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国際  投稿日:2017/9/30

仏、日本ブーム拡大 柴犬にかつお節

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Ulala(ライター・ブロガー)

フランス Ulala の視点」

【まとめ】

・仏の日本ブーム、都市部から地方へ広がる。

・仏からの訪日観光客も急増、著名ユーチューバーが“柴犬”を紹介し、日本の“かつお節”工場が現地進出。

・日本の“本物”をもっと知りたいとの欲求拡がる。日本にとってビジネス拡大のチャンスが来ている。

 

【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て表示されず、写真の説明と出典のみ残っていることがあります。その場合はhttp://japan-indepth.jp/?p=36386で記事をお読みください。】

 

先日、昨年に引き続き今年もフランスの地方で開催されるアニメやゲーム、YouTubeのイベントに参加してきたのだが、今年は、パリのような都会ではないフランスの地方においても、こういった集まりに慣れた人が増えたということに驚かされた年となった。

まず、参加者に変化が現れた。アニメやゲーム、コスプレのイベントと聞いて、単なる子供のお遊びと思って訪れたフランス人が多かった昨年は、会場には学校のカーニバルでよくみかけるような仮装をした子供連れが結構いたのにもかかわらず、今年はそういった仮装はほとんどみかけない。反対にしっかりと完璧をめざしたコスプレイヤーが増えていたのだ。

出店されている店舗については、アジア系の店員がいる小さい刀の模造品やなんちゃって着物っぽいものを売っているお店や、あまりイベントの趣旨とは合わないと思われるドライフルーツを売る店もあった。がしかし、そういう店はお客もまばらで閑散としていた。

反対に今年は日本のお菓子を扱う店も人気を集めていた。日本で見かける抹茶味のお菓子やラムネなど、日本でしか買えない商品を取り扱っているお店だ。ラムネの開け方も知らない子供達が蓋を開けてもらって、うれしそうに飲んでいた。ラーメンや餃子、焼きそばなどが売っている店では13ユーロと値段も割高であるのにもかかわらず大行列だ。

そして、今年増えたイベントとして気になったのは「日本語講座」。ひらがなや漢字などの説明をした後は、簡単な日本語の会話を教えてくれるという、結構本格的なものだ。

「はじめまして私は○○です。と一言二言日本語を話すだけで日本人はみんな喜んでくれます。日本に行きたいなら少しでも日本語を覚えましょう。」

日本人にはビズ(頬に軽いキスをするフランスの挨拶)などはしてはいけません。男の人が女性になんてもってのほか。びっくりされちゃいます。触らないようにして、ちょっと離れたところでこんにちはとお辞儀をするのです。」

日本人がよく口にする言葉は、”えーと”。初めはどうして答えてくれないのかと思ってもう一回聞いてしまいましたが、これは考えてるってことなのでじっと待ってなくてはなりません。」

日本に住んでいたフランス人ならではの日本語紹介がおもしろい。しかしこんなイベント会場で日本語を学ぶなんて誰も興味を示さないのではと心配していたが、思いのほか最後までその場から離れず聞いている人が結構いた。多かったと言うと言い過ぎかもしれないが、少なくともその一つ前に行われていたマカリナのダンスよりは好評だったようだ。

経済成長の衰えもあり、現在フランスでは日本語を教える学校がどんどん減ってきているのも確かだ。しかし例え学校に教師がいなくてもフランスではCNED(Centre national d’enseignement à distance)と言う通信教育のシステムが確立しており、フランス中どこででも通信教育を通して日本語が学べる環境があり、日本にルーツがなくとも日本語を学んでいる高校生がフランス中にいる。

そういったフランス人がどこで日本語を学ぼうと決意するのかと不思議に思っていたが、このような日本文化に関連したイベントも影響していることも間違いないだろう。

こういったことを踏まえてイベントに参加するフランス人の日本の物への興味は、「本当に日本にある物」になっていると感じるのだ。

本物の日本文化への興味の高まりは、イベントだけではない。チャンネル登録者数886万人で若者に圧倒的な影響力を持つユーチューバー、SQUEEZIEのつい数日前に公開された動画にも驚かされたところだ。

日本に何回か行き、YouTubeでもよく日本の物を紹介しているSQUEEZIEだが、今回は、日本に、わざわざ「柴犬」を買いに行ったことを紹介していた。しかも都道府県別外国人延べ宿泊者数47位(注1)と言う、外国人にはとてもマイナー観光地だと言われる「福井県」にだ。

今フランスに限らずヨーロッパでは、柴犬がとても人気があるが、なぜ日本にわざわざと思いきや、柴犬は日本由来、それなら同じ柴犬でも日本で生まれた柴犬を買いたかったという。そして探した結果、福井県にとてもよいブリーダーが居たというのだ。ここにもその辺のまがい物では満足できないという本物志向が見えてくる。

これは円安もあり、日本に訪れるフランス人が年々増え、日本が身近になったことも関係しているかもしれない。2016年はフランスからの観光客は25万人に上り過去最高を記録しており、前年度より18.3%増加している(注2)。高くて行けない遠い地だった日本も、現在はいく人も増え、繊細で楽しい日本の物を自分自身で感じとる人も確実に増えた。フランスの片隅に、本物の日本の物を求める流れが確立されつつあるのだ。

そんな流れは食品にもある。フランスに「鰹節」を輸出出来ないならフランスで作ろうと立ち上げた鰹節工場が、とうとう販売できるところまでたどり着き話題を呼んでいる。鰹節は、日本料理のレストランにももちろん朗報だと思うが、「旨味」を知ったフランス人の料理人の間でも好評だと言う。

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▲写真 かつお節 出典:在日フランス商工会議所

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▲写真 株式会社 枕崎フランス鰹節ブルターニュ工場 出典:Makurazaki France Katsuobushi Co., Ltd.

現在人気なのは鰹節だけではなく、「ゆず」も注目されている。すでにフランスでもお菓子や料理にも使われているが、印象派を代表するフランスの画家のクロード・モネも収集していた浮世絵の絵師、葛飾北斎が、中気(今で言う脳血栓)を癒した柚子、独特の風味だけではなく健康志向の高いフランス人が集まる BIO(自然食品のお店)に並ぶ日がくるかもしれない。一歩先に、BIOのお店では、今年から抹茶が食品の棚に並び始めてもいるのだ。

アニメやゲームのイベントや、YouTubeの動画など、こういった媒体が本当の日本を知る人口を増やすきっかけになっていることは間違いなく、本物志向の良い流れができてきている。この良い流れをどう発展させていけるかにも今後注目したい。

(注1)観光庁
https://www.mlit.go.jp/common/001174513.pdf

(注2)2016年12月 訪日外客数 (日本政府観光局JNTO)
https://www.jnto.go.jp/jpn/statistics/data_info_listing/pdf/170117_monthly.pdf

トップ画像:フランス最大の日本文化総合博覧会“Japan Expo” におけるコスプレイベント © Benjamin Humez

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この記事を書いた人
Ulalaライター・ブロガー

日本では大手メーカーでエンジニアとして勤務後、フランスに渡り、パリでWEB関係でプログラマー、システム管理者として勤務。現在は二人の子育ての傍ら、ブログの運営、ライターとして活動中。ほとんど日本人がいない町で、フランス人社会にどっぷり入って生活している体験をふまえたフランスの生活、子育て、教育に関することを中心に書いてます。

Ulala

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