[Japan In-depthニコ生公式放送リポート]徹底討論!<ベネッセ事件を考える>どうする!?個人情報ダダ漏れの恐怖
Japan In-Depth編集部|Japan In-depthチャンネル 2014年7月16日(土)放送
教育事業大手のベネッセホールディングスから顧客の個人情報約760万件が流出した。安心だと思われていた大企業からの大量流出、そしてさらにまた別の大手企業がその情報を買っていた。
情報化社会の中で日々生活している私たちはどう気をつければよいのか。ゲストは最先端のメディア研究・メディア技術に詳しい東洋大学総合情報学部の藤本貴之准教授に水野ゆうき我孫子市議。MCは先週に引き続き石川和男氏、サブMC坪井安奈でお送りした。
情報漏えいは私たちにとって非常に身近な問題だ。小学校に入学すれば「入学おめでとう」と通信教育のDMが届き、20歳になれば成人式の振袖カタログが届く。
個人情報がダダ漏れになっていると言えるが、私たち個人に特段大きな被害があるわけではない。石川氏は「本当にばれちゃいけない個人情報って何だろう」と疑問を投げかけた。
その一つがメールやサイトのパスワードだ。Japan In-Depthのサーバーにも、毎日不正アクセスがあり、何者かが管理者ページに適当なパスワードでログインしようとしていると藤本氏は指摘。イタズラで記事の内容を書き換えられてしまったら、寄稿者にとっても、Japan In-Depthにとってもダメージがある。
水野議員のメールにも不正アクセスがあるという。政治家である水野氏の名前を騙って、何者かがメールを送ったりしたら大きな被害だ。最近よく聞くLINEのアカウント乗っ取りは、相手になり済ましてWebマネーを購入させるという手口だ。
被害に合わないための究極の対策は、そういったものを一切使わないことだ。LINEをインストールした時点で私たちは少なからず情報を開示していることになる。しかし、この世の中で全てを排除して生きていくわけにもいかないので、「危険性を知った上でうまく使っていくことが大切」と石川氏は指摘した。
藤本氏は、「インターネットによって情報が誰にでもすぐに手に入るようになったように見えるが、インターネットは知識のある人にしか使えない」と語る。インターネットには膨大なデータベースがあるが、キーワードを使ってそれを検索しなければ、情報を取り出すことはできない。知識を持たない人にとっては、情報が見える形で置いてある図書館の方がよっぽど取り出しやすいのだという。
役所に「情報共有しろ」と言うと「ホームページに載せていますよ」という回答を得るが、それでは市民には届かない。一般の人の目に届くところに大切な情報を掲載しなければ、本当の意味で「情報共有」したことにならないことが問題だと、水野議員も指摘した。
話題はFacebookなどにおける10代~30代とそれより上の世代の感覚の違いに及んだ。若い世代はとにかく何でも写真をアップしてタグ付けする。水野氏は「若い世代には‘みんなに自慢したい’、という意識があるのかもしれない」と語った。
藤本氏はFacebookで出身校などを明らかにしている若者が多いが、その感覚が理解できないという。「普通にしていたら繋がらない人とは繋がらなくていい」とい考えに対し、坪井は「いや、懐かしい人たちと繋がりたい」と反論。石川氏も「確かに知られたくないものも沢山ある…」と語り、世代の違いを感じさせた。
話はベネッセ問題からネット社会に関する様々な論点に広がったが、水野議員は、今回の事件を通して「リテラシー能力を上げる事が重要だ」と指摘した。
情報化社会に生きる私たちにとって、インターネットを使わない生活は考えにくい。適切に使うためにも、知識を得ることが大切なのだ。国民がインターネットをうまく使いこなせるようになれば、3割の人がポスターで投票者を決めるという選挙が変わり、そして、政治そのものが変わっていくのではないだろうか。
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