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.政治  投稿日:2019/5/20

「拉致問題軽視に懸念」中山恭子参議院議員


「細川珠生のモーニングトーク」2019年5月18日放送

細川珠生(政治ジャーナリスト)

Japan In-depth編集部(石田桃子)

【まとめ】

・5月、飛翔体を発射した北朝鮮の意図はアメリカの注意をひくこと。

・「拉致問題より日朝国交正常化」という外務省の姿勢に懸念。

・日朝首脳会談は「無条件」であれ交渉次第で拉致問題解決にプラス。

 

【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て表示されないことがあります。その場合はJapan In-depthのサイトhttps://japan-indepth.jp/?p=45846でお読みください。】

 

今回は、担当大臣などを歴任して拉致問題に取り組んできた、希望の党・参議院議員の中山恭子氏をゲストに迎えた。

 

今月、北朝鮮は短距離弾道ミサイルを、立て続けに発射した。細川氏は、「これは一切の弾道ミサイル発射を禁じている国連安保理決議に違反した行為」と指摘。中山氏は、北朝鮮の意図は、「アメリカの注意をひくこと」だと述べた。「アメリカに届くような長距離のものではなくて、問題になりそうでならない位のものを飛ばしてみた、という状況だろう」と説明した。

 

細川氏は、北朝鮮の発射した飛翔体が、日本の領海内に届く可能性もあったことに言及。日米両国の北朝鮮問題に対する重要度の認識に差があることを指摘した。従来、日米は足並みをそろえて取り組む方針であったが、「日本の主体的な、北朝鮮問題に関わる外交力が問われてくる」と述べた。

 

中山氏も、米大統領は「本気で大変だと思えばすぐ動くはず」と述べ、さらに、「日本政府の中で拉致被害者を取り戻さなければという思いで動いている者は極めて少数」だと述べた。

 

中山氏は、菅義偉官房長官が拉致問題担当大臣を兼任するなど、官邸を中心とした体制ができたことを、良い変化として評価した。しかし、「拉致被害者の救出よりも日朝国交正常化を優先する」という外務省の方針は、2002年の平壌宣言から変わっていないという。

 

細川氏は、日朝首脳会談に対する安倍総理大臣の姿勢の変化に言及し、「拉致問題より日朝国交正常化」という考えの表れではないかと指摘した。安倍総理大臣は、今月、無条件での日朝首脳会談開催を目指す方針を明らかにした。これまでは、拉致問題解決を会談の前提条件としていた。

 

中山氏は、「総理ご自身がそこまで割り切ってはいないと期待しているが、外交関係としてはそういった方向で動いている可能性は強い」と述べた。中山氏によると、「無条件の日朝首脳会談実現」は、安倍総理が拉致問題を軽視することを必ずしも意味しない。安倍総理が金正恩委員長に直談判することは、拉致問題解決にとって意味のあることだからだ。ただし、会談のお膳立てをする段階で、拉致被害者救出が軽視される可能性については懸念が残るという。

 

中山氏は、北朝鮮は拉致被害者を「自分のもの」と考えていることだと指摘。そうした相手にただ「返してくださいというお願いするだけでは帰ってこない」。「もっと違った交渉」が必要になると述べた。

 

 

中山氏は今期をもって政界を引退する。長年、拉致問題に関して中心的に活動してきたが、「一番無念なことは、この長い年月、状況が全く動いていないこと。被害者のご家族の様子を見ると残念な思いがある」と述べた。

 

細川氏は、「立場は変わられるが、被害者のご家族の方々を励ましながら、ご活躍いただきたい。」と述べて、対談を締めくくった。

 

(この記事はラジオ日本「細川珠生のモーニングトーク」2019年5月18日放送の要約です)

 

「細川珠生のモーニングトーク」

ラジオ日本 毎週土曜日午前7時05分~7時20分

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写真:©Japan In-depth編集部

 


この記事を書いた人
細川珠生政治ジャーナリスト

1991年聖心女子大学卒。米・ペパーダイン大学政治学部留学。1995年「娘のいいぶん~ガンコ親父にうまく育てられる法」で第15回日本文芸大賞女流文学新人賞受賞。「細川珠生のモーニングトーク」(ラジオ日本、毎土7時5分)は現在放送20年目。2004年~2011年まで品川区教育委員。文部科学省、国土交通省、警察庁等の審議会等委員を歴任。星槎大学非常勤講師(現代政治論)。著書「自治体の挑戦」他多数。日本舞踊岩井流師範。熊本藩主・細川家の末裔。カトリック信者で洗礼名はガラシャ。政治評論家・故・細川隆一郎は父、故・細川隆元は大叔父。

細川珠生

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