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.政治  投稿日:2018/6/12

日本は蚊帳の外ではない!衆議院議員中谷元氏


「細川珠生のモーニングトーク」2018年5月19日放送

細川珠生(政治ジャーナリスト)

Japan In-depth編集部(小俣帆南

【まとめ】

・朝鮮半島の平和構築が最優先で現段階での日朝会談は不適切。

・拉致問題は米韓を通じ北朝鮮に日本の意向の発信が必要。

・アメリカが韓国から撤退することは無い

 

【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て表示されず写真説明と出典のみ記されていることがあります。その場合はJapan In-depthのサイトhttp://japan-indepth.jp/?p=35983でお読みください。】

 

北朝鮮を巡る国際情勢と日本政府の対応について、政治ジャーナリストの細川珠生氏が、元防衛大臣で自由民主党 衆議院議員中谷元氏に話を聞いた。


初めに、細川氏は、北朝鮮が近隣の国々との対話を進める中、日本とは対話を行わない姿勢を取っていることを指摘し、北朝鮮を巡る問題で日本が蚊帳の外に置かれているのではないかとの疑念を示した。


これに対して中谷氏は、「朝鮮戦争が未だ終結していないことが大きい。今の朝鮮半島では、平和協定を締結し休戦状態から停戦に移行させることが優先されている。この側面での当事者は、アメリカ・韓国・北朝鮮・中国であって、日本はそこに含まれない。」と述べ、日本は蚊帳の外なのではなく、あくまで当事者でないだけだと強調した。

 

続けて、「韓国と北朝鮮は、朝鮮半島の平和の構築を優先させたい。朝鮮半島での道筋が立たないことには日朝間の対話は困難であるから、日本は米朝・南北会談を見守っている段階。」と述べ、現段階での日朝会談は適切ではないとの見方を示した。


続けて、「現段階で当事者ではない日本は、拉致問題をどう解決していけばよいか。」という細川氏の問いに対して、中谷氏は平壌宣言及びストックホルム合意の存在を挙げて回答した。

 

「2002年小泉政権下で発表された平壌宣言は、拉致問題・核・ミサイル・国交正常化・経済問題などに言及した包括的なものだった。また、2014年に日朝間で結ばれたストックホルム合意によって、北朝鮮は特別調査委員会を設置した。これらを機に、拉致問題は解決に向けて進展したかのように見えたが、現在は行き詰っている。

 

2016年、北朝鮮の核実験に対する制裁への反発として、特別調査委員会が解散したことがその契機である。日本としても、拉致問題・核・ミサイルなどにおける北朝鮮の姿勢を改めさせるため、圧力路線に移行した。しかし、今ようやく北朝鮮に対する融和路線への転換が始まった。」と述べ、拉致問題に関する動きが再開することに期待感を示した。

写真

写真)日朝首脳会談に臨む小泉純一郎元首相

出典)首相官邸

 

さらに細川氏は、拉致問題への日本政府の対応について、事実上無効となったストックホルム合意とは別に、政府レベルでの動きや話し合いがあるのか尋ねた。

 

これに対して中谷氏は、「2016年の特別調査委員会の解体以降、北朝鮮とのパイプが途絶えてしまったと考えている。だからこそ、米韓を通じて北朝鮮に日本の意向を発信していく必要がある。」と答え、日朝間の直接対話が困難な現段階では米韓への協力を仰ぐことが重要だとの考えを示した。加えて、「拉致問題はもちろん、核やミサイルの問題が解決に向かうかどうかは、北朝鮮の姿勢次第。核の保有量や保存場所、拉致の経緯や証拠を具体的に示して欲しい。」と北朝鮮に誠意ある対応を求めた。


 また細川氏は、「北朝鮮の体制維持や朝鮮半島の非核化を北朝鮮 が強行に主張してきた場合、在韓米軍についてトランプ大統領が どのような決断をするか、日本としては最も心配な点である。」と懸念を示した。

これに対して中谷氏は、その心配はないと断言した。さらに、 「トランプ大統領は就任前、在韓米軍の撤廃や在日米軍の縮小を主張していた。しかし、就任後は一転して日米関係の重要性を指摘している。在韓米軍は、朝鮮半島の安定のためだけでなく、ロシアや中国の存在を見据えても不可欠である。よって、アメリカが韓国から撤退することは無いだろう。」と述べた。


続けて中谷氏は、北朝鮮が米韓合同軍事演習を批判した背景に中国の存在を認め、「中国としては、朝鮮半島からアメリカの力を排除したい。朝鮮半島の非核化を利用して、中国は北朝鮮と口裏を合わせている。さらに、日米や米韓の間に軋轢を生ませたいという思いもあるだろう。」との見解を明らかにした。「トランプ大統領は北朝鮮や中国の戦略には乗らないだろう。」と、日本政府としてのアメリカの外交政策に対する強い信頼感を示した。



最後に、細川氏からの「日本とアメリカの連携は、極めて強いということか。」との確認に対して中谷氏は、「日本は決して蚊帳の外に置かれているわけではない。アメリカと強く連携しており、安全保障のために米韓や日米の連携がある。」と日本の存在意義を強調した。

続けて、今なお北朝鮮の姿勢が変わらないことを指摘し、「ノドンミサイルや核兵器の保有、核実験の実施について、具体的な対応を北朝鮮は示していない。5月23~25日に豊渓里(プンゲリ)の実験施設を破棄することが決定したが、それだけでは不十分。もっと具体的な対応を国際社会に示す必要がある。大事なのは北朝鮮の問題解決を北朝鮮自身がやるかどうか、ということだ。」と、締めくくった。

 

(この記事はラジオ日本「細川珠生のモーニングトーク」2018年5月19日放送の要約です)

 「細川珠生のモーニングトーク」

ラジオ日本 毎週土曜日午前7時05分~7時20分

ラジオ日本HP http://www.jorf.co.jp/index.php

細川珠生公式HP http://hosokawatamao.com/

細川珠生ブログ  http://tamao-hosokawa.kireiblog.excite.co.jp/

トップ画像/中谷元衆議院議員と細川珠生氏 ©Japan In-depth編集部


この記事を書いた人
細川珠生政治ジャーナリスト

1991年聖心女子大学卒。米・ペパーダイン大学政治学部留学。1995年「娘のいいぶん~ガンコ親父にうまく育てられる法」で第15回日本文芸大賞女流文学新人賞受賞。「細川珠生のモーニングトーク」(ラジオ日本、毎土7時5分)は現在放送20年目。2004年~2011年まで品川区教育委員。文部科学省、国土交通省、警察庁等の審議会等委員を歴任。星槎大学非常勤講師(現代政治論)。著書「自治体の挑戦」他多数。日本舞踊岩井流師範。熊本藩主・細川家の末裔。カトリック信者で洗礼名はガラシャ。政治評論家・故・細川隆一郎は父、故・細川隆元は大叔父。

細川珠生

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