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.政治  投稿日:2017/1/4

【大予測:国内政治】キーワードは経済と教育


「細川珠生のモーニングトーク」2016年12月31日放送

細川珠生(政治ジャーナリスト)

Japan In-depth 編集部(坪井映里香)

2016年最後の放送は大晦日。細川珠生氏とJapan In-depthの安倍宏行編集長は、今年一年を振り返った。

2016年を安倍編集長は、「激動の一年といっても良いのでは。」と評した。そんな2016年に起きた様々なニュースの中で、細川氏が最も注目したニュースは、5月のオバマ米大統領の広島訪問と今月の安倍総理の真珠湾訪問だ。細川氏はこの2つの出来事について、「セットとして価値があると思う。」との見方を示した。

第二次安倍政権発足以来、安倍総理は「戦後レジームからの脱却」というフレーズのもと、戦後のひずみが生じている部分を直していく、という姿勢で臨んできた。それは国内の構造改革だけでなく、戦後処理にも力を入れてやってきたと細川氏は見ている。そういった安倍総理の取り組みの中で、オバマ大統領が広島に来たことと、安倍首相が真珠湾に行ったことの二つが達成された。「これは歴史の転換点にあった大きな出来事だったと思う。」と細川氏は述べた。

同様に歴史の転換点という意味では、細川氏は2016年のキーワードとして「女性」があげられる、とした。それは都知事として初の女性である、小池百合子都知事誕生のインパクトが大きい。安倍編集長も夏の都知事選を取材していた。「実際に取材をしていて、都民の期待値が日増しに高まっていった」印象を受けたという。一つの国と言ってもいいほどの規模をもつ東京都。とはいえ、一つの自治体であることには変わりがない。だからこそ、「政党政治とはまた違う、住民・市民にもっと寄り添った政治にしてもらいたいという思いが(都民の間に)あったと思う。」と安倍編集長は小池氏大勝利の背景を分析した。

また、それに加えオリンピックの存在もあった。オリンピックでは膨大な量の税金が投じられるにもかかわらず、いわゆる「伏魔殿」と呼ばれるほど、どこで何が決まっているかが不透明な状況だ。そういった状況にメスを入れ、お金の流れをクリアにする、と主張した小池氏に都民は期待したのではないか、と安倍編集長は述べた。それは同時に、「都民もある意味、覚醒したともいえる。」とした。

細川氏も同意し、「都議会、都政そのものに興味を持つ人も増えてきたし、政治全体の国民の関心も高まったと思う。」と述べた。それは、小池氏が意図的に絶え間なく発信をしてきた、という彼女自身の発信力の影響もあるが、「女性都知事が誕生しなかったら、マスコミもこんなに追いかけなかったと思う。」と安倍編集長が述べたように、新たな都知事が「女性」であったことも後押ししているといえよう。

また、イギリスや台湾など世界でも女性のトップが増え、国内でも小池氏のほか稲田朋美防衛大臣、丸川珠代五輪担当大臣などが入閣した。。また、女性活躍を政策として作ったことも話題になった一年だった。

もう一つ細川氏が注目したニュースとして、夏の「天皇のお気持ちの表明」を挙げた。今もなお議論が続いていて結論は出ていない。天皇の地位や存在も大事だが、天皇がもつ悩みは一般国民と非常に近い、と細川氏は指摘した。つまり、一つは高齢化の問題。天皇も高齢になり、体力的に難しい中で公務を務めていく厳しさを抱えている。もう一つは皇位継承の問題。全体として少子化の現在もなお、皇位を継承できるのは男系男子に限っている。この2点について「お気持ち」を表明されたが、これは「一般国民のどの家でも抱えている問題」であり、いわゆる少子高齢化が生んだ社会問題といえる、と指摘した。

少子高齢化とそれによる社会保障費の増大が加速していく現代で、安倍編集長が2017年の大きなテーマを細川氏に問うと。「経済」と答えた。「少子高齢社会に対応する社会システムの作り直し」が必要だと述べた。現在の社会保障システムは、少子化は想定されておらず、現役世代が増えなければ成り立たないシステムになっている。このシステムを作り直すことによって、全国民、「若い人が特に、安心して自分たちの将来設計ができる社会に作っていくこと」が来年の大きな課題になってくる、と細川氏は述べた。

安倍編集長も賛同し、「アベノミクスの効果も減じている。」と指摘。アベノミクス以外で、新たな活力を生むような、規制緩和も含めて施策を考えていかないと、「日本経済は浮揚できない。」と強調した。

また、それに関連して、千葉工業大の理事を務めている細川氏は、「大学と産業界の連携」に注目。新しい技術の開発と、その実用化(製品化)によって、「日本の景気の浮揚にもつながっていくはず。」と述べた。そのために、「大学で学ぶ子供たちをもっと応援するような教育制度も必要だと思う。」と教育の重要性も示唆した。

2017年はどのような年になるか。全く予想がつかないが、日本には課題が山積みだということが再認識された放送だった。

 

(この記事はラジオ日本「細川珠生のモーニングトーク」2016年12月31日放送の要約です。ラジオ放送ネット視聴サービスRadikoにて放送後1週間は録音を聞くことが出来ます。)

「細川珠生のモーニングトーク」

ラジオ日本 毎週土曜日午前7時05分~7時20分

ラジオ日本HP http://www.jorf.co.jp/index.php
細川珠生公式HP http://www.cheering.net/tamao/#
細川珠生ブログ  http://tamao-hosokawa.kireiblog.excite.co.jp/

トップ画像:©Japan In-depth 編集部


この記事を書いた人
細川珠生政治ジャーナリスト

1991年聖心女子大学卒。米・ペパーダイン大学政治学部留学。1995年「娘のいいぶん~ガンコ親父にうまく育てられる法」で第15回日本文芸大賞女流文学新人賞受賞。「細川珠生のモーニングトーク」(ラジオ日本、毎土7時5分)は現在放送20年目。2004年~2011年まで品川区教育委員。文部科学省、国土交通省、警察庁等の審議会等委員を歴任。星槎大学非常勤講師(現代政治論)。著書「自治体の挑戦」他多数。日本舞踊岩井流師範。熊本藩主・細川家の末裔。カトリック信者で洗礼名はガラシャ。政治評論家・故・細川隆一郎は父、故・細川隆元は大叔父。

細川珠生

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