し、ロビンフッドのようなヒーロー物語を書こう!という脚本を書くワークショップを実施しました。
この企画の面白いところは、子供たちが書いた脚本を実際に舞台に立つ役者さんが演じてくれ、更にそのドラマをPodcastで世界へ発信してしまう!という壮大な仕掛けであることです。
もちろん、こうした演劇活動が教育プログラムを提供することはとても一般的で、地域の学校に出張授業に行くことも珍しくありません。
私が参加した大学院のプロダクションではEducation teamとして、作品のテーマをより深く理解できるようなワークショップを考案し、学校の先生が授業で使えるような学習キットも併せて制作していました。公演と合わせて、ボストンの10校程の小学校で実施し、生徒達だけでなく先生方からも大変好評でした。
このように、観劇と前後の教育プログラムを組み合わせることによって、参加者に興味や理解を深めてもらうことが狙いです。私も実際にワークショップを通じて、その効果を体感することができました。磁石のように食いついてくれる子供達。次は何をする? これしたい! と観劇とワークショップをきっかけに中心に世界が広がってゆく様子を間近で見ることができました。
演劇教育のど真ん中を経験することで、舞台芸術と地域の繋がりの深さを実感したわけです。今後も多くの子供達と劇を通じた新しい世界への開拓をして行きたいと考えています。
因みに個人プロジェクトの方も着々と準備を進めています。具体的には、日本の有名なおとぎ話をベースに英語劇を作っています。幸い先日手掛けたワークショップが好評だったお陰で、来学期は小学校のアートフェスティバルで2クラスの演出をさせてもらえることになっています。時代を超えても変わらない日本の心「思いやり」と国境を越えて伝えていきたいと思っています。
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