.政治  投稿日:2018/1/9

エルサレム首都移転、実現可能性に疑問 大野元裕参議院議員

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「細川珠生のモーニングトーク」2017年12月22日放送

細川珠生(政治ジャーナリスト)

Japan In-depth編集部(駒ヶ嶺明日美)

 

 

【まとめ】

・エルサレム首都宣言は、トランプ氏の支持者向けの政策の一つを実行したにすぎない。

・セキュリティ面での問題もあり、実際に移転できるかどうかは不透明。

・パレスチナが自治権と警察権を持っているA地区にイスラエルが入り込んで衝突になると火を噴く可能性あり。

 

【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては写真の説明と出典のみ記されていることがあります。その場合はJapan In-depthのサイトhttp://japan-indepth.jp/?p=37973でお読み下さい。】

 

米トランプ政権は12月5日、エルサレムをイスラエルの首都と認定し、米大使館をエルサレムに移転する方針を決めた。中東情勢の悪化が懸念されるなか、国連総会は21日に緊急特別総会を開き、米国に方針の撤回を求める決議案を採択した。この問題について、元防衛大臣政務官で民進党参議院議員の大野元裕氏をゲストに迎え、政治ジャーナリストの細川珠生氏が話を聞いた。

 

まず細川氏は「アメリカ国内では1995年からエルサレム大使館法で大使館を移転することは決まっていたが、これを延期する大統領署名を半年に一回繰り返してきたという経緯がある。なぜ今トランプ氏は大統領令に署名をする決断をしたのか。」と質問した。

 

大野氏は「アメリカはイスラエルに対して非常に親近感がある。特にトランプ大統領は自分が選挙で勝った州に対して、有権者受けのいい政策をとってきた。その一環ではないか。」と述べた。

 

一方でアメリカが20年以上に渡って法律の施行を延期してきたことについて、「議会もユダヤ票が気になるので、これまで法律は通ってきた。しかしエルサレムの地位を変更してはいけないというのが国際社会、安保理の一貫した対応で、今はエルサレムに大使館を置いている国はない。国際社会との波紋を避けるために、国内法はあっても履行しないというのが伝統的なアメリカの立場だった。」との見方を示した。

 

次に細川氏が「国際社会はこのアメリカの行動を許すのか、それとも許さずに行動するのか」と質問した。

 

大野氏は「安全保障理事会の常任理事国は拒否権を持っていて、アメリカは議決を阻止できる。また、最近開かれた緊急総会には拘束力がない。緊急総会で今回のエルサレムの地位に変更を及ぼすような政策が批判されたので、国際社会に意思は示したが、それを実行的に阻止するのは難しい。」と述べた。

 

さらに「副大統領の中東訪問が延期されたことに見られるように、アメリカが国内対策以上に行動を起こすかどうかはまだ分からない。米大使館をエルサレムに移転するとしても、セキュリティ上の措置が確保できないのではないか、という懸念を口実に様子を見る可能性はある。」と述べ、現実的に移転するかどうかはまだ不透明だとの考えを示した。

 

次に細川氏は日本の対応について質問した。

 

菅官房長官の「今大使館を移転することは考えていない。」という発言については、大野氏は「移転は和平を推進する立場として当然ありえない。」と述べた。

 

また、河野外務大臣がアメリカの大使館移転について全く触れず、情勢の悪化を懸念するというコメントしか出していないことについて、「安保理での発言で、ほとんどすべての国が『今回のアメリカの大使館移転の決定は国際法に反している』と強く批判している。パレスチナ自治政府の何人かと会ったが、日本が何も言っていないことは知られている。日本が責任のある国際社会におけるプレーヤーとしての立場を明確に維持することは日本の利益にもかなう。アメリカとの関係は重要だが、日本も明確な立場を示すべき。」との考えを示した。

 

具体的には日本は何ができるか、との質問には、

 

大野氏は「国際法に基づくということをきちんと言うこと。また、補正予算で、パレスチナの難民支援機関に対する支援が、例年に比べて5分の1から4分の1になりそうだという情報がある。政治的な声明を出していない以上、民生の安定には例年並み以上の貢献をしなければ、誤ったメッセージとして取られる可能性がある。今こそやらなければならない。」と述べた。

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写真)マフムード・アッバース・パレスチナ大統領(H.E.Dr. Mahmoud Abbas, President of Palestine)を表敬訪問する河野太郎外務大臣 2017年12月25日
出典)外務省

 

細川氏も「経済協力や、難民支援、人道的な支援は独自にできる。しっかりと意識をして取り組むということが必要だ。」と述べた。

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図)パレスチナ自治区 赤―A地区 薄黄色ーB地区
出典)United Nations Office for the Coordination of Humanitarian Affairs:

 

最後に、大野氏は、中東情勢について、「パレスチナ自治政府は行動を控えていて、デモは組織的なものではない。しかし、大きなデモが繰り返される金曜日に、パレスチナが自治権と警察権を持っているA地区にイスラエルが入り込んで衝突になると火を噴く可能性がある。状況が静かに推移すればいいが、それで不満を発散できない若者たちもいる。同時に対応しなければならない。」と述べた。

 

トップ写真)大野元裕議員
©Japan In-depth編集部

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