2017総選挙ファクトチェックプロジェクト
国際  投稿日:2016/4/16

韓国総選挙セヌリ党惨敗、朴政権大打撃

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朴斗鎮(コリア国際研究所所長)

4月13日、韓国で第20代国会議員選挙が行われ即日開票された。当初はズサンな世論調査でセヌリ党楽勝の情報が流され、野党「共に民主党」の分裂もあって、与党セヌリ党の勝利が楽観視されていた。しかし、親朴槿恵派と非朴槿恵派が分裂することで与党セヌリ党は予想外の惨敗を喫した。

これは、朴槿恵政権に対する民心の離脱が予想以上に激しかったことを表している。保守元老の人たちから朴大統領の「不通(意思疎通に欠けていること)」がたびたび指摘され、その独善的政治手法と側近人事の不手際が心配されてきたが、その弱点が国民から審判された形だ。本来ならば保守政権のために立ち上がる高齢者も今回は棄権した人たちが多かった。

それに反して長い不況(注1)に不満を募らせていた若年層が積極的に投票に参加した。前回総選挙に比べ、20代の投票率は13%上がり49.2%に、30代は6%上がり49.3%となった。

その結果、中央選挙管理委員会の暫定集計によると投票率は58.0%で、2012年の前回総選挙の54.2%より3.8%ポイント上昇した。この3.8%が与野党の逆転に大きく影響したことは言うまでもない

ただ朴政権にとって不運だったのは、長引く景気低迷に加え「セオル号事件」や「MERS」(中東呼吸器症候群)感染など国民的災害が立て続けに起こり、経済の立て直しに集中できなかったことだ。それに加えて経済立て直しに優れた人材を配置できなかったことも重なった。

朴政権は外交・安保では一定の成果を収めたものの、国民の生活向上で成果を出せなかったことが大きな躓きとなった。セヌリ党惨敗の結果、朴政権のレームダック化は進むだろう。今後韓国の政局混乱は避けられそうもない。来年末に予定されている大統領選挙の候補者選びでも様々な争いが繰り広げられるだろう。

そこで最も心配されるのが韓日関係だ。昨年末に合意した「慰安婦問題」に対して野党はクレームをつけ続けてきた。朴政権を揺さぶるために蒸し返す可能性は否定できない。

また北朝鮮との関係でもやっと取り戻した主導権を明け渡す可能性もある。野党が「開城工団稼働再開」を主張しているからだ。しかし朴政権は、金正恩による4月15日早朝の「ムスダン」発射強行の失敗で少しは助けられた。この失敗は北朝鮮の脅迫圧力を弱める要因となる。

今回の選挙でも韓国特有の地域対立的構図はなくならなかった。首都圏は「共に民主党」が、慶尚道と江原道は「セヌリ党」が、そして「共に民主党」から分裂して結党した「国民の党」は全羅道を席巻したが、これまで2つだった地方ごとの政党基盤が3つに分かれただけで地域対立は解消されなかった。

 

(注1)

韓国統計庁が4月15日発表した雇用動向によると、3月の失業率は前年同月比0.3ポイント悪化の4.3%だった。中でも若年層(15~29歳)の失業率は11.8%と、1.1ポイント悪化した。失業率の基準が変更された1999年6月以降、3月としては最も高い。前月に引き続き深刻な状況となっている。

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この記事を書いた人
朴斗鎮コリア国際研究所 所長

1941年大阪市生まれ。1966年朝鮮大学校政治経済学部卒業。朝鮮問題研究所所員を経て1968年より1975年まで朝鮮大学校政治経済学部教員。その後(株)ソフトバンクを経て、経営コンサルタントとなり、2006年から現職。デイリーNK顧問。朝鮮半島問題、在日朝鮮人問題を研究。テレビ、新聞、雑誌で言論活動。著書に『揺れる北朝鮮 金正恩のゆくえ』(花伝社)など。

朴斗鎮

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