[安倍宏行]テレビ・キー局内定者の大学生が飲み会で自慢トーク 「オレたち、すごくね?」論争の愚
Japan In-Depth編集長
安倍宏行(ジャーナリスト)
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某キー局出身の大学教授の「オレたち、すごくね?キー局内定者飲み会での傲慢トークの一部始終」と題する記事が話題だ。キー局内定者の大学生たちが飲み会で傲慢トークを繰り広げた、という内容なのだが、正直どうでもいいや、と思っていた。内定者=大学4年生が何を言おうと学生の戯言、目くじら立てるほどのこともない。
すると、この投稿に対して、テレビ局出身のPRプロデューサーの方が、「テレビ業界でメシを食ってきた当事者がテレビ業界の内定者をDisる、醜さと、切なさと、心貧しさと。」という批判記事を書かれた。
人の振り見て我が振り直せ、自分がいた業界をDisることは“てんつば”もの、常に建設的であらねばならなぬ。そう戒めている私であるが、今度は友人のイケダハヤト氏が、「キー局内定者はブログ書こうよ!完全に今でしょ!うちに寄稿してください!」と記事で、内定者にブログで意見表明することや、ご自身のサイトへの寄稿を呼びかけている。多分、誰も書かないでしょうが。
ほかにも、元フジアナやネットメディア編集者らが、いろいろ書いているがどれもいい大人が何を言ってるのか・・・という程度のことだった。そうした中で、東大の学生が書いたこの記事は極めて冷静かつまともだった。
私も激しく同意する。今までのテレビをぶっ壊す。既存プラットフォームを最大限生かしながら、新しいメディアを創る。こんなエキサイティングな仕事はそうそうないだろう。そうした可能性がある業界に飛び込んでいく学生には期待しそこすれ、ダメだと決めつける理由などさらさらない。
どんな業種だって、変革を怠れば、停滞し、やがて消滅していく。成長し続けるためには、いつだって、自己変革が求められる。新聞も同じこと。要は、それができるかできないかしかない。
かくいう私も、昨年フジテレビから「独立」した。私は中にいるより外に出たほうが自由にできると思ったから、出ただけ。中にいたほうがよりでかく、より革新的なことができる、と判断するなら中にいればよい。それはその人の自由だ。
大切なのは、
- より魅力的なコンテンツを提供する「新しい仕組み」とはどのようなものなのか?
- そこにユーザーはお金を払ってくれるのか?
という、極めてシンプルだが、極めて難しい問いにどう答えるか、である。
テクノロジーは日々進化する。我々メディアの人間もそれにより出来る事がどんどん変わる。新しい時代の新しいメディアはどうあるべきなのか。
内定者君もメディアの若手もおっさんもみな同じ土俵でうんうん唸ってメディアの変革を目指せ!それが正しいお作法だと思うし、そうあってこそユーザーもついてくるのだと思う。
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