2017総選挙ファクトチェックプロジェクト
国際  投稿日:2016/4/26

危機感ない韓国 北朝鮮核実験に対し

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 宮家邦彦(立命館大学 客員教授・外交政策研究所代表)

「宮家邦彦の外交・安保カレンダー(2016年4月25日-5月1日)

今週の原稿は25日深夜ソウルのホテルで書いている。北九州市での講演の後、そのまま福岡空港から仁川に飛んだ。今回の韓国出張では当地の有力シンクタンク・アサン研究所の年次総会に参加する。米国のアジア村の連中が大勢集まるが、同時に中国に配慮した議題も取り上げられる。やれやれ、相変わらずだ。

空港からタクシーで夜のソウルに入る。ここも東京と同じ、夜遅くまで皆楽しそうに飲んでいる。米有力紙香港特派員の友人からメールで、「北朝鮮はいつ核実験をすると思うか、実行した場合、韓国はどう対応するか」と聞いてきた。タクシーの中で「恐らく何もしないだろう」と呟いた。とにかく危機感が感じられないのだ。

光輝く夜のソウルの街並みを見るたびに、この国はもう小さな戦争はできないだろうと確信する。海軍の哨戒艇が撃沈されようが、国境近くの島が砲撃されようが、韓国は全面戦争などする気はない、いや、できないのだ。当然だろう、1950年代とは異なり、今の韓国には失うものが多過ぎるのだから・・・。

前回はワシントンのSE(南東)地区が再開発され白人が移り住んだ話をしたが、昔住んでいたアフリカ系貧困層住人はもうそこには住めない。米国の貧富の格差の拡大を象徴する場所だが、ふと韓国ソウルにもそのような場所があるのではないかと思うようになった。

米国のダークサイドは、トランプの支持者、すなわち白人・男性・ブルーカラー・低学歴層が中心だと以前書いたが、ソウルにもLower Middle Class(中産階級の下)から下層階級の中に、米国の脱落組と同様「怒っている」人々がいるのではないかと推測した。その怒りの矛先が今回の総選挙で朴大統領に向かったのだろうか。ソウルの友人たちにそっと聞いてみよう。

欧州・ロシア 

25日にオバマ大統領がロンドンからドイツに入る。同大統領は米アトランティック誌の最新号でサウジや英国に厳しいコメントをしたと報じられた。例えば、サウジを同盟国と扱うことを明らかに不快に感じていたとか、リビア・シリアでの外交的失敗は英首相の指導力不足にも原因があると考えた、といった具合だ。

何故そんなことをサウジや英国訪問の前にわざわざ言うのだろう。事実ならば、サウジ王族や英国政界が猛反発しても不思議ではない。サウジや英国は米国の友人ではなかったのか。一方で、メルケル首相は「オバマ大統領が尊敬する数少ない首脳の一人」だそうだ。やはり、オバマ大統領は「外交音痴」なのかもしれない。

〇東アジア・大洋州

気になるのは北朝鮮の核実験の噂だが、五月の連休が近づき、東アジアでは日中を中心に外交的動きがある。28日にはロシア外相が訪中する。28日から自民党の二階代議士が中国と韓国を訪問する。韓国では日中韓三極フォーラムがあり、中国外相が参加するかもしれないという。29日には安倍首相が一連の欧州外遊を開始する。30日には岸田外相が訪中する。皆さま、お忙しいことです。

〇中東・アフリカ

中東ではあまり大きな動きがないが、トルコ、シリア、イラクなどではニュースにもならない小さなテロや戦闘が起きている。イラク軍・治安部隊はチグリス川沿いではヒート付近で、ユーフラテス川沿いではサマッラ付近でISと激戦を続けているが、最も驚くべきはシーア派ミリシアの台頭だ。

イラク中部のスンニー地域で戦うイラク正規軍にはシーア派ミリシアが同行している、というか一緒に戦っているのだ。これと同様に、北部ではクルド系のペシュメルガがイラク正規軍の代わりに事実上地域の治安を維持している。要するに、どこもかしこも、自前の武装勢力でないと信用できない、ということなのか。

これでは、仮にイラクの正規軍がモースルのISを掃討できたとしても、その後にシーア派がイラク中部で勢力を拡大するのだとすれば、イラク内政問題はちっとも解決しない。イラク各宗派の連中は、このようなモグラ叩きをいつまで続けるつもりなのか。彼らが部族主義を克服できる日は本当に来るのだろうか。絶望的になる。

アメリカ両大陸

米大統領選予備選挙がコネティカット、メリーランド、ペンシルベニアなど5州で行われる。最近はトランプが共和党の代議員の過半数を占めるか否かに関心が集中しているが、数字は怖い。トランプは仮に過半数に達しなくても、限りなくそれに近い数字を取る可能性が高いからだ。おい、共和党、一体どうするんだ?もう手遅れだぞ。

〇インド亜大陸は特記事項なし。

今週はこのくらいにしておこう。いつものとおり、この続きはキヤノングローバル戦略研究所のウェブサイトに掲載する。

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この記事を書いた人
宮家邦彦立命館大学 客員教授/外交政策研究所代表

1978年東大法卒、外務省入省。カイロ、バグダッド、ワシントン、北京にて大使館勤務。本省では、外務大臣秘書官、中東第二課長、中東第一課長、日米安保条約課長、中東局参事官などを歴任。

2005年退職。株式会社エー、オー、アイ代表取締役社長に就任。同時にAOI外交政策研究所(現・株式会社外交政策研究所)を設立。

2006年立命館大学客員教授。

2006-2007年安倍内閣「公邸連絡調整官」として首相夫人を補佐。

2009年4月よりキヤノングローバル戦略研究所研究主幹(外交安保)

言語:英語、中国語、アラビア語。

特技:サックス、ベースギター。

趣味:バンド活動。

各種メディアで評論活動。

宮家邦彦

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