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.経済  投稿日:2013/10/18

[安倍宏行]東京の”OMOTENASHI度”は?


Japan In-Depth編集長

安倍宏行(ジャーナリスト)

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都心のみならず、観光地を訪れる外国人旅行客。最近、やたら目につきませんか?円安効果、想像以上に凄い。その結果筆者は、最近とみに外国人旅行客に道案内する機会が増えた。

きょうは渋谷でガラゴロでかいバッゲージ転がしているアジア系女子二人に遭遇、「ドウシマシタカ?(英語で)」と聞いたら「コノホテルニイキタイケド、バショ、ワカラナーイ」と仰る。渋谷南口付近のホテルらしいが、知らないホテルだったので、電話して場所を確認、2人に道案内してあげた。聞けばシンガポールから来たという。

数日前は新橋から汐留方面へ、これまたガラゴロやってる欧州人とおぼしき旅行客が地図と睨めっこしているのでおせっかいした。「コノホテルニイキタイノダガ・・・?」というから「ソレハコノ500メートルサキダ」と教えたら「ソンナハズハナイ、ジゼンニシラベタラ、ココカラ300メートルクライサキノハズダ」とやけに自信たっぷりだ。GoogleMapで調べてきたらしい。ロシア女子、事前の準備がしっかりしてる。

どちらのケースも周りにいた日本人は誰も彼らを助けてあげていなかった。無関心というのもあるし、英語で話しかけれてもうまく答えられない、というのもあるだろう。私は45年前から、道に迷っている人は助けてあげなければいけない、との信念の下、海外からの旅行者が立ち往生している時は必ず声をかけるのをモットーとしている。(怪しまれて「ケッコウデス」とにべもない外人さんもたまにはいるが・・・)

さて、森記念財団のシンクタンク、都市戦略研究所が16日発表した2013年版「世界の都市総合力ランキング(注1)」によると、東京は、ロンドン、ニューヨーク、パリに次ぐ4位だった。これは去年と同じランキング。しかし、オリンピックが開催される2020年までに、交通アクセスの不便さを改善すればパリを抜いて3位になる可能性があるという。

ランキングを上げるためには、まず成田、羽田両空港から都心へのアクセスの悪さをどう改善するかが第1の課題。第2の課題は、東京都内のオリンピック会場周辺の交通の便の改善だ。新交通システムゆりかもめは完全にキャパオーバー、鉄道は他にりんかい線等しかないため、勢いバスに頼る事になるが、一般車両のエリア内の流入を制限してでも、都心宿泊施設ー会場間をピストン輸送する、位の決意が必要だろう。

そうしたハード面でのサービス改善は言うまでもないが、問題は最初に書いた道案内の例のように、訪れる外国人旅行客に対する「OMOTENASHI」度をどう向上させるか、だ。7年間に日本人の語学力が飛躍的に伸びるとは思えないが、少なくとも今ほとんどない、外国人旅行客向けインフォメーションセンターをターミナル駅とオリンピック会場周辺に大量設置する必要があろう。

同時に、各国語に堪能な学生や、社会人、主婦などのボランティアを募集、これまた大量投入することも必要だ。無料スマホアプリで様々なサービスも提供してもらいたい。各国語の無料音声ガイダンスのレンタルもあっていい。

海外に行って切符を変えなかったり、道に迷っても案内表示が無くて困った人は多いだろう。OMOTENASHIを国際的に標榜するなら、「日本に来て本当に良かった!」と言われるくらい、ソフト面を磨くことが、観光立国日本にとって最重要課題だろう。

(注1)「世界の都市総合力ランキング」都市の全体的な力を分析、順位付けするもの。GDP、企業の集積度合い、美術館数、人口当たり医師数、CO2排出量、公共交通機関の正確さなど70指標で評価。対象は世界40都市。

 

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