.国際  投稿日:2014/9/11

[藤田正美]【自衛隊「攻撃能力」強化へ?】

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 藤田正美(ジャーナリスト)

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言論NPOと中国日報が行ったアンケート調査によると、中国人の半分以上が「日本と戦争する可能性がある」と答えたそうだ。尖閣という岩だらけの無人の島をめぐって、人の命をかけて争うことがあるのかどうか、そう簡単には言えない。しかし雰囲気としてはそうとう危険な範囲に入ってきていると言えるのかもしれない。

そうした雰囲気と合わせるように、9月10日付けでロイターが伝えたところによると、日米の当局者が、自衛隊の攻撃能力を高めることについて議論しているのだという。「攻撃能力」そのものが議論されること自体が、日本の防衛について意識がかなり変わってきたということだ。

自衛隊は装備も進んでいて、練度も高く、世界でも有数の軍隊とされている。しかし決定的に他国の軍隊と違うのは、平和憲法の下で「自衛」に徹していることだ。基本的には外国の領土に出かけていって敵軍の基地を叩いたりする能力はない。

海から上陸するような手段も限られているし(アメリカから新しい水陸両用の装甲兵員輸送車を導入することになったのは昨年のことだ)、それを空から支援する能力も限られている。敵の防衛戦を海から攻撃する(昔流に言えば艦砲射撃だ)も限られている。戦闘機に給油する空中給油機が本格導入されたのも、つい4年ほど前のことだ。空中給油がなければ航空自衛隊の戦闘機はたとえば北朝鮮に行っても戻ってくることができないが、もともとはそんなに遠くにいくことは想定されていなかった。

その自衛隊が兵力を従来の枠を越えて部隊を展開する能力を持つという話し合いが日米でもたれているというのだ。直接のきっかけは北朝鮮のミサイルだ。もし日本をターゲットに発射される可能性があるということが判明した場合、あるいはすでに日本に弾着したが、続けて発射される状況にある場合、何とかその基地を叩けないかという問題意識だ。

もちろんこれは従来の方針を大きく変えるものであり、それについてアメリカが「容認」していると受け取られれば、中国は強烈に反発するだろう。海洋進出を強める中国にとって、うるさい相手のナンバー1はアメリカだが、中国の太平洋進出をはばむように存在する日本列島とそこを本拠とする自衛隊の存在は目の上のこぶだ。

日米の話し合いはまだまだ非公式のものであるようだが、ひとつ気になることがある。ロイターの記事によると、取材に答えているのは日本の政府当局者だ。こうした伝わり方をすれば、中国が反発することは必至。韓国も場合によっては不快を表明するかもしれない。

http://www.reuters.com/article/2014/09/10/us-japan-usa-military-idUSKBN0H500B20140910

この秋には安倍首相と習近平主席の初会談が実現するかもしれないというのに、このロイター電によって、それが壊れる可能性もあるだろう。だとすれば、この当局者が「リークした意図」はどのへんにあるのだろうか。

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