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.経済  投稿日:2014/3/17

[安倍宏行]<今、セブ島の起業家が熱い>アジアと共に成長する〜フィリピンに集まる日本の起業家たち


Japan In-Depth編集長

安倍宏行(ジャーナリスト)

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フィリピンに日本人起業家が集まっている。そんな噂を耳にして、まずはセブ島に飛んだ。

結論から言おう。会う日本人という日本人が熱い!とにかく、皆、熱いのだ。

日本からわずか5時間あまり。時差も1時間という立地。そして英語が公用語。それに加え、物価が安い、人が良い、ときたら住まない理由を探す方が難しい。

そんなセブでまず尋ねたのは、日本人向け英会話学校を経営する、ユナイテッド・リグロース株式会社のCEO 呉宗樹(Oh Jong Soo)さんだ。もともと英語も苦手、コネも資本も、何もない状況で2人の友人と共にセブ島で起業した。そして1年半。既に200人の卒業生を送り出し、さらなる成長に向け、サービスの質を高めているところだ。だが彼の話を聞いていて、セブでの起業の本当の意味を知った。

「僕は今フィリピンは、”ALWAYS三丁目の夕日”(の時と同じ時代)だと言ってる。若い世代が海外に出るべきだ。今の日本はストレス社会。でもこっちに来るとストリート・チルドレンがいたりしてマインドが変わる。日本での自分の生活、何だったんだって。人間関係の悩みとかちっちゃかったな!と。海外に出て当り前、と言う事を発信していきたい。」(ユナイテッド・リグロース株式会社・呉宗樹氏)

その先には、若い世代が海外にどんどん出て、アジアの人と共に成長して行こう、という熱い思いがある。30そこそこの若者がそこまで考えてこの地に来ている事にまず度肝を抜かれた。

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(ユナイテッド・リグロース株式会社・呉宗樹氏/DONNA D’BEAUTY CREATION INC・佐々木勝氏/Cebu Pot・CEO・佐藤ひろこ氏)

 

関西のトップヘアアーチストもセブに魅せられた一人だ。奈良を中心にチェーン8店舗を展開するDONNAの佐々木勝さんの夢は、美容学校を作る事。フィリピンを足がかりに世界に戦えるアーティストを育てる、と壮大だ。しかし、事業計画は堅実そのもの。現地の大学にまずは講座を持ち、そこで日本式のサービスをしっかり身につけた人材を育成する計画だ。

現地で情報サイトCebu Potを運営する佐藤ひろこさんは、女性にとって起業しやすい場所だと強調する。

「ここフィリピンは女性の管理職の割合が51.8%、女性が活躍できる土壌がある。バリバリ仕事をしている女性も、こちらでは子供もどんどん産む。親日だし、(現地の人が)後押ししてくれた。海外に出るアドバンテージを次の世代につないでいきたい。」(Cebu Pot・佐藤氏)

そして、これからビジネスを立ち上げようとしている人達にも会えた。

神奈川で、車のコーティングの商売をしている株式会社エイチビーの飯村建樹氏は、富裕層向けにカー・コーティング・サービスを提供しようと意気込む。いっそのこと日本の倍以上の値段をつけようかどうか、迷い中と言う。日本で当り前のサービスも、ここセブでは全くの新ビジネス。参入の仕方次第で、とてつもない可能性を秘めている。

昭和30年代、海外に打って出た日本人ビジネスマンはきっとこんなだっただろうな、と思わせるインタビューだった。

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(株式会社エイチビー・飯村建樹氏 / 女子大生カイユリコ氏)

 

また現地には、現役女子大生もいた。某国立大学4年生のカイユリコさんは、現在、ファッション関係のeーコマースを立ち上げようとしている真っ最中。企業秘密なので今は全部は明かせないそうだが、初夏には新サービスをスタートさせたいと意気込む。何故、ファッションか?との問いに対しては、平均年齢が20代と若く、ファッション消費の伸びが急カーブを描いている事、女性の自意識が世界一高く、ファッションへの関心がずば抜けて高い事、などを分析した結果だ、とあくまで冷静だ。

20代から40代、更にその上の世代まで。多くの日本人が起業を目指すフィリピン。

私がインタビューした人達は僅か数名だったが、共通していたのは、アジアの人達と共に成長して行こうというスピリットだった。日本では聞かれない、そんな純粋で、でもワクワクする想いを共有できたことは、この旅の一番の収穫だった。

 

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