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.政治  投稿日:2018/7/2

「米朝首脳会談、評価されるべき」佐藤正久外務副大臣


「細川珠生のモーニングトーク」2018年6月16日放送

細川珠生(政治ジャーナリスト)

Japan In-depth 編集部(小俣帆南

【まとめ】

・会談や共同声明の内容ではなく、米朝首脳会談が開催されたことを評価すべき。

・非核化の具体的プロセスについては引き続き検討し、改めて文書にする必要あり。

・拉致問題解決の為には、日朝間での首脳会談も不可欠。

 

 

6月12日、史上初の米朝首脳会談がシンガポールで開催された。世界中が注目したこの会談について、政治ジャーナリストの細川珠生氏が、外務副大臣・自民党 佐藤正久参議院議員に話を聞いた。

 

米朝会談では、トランプ大統領と金首席によって共同声明への署名がなされたが、その内容については抽象的だという批判も相次いでいる。非核化を目指すことへの合意はあったものの、具体的なプロセスは明記しておらず、また拉致を含む人権問題にも言及していない。この点に関し細川氏は、共同声明の内容には日本のみならず世界が落胆したのではないかとの懸念を示した。

 

それに対して佐藤氏は、「朝鮮半島や東アジアの緊張緩和、という意味では今回の会談を評価すべきだ。」と述べた。実際、昨年は核実験やミサイルの発射が繰り返され、その解決手段として武力行使さえ考慮された。冷静に見れば、対話志向に転換して以来、日本の安全という面でも状況は改善している、と会談の開催そのものを評価する考えを強調した。

 

一方で細川氏は、現在の緊張緩和は一時的なものではないのかと指摘した。会談実現の為、一時的に米朝両国が過激な言動を慎んでいるという見方も出来る。確かに、これまで北朝鮮は非核化に合意しながら、具体的検証等の約束を反故にしてきた過去を持つ。共同声明で非核化の具体的プロセスを明記していないのでは、過去を繰り返すことにはならないのかとの懸念が残る。「必ずしもこの会談が未来への前向きなステップになるとは思えない。」と細川氏は述べ、朝鮮半島の非核化の実現に懸念を示した。

 

この指摘に対して佐藤氏は、「敵対国のトップ同士が握手をして合意を交わした点で、今回は前回までの合意とは大きく異なる。」と述べた。また、今回の会談の目的はフレームワークの作成であり、具体的な内容についてはこれから協議の必要があることを佐藤氏は強調した。

 

また佐藤氏は、会談後もアメリカの最終目標がCVIDであることに変わりはなく、核兵器やミサイルの廃棄について、その方法や期限、具体的検証などを改めて文書にまとめる作業は不可欠、とした上で、今回の会談の雰囲気をうけて制裁を緩和する動きについては批判した

 

更に拉致問題に関して佐藤氏は、「日本は核ミサイル問題と並行で拉致問題を解決へと進めていく必要があるが、米朝会談を経て漸く、日本が主体的に動ける段階になった。」と述べ、拉致問題の進展に期待感を示した。

 北朝鮮にとって最も関心が高かった「体制保証のための非核化」は米朝間の問題であり、日本はそこに介入出来なかった、と佐藤氏は指摘した上で、米朝関係に拉致問題を入れ込み、解決へのきっかけを作ろうとするのが今までの拉致問題へのアプローチの方法だった、と述べた。しかし、「現在の情勢を踏まえ、拉致問題解決の為には、日朝間の首脳会談が欠かせない。」として、安倍首相と金正恩書記長との直接会談が不可欠との考えを示した。

 

最後に佐藤氏は「軍事圧力や経済制裁の末、北朝鮮はやむを得ず、自ら“交渉”というテーブルについた。北朝鮮の行動は国際社会として見逃すことは出来ず、本来、米朝両国の立場は対等ではない。しかし、外交交渉では、目標と達成したものとのギャップを詰めていくことが大切だ。これからが正念場だ。」と締めくくった。

 

「細川珠生のモーニングトーク」

ラジオ日本 毎週土曜日午前7時05分~7時20分

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この記事を書いた人
細川珠生政治ジャーナリスト

1991年聖心女子大学卒。米・ペパーダイン大学政治学部留学。1995年「娘のいいぶん~ガンコ親父にうまく育てられる法」で第15回日本文芸大賞女流文学新人賞受賞。「細川珠生のモーニングトーク」(ラジオ日本、毎土7時5分)は現在放送20年目。2004年~2011年まで品川区教育委員。文部科学省、国土交通省、警察庁等の審議会等委員を歴任。星槎大学非常勤講師(現代政治論)。著書「自治体の挑戦」他多数。日本舞踊岩井流師範。熊本藩主・細川家の末裔。カトリック信者で洗礼名はガラシャ。政治評論家・故・細川隆一郎は父、故・細川隆元は大叔父。

細川珠生

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