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国際  投稿日:2017/10/16

歪んだ世界の日本観4 日本の女子中高生の13%が援交?

キンモンス2 (3)
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古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)

「内外透視291回」キンモンス対談

【まとめ】

・2015年国連特別報告者が日本の女子中高生の13%が援助交際していると言ったが、真実からは程遠い。

・2016年には別の国連報告者が、日本のメディアは安倍政権にコントロールされていると言った。

・一方、欧米人の日本報道は事実を直視し中立であるべきと指摘する人も増えている。

【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て表示されず、写真の説明と出典のみ記載されていることがあります。その場合はjapan-indepth.jp/?p=36741で記事をお読みください。】

古森:2015年10月、国連の特別報告者、ブーア=ブキッキオ氏という女性が日本へ来て、援助交際についてとんでもないことを言いましたね。

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Photo by Council of Europe

キンモンス日本の女子中学・高校生の13%が援助交際をしていると言っていました。私が調べて計算したところでは、高校生の13%なら21万人、中学生なら20万人というとんでもない数字になります。日本の男性にはそんなに遊んでいる時間があるのでしょうか。もちろん援助交際は絶対にないとは言っていない。あり得ることではあるけれど、報道されている数字の100分の1にもならないでしょう。

古森:いままでキンモンス先生が話されてきたのは、欧米のジャーナリズムが、事実ではないことも含め、日本の姿をいかにゆがめて報道しているか、それは構造的には、日本は自分たちに及ばない国なんだという偏見による、あるいは偏見をより強めるためのものだということでした。

しかし、国連の人間が援助交際についてそういう誤った認識を堂々と語るということは、先生が指摘されているような偏見とかゆがみというものがジャーナリズムの次元にとどまらず、学者、専門家の中にも強くあるということです。ジャーナリズムとアカデミズムが車の両輪のようにタンデムになり、そこに政治(ポリテイクス)が絡んで日本の負のイメージが形成されているとしたら、これは大問題ですよ。

昨年つまり2016年4月に来日したカリフォルニア大学アーバイン校のデビッド・ケイ教授が、日本のニューズメディアは安倍政権にコントロールされ、バイアスがかかって歪んでいるとしゃべっている。彼は国連特別報告者の一人です。そんな話を誰から聞いたのかと思ったら、元経済産業省の官僚で、テレビで「アイム・ノット・アベ」というフリップを掲げた古賀茂明とか、鳥越俊太郎とか極端な人ばかりでした。

キャプチャ2

写真)デビット・ケイ教授

出典)University of California,Irvine HPより

キャプチャ3

写真)古賀茂明

出典)Twitterより 

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写真)鳥越俊太郎氏

出典)本人HPより 

それがアメリカの学者の意見になり、しかも国連の報告にもなっていくというのは恐ろしいですね。キンモンス先生がおっしゃった偏見が政治の領域に入っていくと、やれ軍国主義だとかナショナリズムだとか、戦争犯罪への反省が足りないという批判につながっていくのではないでしょうか。

小泉純一郎総理が靖國神社に参拝していた頃、デビッド・マクニールという特派員から、「インディペンデント紙に靖國問題について書くので、古森さんの意見を聞きたい」という依頼がありました。東京でのことです。それで彼と特派員クラブで会ったんですよ。ところが、実は靖國問題というのは口実で、彼が聞きたかったのは、外務省が資金を出している日本の国際問題研究所のことだった。

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写真)デビッド・マクニール

出典)Twitterより

その機関紙の英語版に、契約で『ニューヨーク・タイムズ』の社説も書いていた玉本偉(まさる)という学者が書いていた国際問題研究所の見解というのが、あまりに反体制的な左がかった趣旨だったから、私がそのことを指摘したんです。そのために研究所が謝罪し、玉本氏が辞めたので、産経の古森が言論弾圧したということになったらしい。それでマクニールは私を糾弾するために嘘をついて呼び出したんです。

特派員協会の会員用の機関紙、ナンバーワン新聞を彼らはハイジャックしていたから、その一面に私の写真を載せ、「古森がこんなひどいことを言っている」とたたいた。でも私も一応、特派員協会のメンバーだったから、その機関紙でメンバーをたたくのは、それだけでもおかしいじゃありませんか。

特派員の外国人記者も日本人を下に見ているから、たとえば安倍総理が、日本が普通の国になるため憲法を改正したいと発言するようなことをものすごく嫌うわけですよ。日本がほかの国と同じように自分の国を守るための軍隊を持つのは当然だと言うと、「軍国主義の復活だ。中国にまた攻め込むつもりだ」と騒ぎ出す。

慰安婦問題についても、中国、韓国の主張をただそのまま伝えるだけで、それに反論するのは右翼とウルトラナショナリストだけだと言い張るような仕組みができ上がってしまっている。これも、さっき先生がおっしゃった「文化」の問題かもしれませんが、そういう意味では、日本に関する偏向報道の拠点の一つは、日本にある特派員協会だと思います。

『ジャパン・タイムズ』に定期的に寄稿しているジェフ・キングストンという米人記者は、「安倍はマスコミをコントロールして慰安婦の強制連行などなかったという嘘のプロパガンダを広めている。日本は非民主的な国になった」というようなことを書いている。

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写真)ジェフ・キングストン

出典)キングス大学日本校HPより 

彼は上智大学中野晃一という先生のような日本の反体制派と結びついているようです。欧米のメディアの一部に日本の左翼が材料を与えて歴史認識の国際世論なるものをでっちあげ、それを日本に向かって発信する。日本政府や外務省は「これはまずい」とうろたえて、事実を事実とも言わなくなってしまった。それがこれまでの経緯です。

だから、キンモンス先生が社会、文化、人類学の面から指摘された流れの中に、政治・外交部門で日本全体の国益が大きく損なわれるような事例がいくつもあったということを私は強調したいと思います。

ただ、外国人記者や研究者のなかにも、最近ではキンモンス先生や、元ワシントンポストポール・ブルースタイン氏、さらにはジョージタウン大学ケビン・ドーク教授のように「そういう状況はおかしい。欧米人の日本報道と日本研究は、もう少し事実を直視して中立であるべきではないか」と指摘する人が増えてきました。そこに光明を見い出しています。

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写真)ポール・ブルースタイン氏

出典)Twitterより

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写真)ケビン・ドーク教授

出典)GeorgeTownUniversityHPより

キンモンス:外国特派員協会は一時、左翼にハイジャックされていましたが、いまは少し落ち着いているようです。偏見に満ちた日本に関する報道に対して、「おかしい」とか「よくない」と憂えている外国人や帰化人は案外多いのではないかと思いますよ。ただ、そういう人たちはどちらかというと、だいたいまっとうな仕事を持っていて忙しいから、残念ですが、そういうことまで発言する余裕がないのです。私もできる範囲内でご協力したいとは思いますが……(笑)。

(了。全4回。も合わせてお読みください)

このキンモンス・古森対談は「世界の日本観はまだまだ蔑視と偏見だらけ」と題されて、月刊雑誌「WILL」2017年10月号に掲載されました。その内容を4回に分けて転載した。

トップ画像:アール・キンモンス氏 ©WiLL編集部

 

【訂正】2017年10月27日13:55 以下を変更・修正致しました。

訂正前:『ジャパン・タイムズ』のキングストンという記者は、

訂正後:『ジャパン・タイムズ』に定期的に寄稿しているジェフ・キングストンという米人記者は、

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この記事を書いた人
古森義久ジャーナリスト

産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授。1963年慶應大学卒、ワシントン大学留学、毎日新聞社会部、政治部、ベトナム、ワシントン両特派員、米国カーネギー国際平和財団上級研究員、産経新聞中国総局長、ワシントン支局長などを歴任。ベトナム報道でボーン国際記者賞、ライシャワー核持込発言報道で日本新聞協会賞、日米関係など報道で日本記者クラブ賞、著書「ベトナム報道1300日」で講談社ノンフィクション賞をそれぞれ受賞。著書は「危うし!日本の命運」「中・韓『反日ロビー』の実像」「トランプは中国の膨張を許さない!」など多数。

古森義久

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