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.政治  投稿日:2024/4/28

陸自装甲車両調達の最新情報 24年度防衛予算


清谷信一(防衛ジャーナリスト)

【まとめ】

・3月28日2024年度防衛予算が成立。

・国産化のため初度費158億円が計上されているが、今年度国産化は見送られる可能性。

・現段階では結論出ず、防衛省のより高いレベルでの調整が行われている。

 

3月28日2024年度防衛予算が成立した。

陸上自衛隊が調達する装甲車両、火砲は以下の通りとなる。

10式戦車10両(168億円)、16式機動戦闘車19両(171億円)、19自走155ミリ榴弾砲16両(151億円)、新型では国産8輪装甲車である、共通戦術装甲車の歩兵戦闘車型が24両(246億円)、次期装輪装甲車として採用されたAMV XPの装甲兵員輸送車型が28両(203億円)となっている。

共通戦術装輪車は、各種事態において、16式機動戦闘車と連携し、敵の制圧・撃破や敵情の解明を行うことを目的としている。一方次期装輪装甲車は、各種事態において、陸自部隊が、敵の火力脅威が存在する中で、部隊の安全を確保しつつ戦場機動、人員輸送等を行うことを目的としている。

量産型の 調達単価は  下記のように見込まれている。共通戦術装輪車(歩兵戦闘車)約10億円、 共通戦術装輪車(機動迫撃砲)約10億円、 装輪装甲車(人員輸送型)AMV約7億円。

共通戦術装甲車は三菱重工が16式MCVをベースに自社開発したもので、上記の予算以外に初度費が131億円計上されている。共通戦術装甲車は今回調達される歩兵戦闘車は主砲にブッシュマスターMk.44 30mm機関砲を、同軸機銃にはMk.52 7.62mmチェーンガンを採用している。その他タレスのR2M迫撃砲システムを搭載した120ミリ自走迫撃砲システム、エルビット社の光学電子センサーシステムを採用した偵察型が調達される予定だ。

▲写真 CTWV SHP 共通戦術装輪車120ミリ自走迫撃砲型 提供:防衛省陸上自衛隊陸上幕僚監部広報室

車体概要については「仕様細部を調整中のため公表しない」と陸幕公報は述べている。

ネットワークシステムは10式戦車と同じ10TKNW(10TanK NetWork)システムが採用されている。歩兵戦闘車型は150両、自走迫撃砲型は100両、偵察型は120両の調達が見込まれている。

▲写真 共通戦術装輪車歩兵戦闘車型 提供:防衛省陸上自衛隊陸上幕僚監部広報室

AMVのAPC型は480両が調達予定で戦闘重量26t、全長8.3m、全幅2.9m、全高3.2mで最大速度は時速100キロ以上で、NBCシステム、エアコンが標準装備されている。

APC型の兵装は一部車輌がKongsberg社の12.7ミリ機銃を搭載したプロテクターRS4を装備する。それ以外の車輌は12.7ミリ機銃あるいは40ミリグレネードランチャーMk19が搭載される予定である。

装甲兵員輸送車型以外に、指揮通信型、施設支援型、兵站支援型、装甲野戦救急車型が調達される予定だ。 

AMVのネットワーク関連では指揮通信型のみ10TKNWが搭載されるが、他のバリアントは広域多目的無線機のみが搭載される。バトルマネジメントシステムなどは搭載されておらずネットワークはされていない。

広域多目的無線機は総務省が防衛省に割り当てている電波の周波数帯は軍用無線に適しておらず、広域多目的無線機は現代の無線機としてはアナログ、デジタルともに変調方式が大変遅く、伝送速度はHFで約2.4kbpsでしかない。音声やメール、静止画像をおくるのが精一杯である。他国のようにデータや動画を送ることはできない。

今回、国産化のため初度費158億円が上記とは別に計上されているが、今年度は国産化は見送られる可能性が大きい。これは財務省が難色を示しているからだ。それは生産を担当する日本製鋼所がコマツの社員やベンダーを利用するつもりだが、装甲車両の製造経験がなく、三菱重工などの既存の装甲車メーカーに比べて初期費用が莫大になる可能性があることや、コマツが撤退して三菱重工、日立の2社体制の装甲車メーカーが再び3社になって調達性が低下し、高コスト化することを心配しているからだ。これまで日本の装甲車は調達ヘースが低いために一般に調達に30年ほどかかっている。このため調達コストも高い。 

次期装輪装甲車のトライアル時にはパトリアとその代理店であるNTKインターナショナル社は、国内製造メーカーを確保できていなかった。NTKインターナショナル社は日立に接触したが、小規模な専門商社であり、装甲車両関連の実績もなく日立を説得できなかった。その後、住商エアロシステムが仲介に入ってパトリア社は昨年8月に日本製鋼所と国内生産の契約を結んだ。

財務省は日本製鋼所以外の装甲車メーカーによる国内生産、あるいは輸入を求めており、それが決まらない場合、本年度の初度費は輸入調達に振り向けていいとしている。現段階では結論が出ておらず、財務省、防衛省のより高いレベルでの調整が行われている。

また防衛省は明らかにしていないが、豊和工業が000装甲車用の発煙弾発射器及び発煙弾の製造を終了することから、今後共通戦術装甲車、次期装輪装甲車含めて、KMW社の発射器とラインメタル社の発煙弾が導入される。これらは既存の豊和工業の製品の在庫がなくなり次第調達される予定だ。

※取材協力 陸上幕僚監部広報室

トップ写真:次期装輪装甲車(AMV)提供:防衛省陸上自衛隊陸上幕僚監部広報室




この記事を書いた人
清谷信一防衛ジャーナリスト

1962年生 防衛ジャーナリスト 作家。日本ペンクラブ会員。

2003~08年まで英国の軍事専門誌『ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリー』日本特派員を務める。ドイツの防衛専門誌、「European Security and Defence」(英字誌)日本特派員。 東洋経済オンライン、Japan indepthなどのオンラインメディアにも寄稿。

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