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政治  投稿日:2015/9/2

[清谷信一]【防衛省、機銃の調達はMINIMIのみ】~小銃用弾倉による空砲射撃で“弾詰まり”~

MINIMIその2
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清谷信一(軍事ジャーナリスト)

執筆記事プロフィールWebsiteTwitter

平成28年度の防衛省概算要求で、機銃の調達は陸幕5.56ミリMINIMI 30丁(8千万円) のみで12.7ミリM2重機関銃、7.62ミリ74式機銃など他の機銃も含めて調達を行わない予定だ。また同様に空幕、海幕も機銃はMINIMIのみを調達する。海幕は2丁(400万円)、空幕は11丁(3千100万円)を要求する。

防衛省は平成26年度に機銃メーカーである住友重機械工業が平成26年度に性能や耐久性などのデータを改ざんし、防衛省が定める発射速度や目標命中率などの基準を満たさないまま納入していたことが発覚したのを受け、平成26年度、27年度は3自衛隊ともMINIMI、74式、M2のすべて機銃の調達を停止してきた。その理由として企業側の製造工程の見直しや、監督検査の強化など必要な措置を講じるためとしている、また防衛省は、12.7mm機関銃については、現行のM2から切り替る可能性を示唆している。

今回陸自の予算担当者はMINIMIの調達を再開したのは、MINIMIに関しては対処処置が完了したためとしている。だが私の取材では自衛隊のMINIMIは本来89式また、M4などNATO規格の5.56ミリ機銃の弾倉が使用可能であるが、89式弾倉の使用は暴発が起こる可能性があり、現場では禁止されている。

MINIMIこのMINIMIの暴発の件を陸幕の予算担当者に質問したが、この件に関しては承知していないという。 陸幕広報室はMINIMI及び89式小銃用弾倉ともに欠陥はないものと認識していると回答している。「MINIMIIは製造時の製品試験において89式小銃用弾倉による射撃試験を実施しており射撃可能な事を確認しています。ただし、小銃用弾倉で空包射撃を行う場合、空包の弾頭の形状の違いから弾詰まりが発生するため、小銃用弾倉をもって空包を射撃することは 禁止しています。従って、『事故が起きるので使用を禁止している』については、小銃用弾倉による空包射撃の禁止等の使用制限が誤った形で伝わっているものと思われますので、本回答をもって訂正させていただきます」

だが、演習では実弾を使うことは少なく殆どが空砲だ。訓練で習熟していないものを、実戦で使えるだろうか。また筆者が取材した隊員は「欠陥」と認識していた。訓練で使用せず、多くの隊員が「欠陥」として認識していれば、機能に問題がなくとも実戦で現場の隊員がその機能を使うことはないだろう。

住友重機はこの3年間での機関銃の受注は来年度のMINIMI、43丁(1億1千400万円)だけであり、事業は厳しい操業が続くことになる。10式戦車や来年度から調達が予定されている機動戦闘車には砲塔上に12.7ミリ機銃、主砲の同軸に74式機銃が使用されているが、本年度で調達された10式戦車及び、来年度で調達が予定されている10式戦車及び機動戦闘車用の機銃は調達されず、陸自が保有している機銃が転用される。12.7ミリ機銃に関しては日本製鋼所も参入を計画しており、同社にとっては特機部門の経営は難しい岐路にたっている。

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写真:©清谷信一

 

 

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