[磯村かのん]「店内では大麻のみ摂取可能となっておりますのでタバコはご遠慮下さい。」日本の常識では考えられないオランダの大麻事情とは?
磯村かのん(ライター・通訳・起業家)
オランダと聞いて皆さんは何を連想しますか?
色とりどりのチューリップ畑と風車、運河の街アムステルダム、環境保全のために自転車を多用する人々、白木をくり抜いた木靴、ゴーダチーズなどを思い浮かべる人が多いと思いますが、実は最近、大麻ツアーでも有名です。
大麻やマジック・マッシュルームなどのソフトドラッグを完全追放することは不可能と考えるオランダ政府は、行政の管理下にある「コーヒー・ショップ」という施設のみで、個人使用を目的とした一日5g以下の大麻の販売を黙認しています。(合法というわけではなく、非刑罰化としています)[註1]
「コーヒーショップ」とはその名の通り一見、喫茶店のようですが、そこには飲み物メニューの代わりに大麻メニューがあり、好みの産地、効用、価格、形状などを見てオーダーすることができます。
例えば、産地はモロッコ、ジャマイカ、タイ、オランダなどから選び、ハウス栽培のオーガニック、自然栽培、頭をリラックスさせるけれど、体には影響の出ないもの、心身共にリラックスさせる就寝用、気分が高揚するもの、というように好みに合わせて注文できます。
形状としては、マリファナ(大麻の葉や花を乾燥させたもの)、ハシシ(大麻樹脂を固めたもの)、スペース・ケーキという大麻入りケーキなどがあります。
そこで買った大麻はお茶などを飲みながらその場で摂取、路上や公園で吸引、または自宅に持ち帰ることも可能です。
ちなみに普通の喫茶店は「カフェ」と呼ばれ、区別されています。近年ではレストランやバーなどの室内公共スペースでタバコは禁煙なので、「コーヒーショップ」も例外ではなく、タバコは禁煙だけれど大麻は吸引できるというオランダならではの不思議な環境になっています。
オランダの薬物政策は他のEU諸国に比べ寛容ですが、15歳から64歳を対象に行われたアンケートで、一生のうちで大麻を使用したことがある人の比率はEU34か国中で5位。
大麻の使用はハードドラッグの消費に繋がりやすいことが問題だといわれますが、同じアンケートでコカインを使用したことがある人の比率は7位なので、オランダの薬物使用者の数が際立って高いわけではありません。【註2】
アメリカでは20州と首都ワシントンで癌やエイズの治療に医療用大麻が使用されており、先日はワシントン州に続きコロラド州で嗜好用大麻が解禁になりました。
日本とはあまりにも違う欧米の薬物政策。皆さんはどう考えますか?
【註1】EMCDDA Possession of cannabis for personal use
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