無料会員募集中
.政治  投稿日:2017/3/23

東電復興本社「街づくり」にも注力


「細川珠生のモーニングトーク」2017年3月11日放送

細川珠生(政治ジャーナリスト)

Japan In-depth編集部(大川聖)

【まとめ】

・東電「復興本社」は賠償・除染・帰還事業担当。

・「街づくり」=社会インフラ整備にも取り組む。

・継続的な情報発信が重要。

 

11日に東日本大震災からちょうど6年目を迎え、東京電力福島復興本社代表の石崎芳行氏に政治ジャーナリストの細川珠生氏が話を聞いた。

 

石崎氏にとってこの6年は東京電力で地震と福島第一原子力発電所の事故に向き合った6年だっただろうが、振り返ってどういう思いを感じるかと細川氏が質問すると、石崎氏は「事故から6年は自分自身にとってはあっという間だった、しかし福島に常駐している身としては避難されている方や、帰還された方たちと直接触れ合う機会も多く、この6年で原発事故の深さ広さ複雑さを改めて痛感しているところだ。」と心境を語った。

これまで6年つらいことはどんなことがあったか、という問いに対して石崎氏は、「つらいと言える立場ではないが、一番苦しいのは、賠償金は要らないから元の状態に戻してほしいと言われる時が、答えようがなく、ただ申し訳ない気持ちでそういう意味でつらいことだ、と述べた。一方で、原発事故直後は怒りをぶつけてきていた地元の人から、最近になって会った時、『当時は悪かった。時間がたってまちを再生するためにはやはり東京電力と同じ方向をみて努力していく時期だ。あのとき色々言ったのはそのとき限りにしてこれから一緒にぜひやっていきましょう。』と改めていわれたときはとても嬉しい気持ちになった。」と答えた。

福島第一原発の廃炉は「廃炉カンパニー(福島第一廃炉推進カンパニー)」が担っていて、復興本社と2本立てで復興に向けて進んでいる。石崎氏が代表を務める復興本社は東京電力の責任のうち、廃炉以外の責任、賠償の支払いや除染、一時帰宅された方の家の片づけの手伝い等、帰還事業を担っている。石崎氏はそれらに加え、「街づくりという観点で責任を果たさなければと思っている。」と述べた。

また石崎氏は賠償の支払いの問題に触れ、「賠償の基準を定めているため、近隣同士でも賠償金の格差が生まれ、地域コミュニティーを壊してしまったのが一番大きな罪だったと感じている。コミュニティーが再生しようとしているときに住民同士の軋轢が生じるなどの複雑な面も実感している。」と述べ原発事故の影響の大きさに対する認識を改めて示した。

 

細川氏は、巨額な賠償の問題をクリアしていくためにもできるだけ早く住民が「帰還すること」か、「新しい生活をどこかで始めること」が重要ではないか、と質問したのに対し、石崎氏は、「帰還したいとの希望を持っている人に環境を整えることが仕事だと思っている。廃炉が続いている中戻りたくないという方ももちろんいるので、まずは帰還したい人のために国・県・地元の自治体と協力し合いながら社会インフラを整備することが大事だと思っている。」と述べた。

細川氏は、国のエネルギー政策について、国が責任をもって決め、事業者がそれに基づいてやるべきだと思う、との考えを示し、原発事故以来揺らぐ国の政策に対し警鐘を鳴らした。

エネルギー事業者として、原発事故を乗り越えるためにはどうしたらよいと考えるか、との問いに対し、石崎氏は、「事故を起こした当事者として事故をおさめるために早く廃炉を進めることが大前提で、色々な知見の発信が必要と考えている、と答えた。事故を起こしてしまったが、天然資源が乏しい日本において、原発という選択肢を今捨て去るのは日本にとってよくないと感じている。」との考えを示し、原子力発電の必要性を強調した。

日本の食料自給率40パーセントしかないといっても、エネルギー自給率は5パーセントしかないという事実はあまり知られておらず、そういった情報発信も必要だろう。

最後に細川氏は、6年が経ち、これから先、未来をみなければならない、そういう時期に入っていると思う、としたうえで、事故が起きてしまったことを教訓にしてより安全に運用するために多くの人が知恵を絞り、情報発信を継続的におこなってほしい、と述べた。

 

 

(この記事はラジオ日本「細川珠生のモーニングトーク」2017年3月11日放送の要約です)

「細川珠生のモーニングトーク」

ラジオ日本 毎週土曜日午前7時05分~7時20分

ラジオ日本HP http://www.jorf.co.jp/index.php
細川珠生公式HP http://hosokawatamao.com/
細川珠生ブログ  http://tamao-hosokawa.kireiblog.excite.co.jp/

トップ画像:©Japan In-depth編集部


この記事を書いた人
細川珠生政治ジャーナリスト

1991年聖心女子大学卒。米・ペパーダイン大学政治学部留学。1995年「娘のいいぶん~ガンコ親父にうまく育てられる法」で第15回日本文芸大賞女流文学新人賞受賞。「細川珠生のモーニングトーク」(ラジオ日本、毎土7時5分)は現在放送20年目。2004年~2011年まで品川区教育委員。文部科学省、国土交通省、警察庁等の審議会等委員を歴任。星槎大学非常勤講師(現代政治論)。著書「自治体の挑戦」他多数。日本舞踊岩井流師範。熊本藩主・細川家の末裔。カトリック信者で洗礼名はガラシャ。政治評論家・故・細川隆一郎は父、故・細川隆元は大叔父。

細川珠生

copyright2014-"ABE,Inc. 2014 All rights reserved.No reproduction or republication without written permission."