ゴーンと司法
.国際  投稿日:2016/2/11

米大統領選:共和党、ますます予定不調和~米国のリーダーどう決まる? その3~


大原ケイ(米国在住リテラリー・エージェント)

「アメリカ本音通信」

ニューハンプシャー州の大統領予備選挙(プライマリー)が9日、終わった。下馬評通り、共和党はドナルド・トランプ、民主党はバーニー・サンダースが勝ったので、この両トップの結果については何のニュース性もない。この結果が今後、他の州で行われる大統領候補戦を予見するものになるかといえば、それもない。

というのも、ニューハンプシャーの土地柄が他のアメリカの州に比べてあまりにも特異だからだ。住民の殆どが白人で、州のモットーが”Live free or die(自由に生きられないなら死んだ方がマシ)”という過激なもので、最後まで自分がどの候補に一票を投じるかを決めないことで知られ、州内の共和党支持者と民主党支持者が拮抗する州だ。

民主党側では、当初から無敵の有力候補と目されてきたヒラリー・クリントンが苦戦していると見る向きもあるだろう。だが、ニューハンプシャー州といえば、サンダース候補が上院議員を務めるバーモント州のお隣、つまりは地元だ。サンダースがミレニアム世代と呼ばれる若い世代の支持を集めているように報道されているが、この層は集会に集まってワーワー騒ぐのは好きでも、どーんと献金できる資産もなければ、地道に草の根で投票者登録運動を続けられるかというと、心もとない。「対戦候補を攻撃したりせず、正々堂々、公明正大に選挙運動をする」と公言したサンダース候補を応援するあまり、ヒラリー支持の著名人をネットで攻撃するなど、問題も報告されている。

共和党では、いよいよドナルド・トランプが大統領候補となる第一歩を踏み出したのか、それともニューハンプシャーをきっかけに主流派の候補が絞られていくのか、2位以下の候補の成績と今後考えられる展開を見てみよう。

テッド・クルーズ:

指名争いの火蓋を切ったアイオワ州で勝利を収めたが、トランプ以上に共和党内で嫌われているのがクルーズだ。頭が切れて弁舌さわやか、学歴も立派なエリートだが、その彼がよき夫、よき父であることをアピールし、保守的な福音派キリスト教徒の支持を取り込もうとすればするだけ「腹黒い」という印象を持たれてしまう。アイオワの党員集会でも、失速中だった対立候補の1人、ベン・カーソンが選挙戦から撤退するので、代わりに党員集会ではクルーズ候補を推すように、とデマを流したと糾弾された。

ジョン・ケーシック:

これまでの調査で数%の支持しかなく、現役のオハイオ州知事ながらも知名度が低かった。過激な発言と醜い言い争いを繰り広げるトップ争いの陰で、リベラル寄りのマスコミからは「共和党で唯一マトモな候補」とされてきた。そんなケーシックだからこそ、へそ曲がりなニューハンプシャー州民の支持をとりつけ、トランプに続いて2位となった。

今後はもし、共和党の主流派がそれに目をつけ、他の主流派候補(マルコ・ルビオ、ジェブ・ブッシュ、クリス・クリスティー)から手を引いて、ケーシック支持に回ったら、充分にこの予選を生き残れるかもしれない。ただし、先日伝えられたようにマイケル・ブルームバーグ(大富豪、前ニューヨーク市長)が独立派候補として名乗りを挙げると、票はそっちに流れるだろう。

マルコ・ルビオ:

アイオワ戦で健闘し、3位につけて鼻高々に「勝利」スピーチをしたルビオは、その後に主流派の支持を集めていくとも目されていたが、ニューハンプシャー直前のディベートで「発言が自動音声再生のロボットのようだ」とクリスティー候補にさんざんいじられ、反論どころか正にロボットのように用意されたスローガンを繰り返すという失態を演じ、後退した。若さをアピールする割には公約の内容が古臭く、議員としての実績も浅い。

ジェブ・ブッシュ:

選挙戦が始まる前は民主党のクリントン夫妻に負けない政治一家の後継者として目されていたが、蓋を開けてみれば兄よりもさらに出来が悪いとの評価が拭えず、主流派の献金が他に流れるようになれば直ちに撤退を余儀なくされるだろう。

(この記事は【米大統領予備選挙開始】~米国のリーダーはどうやって決められるのか その1~米大統領選:アイオワで波乱の幕開け~米国のリーダーどう決まる? その2~ の続きです)

 


この記事を書いた人
大原ケイ英語版権エージェント

日本の著書を欧米に売り込むべく孤軍奮闘する英語版権エージェント。ニューヨーク大学の学生だった時はタブロイド新聞の見出しを書くコピーライターを目指していた。

大原ケイ

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