[安倍宏行]<福島版Happy!が人気>「Happy!」を踊る福島人の笑顔に見る「本当の福島」
Japan In-Depth編集長
安倍宏行(ジャーナリスト)
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グローバルな“恋チュン”ビデオの勢いが止まらない。
アメリカの歌手、Pharrell Williams (ファレル・ウィリアムス)のメガヒット“Happy”に合わせて踊るYoutubeカバー動画が世界規模で拡大中。”恋チュン“、”アナ雪“に続く大ブームとなっている。
その原宿版も絶好調。渋谷区長、お相撲さん、ロボットのASIMO(アシモ)やプロレスラー蝶野正洋氏らが出演、ゴスロリやストリートファッションに身を包んだ若者らが軽快なダンスを披露、世界の「Harajuku」の魅力を余すことなく詰め込んだ映像が話題を集め、既に67万回再生となり(6月13日現在)、100万回再生を目指している。
先日、原宿版制作の仕掛け人、Restaurant-I(レストラン・アイ)のオーナーシェフ松嶋啓介氏の主催で、クリエーターや原宿応援団の面々が一堂に介して、2020年のオリンピック開催をめざし、さらに原宿を海外の旅行客にとって訪問しやすく、魅力的な街にするための取組が発表された。
そんな中、福島版も誕生し、これまた人気を博している。6月1日にリリースされたばかりだが、2週間で既に25万回再生だ。
制作したのは、株式会社ソーシャルメディア研究所代表取締役熊坂仁美さん。Japan In-depthの寄稿者でもある熊坂氏は福島在住で、福島版を作った動機を語った。
「原宿版に刺激を受けたのは事実。でも、一番のきっかけは”美味しんぼ“騒動。実際の福島を世界中の人に見てもらいたかった。」(熊坂氏)
“美味しんぼ”は、主人公らが鼻血を出すなど、過激とも思える描写で、敢えて福島の抱える問題を世に問うた。その手法に賛否両論、議論が巻き起こったのは記憶に新しい。
しかし、熊坂氏は実際の福島は全く違う、と強調する。
「“美味しんぼ”の時、いろいろ騒がれたけど、私たちはこんな風にhappyに暮らしてるんだよ、というのを見てもらいたかった。」(熊坂氏)
福島版には、ボランティアとして敢えて就業時間外に制服を脱いで乗客として出演した福島駅長や県の職員、タレントのなすびさんやお坊さんなどの明るく、自然な笑顔とダンスに思わず見ている方も顔がほころぶ。福島駅構内や浄土平、高湯温泉、野地温泉といった福島を代表する観光地が舞台で、地元の産品「赤べこ」や「土湯こけし」なども登場し、郷土色満載だ。
カタカナの“フクシマ”から“福島”へ。福島版“happy”ビデオは、福島の人々の誇りと矜持が垣間見える作品となっている。
「地域の魅力は場所やモノではなくて、そこに暮らす“人”が醸し出す。」(熊坂氏)
福島に住む人の福島に住む人による福島に住む人のための“happy ビデオ”又一つ、福島について考えるきっかけを与えてくれた。
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