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IT/メディア,国際  投稿日:2015/12/24

[久保田弘信]【日本政府に身代金要求か?】~ジャーナリスト安田純平氏シリアで拘束~

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 久保田弘信(フォトジャーナリスト)

執筆記事プロフィールBlog

シリアに向かった安田純平君が拘束されたというニュースが入ってきたのは半年近く前のこと。第一報は「ヌスラ戦線に拘束されたらしい」というものだった。

後藤さん、湯川さんの時と違って、拘束したのがISでなくヌスラ戦線で拘束に関する公なメッセージは届いていなくて、日本の中でも大きな話題とはならず知る人ぞ知る事件となっていた。人質事件が起きた時、解放して欲しいなどと騒ぎが大きくなればなる程人質の価値が増してしまう。そのため、僕が日頃から付き合いがある日本のテレビ局とお互いに情報が入り次第、情報交換をする日々が続いていた。

人命第一ということで騒ぎが大きくならないように気を使っていた。そんな時、ぶら下がり会見で某テレビ局が「日本人が拘束されているという情報が入っているが本当か?」と質問してしまった。報道が大切か、人命が大切か、少しは気を遣って欲しいと思った。一時、安田純平氏がシリアで拘束されたらしい、というニュースが流れたが、日本の報道機関は詳細をつかむことができず、ニュースはあっという間に収束していった。

シリアの友人から、「確かに日本人が拘束されているようだ。しかし、一人ではなく二人拘束されているという情報がある」など裏が取れない情報がいくつも入ってきた。その後情報が途絶え、本当にヌスラ戦線に拘束されているのか、他の引き渡されたのか全くわからなくなってしまった。そして、数ヶ月前、トルコとの国境沿いで安田君を解放する!という噂が流れ、かなりの期待を持っていた。しかし残念ながら解放には至らず、その後情報が途絶えていた。

12月22日、突然、国境なき記者団が「安田純平氏が拘束されていて、身代金の支払い期限が迫っている!と声明を出した。日本の新聞社の取材に対して国境なき記者団は、安田さんの身代金の金額や支払いの期限は「言えない」と。そして、国境なき記者団のベンジャマン・イスマイール氏は「日本政府がジャーナリストの救出に必要な措置をとるよう求める」とコメントしている。

ISとの接触経験もあり、安田君の家族と連絡を取り続けているジャーナリストの常岡浩介氏は、安田君の家族に身代金の要求はされていない、と話している。何故今になって突然国境なき記者団が声明を発表したのか。国境なき記者団はいつから安田君の身代金要求に関して知っていたのか。いくつもの疑問が残る。

常岡氏は無責任な発言をする人ではないので、安田君の家族に対しての身代金要求はないと思える。すると考えられるのは、日本政府に対して身代金の要求がなされ、日本政府が要求を無視していてその支払い期限が迫っていると推測できる。後藤さんの時の日本政府の対応を振り返ると可能性があると思えてしまうのが悲しい。ベンジャマン・イスマイール氏の微妙な発言は日本政府がすでに要求を突き付けられているとも取れる。

イラク戦争開戦直前にバグダッドで一緒にいた安田君。とても純粋で使命感を持ったジャーナリストだ。また自己責任論が出てくるだろうが、ジャーナリストが現場に行くのは必要なことだ。今も毎日シリアから届く、空爆の被害者の映像。戦争という“大義名分”の下で現在も非人道的な行為が繰り返されている。誰かが伝えなければ我々は犠牲者の存在さえ知ることができない。

そうした中、国境なき記者団の声明があまりにも曖昧すぎるのが気になる。人命がかかっているから、明言できない部分があるのもわかるが、この半年間、解放を待ち続けてきたジャーナリスト仲間としてはもう少し情報がほしい。いや、なくてもいい、水面下で全て解決して、安田君がが無事帰ってきてくれるなら。

ジャーナリスト仲間の無事を祈る。

 

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