【野菜は余すことなく食い尽くせ】~環境にも家計にも優しい「エコクッキング」という考え方~
一色ふみ(食育インストラクター/ジュニア・アスリートフードマイスター)
「一色ふみのスポーツ×フード」
最近私の友人で農業に関心を持ち始めた人がいて、いくつかの農家で研修した時の話を聞く機会がありました。面白かったのは、野菜は捨てるところがないという話。
皮と実の間に一番栄養があることは知っていたので、人参や大根の皮などは捨てずにキンピラにして食べていたのですが、じつは種も美味しい、という話を聞いて大変興味を持ちました。
そういえば熟れたゴーヤの種は食べると甘いと聞いたことがあります。よく考えてみれば食べられる種はたくさんあり、かぼちゃやヒマワリの種も美味しいし、ナッツ類や枝豆やギンナンも種です。
思い返せば、私はキャンプやBBQの時はいつもピーマンを種が入ったまま丸ごと焼いて食べていたのですが、種の部分は意外にも気にならなくて甘くて美味しいです。
植物というのは子孫を残すために発芽に必要な栄養や糖分を種にギュッと蓄えるといいます。どうりで栄養豊富で美味しいはず。種には生命力が詰まっているのです。
最近では「ベジブロス」といって、野菜の皮・種・ヘタ・根などのいわゆる”くず野菜”を弱火でコトコト煮込んで作るダシも話題になっています。このダシには豊富な栄養とうまみがたっぷり含まれ、中でもフィトケミカルという抗酸化物質が美容や健康にいいといわれ話題になっています。このダシを使って野菜スープやリゾット、炊きこみご飯などを作るととても美味しいうえに栄養もたっぷり摂れます。
このように普段捨てている部分にこそ栄養やうまみが詰まっており、「野菜は捨てるところがない」というのはまさに理に適っているのです。野菜を無駄なく使いきることは、栄養面だけでなく環境保全にも一役買っています。
野菜の捨てる部分が増えるというのは単純に「生ゴミが増える」ということであって、水分の多い生ゴミを処理場で燃やすというのはそれだけ燃料を使うということでもあります。
野菜に限らず魚も、普段捨てていた部分を美味しく食べてゴミを減らすことができます。例えば、アジやサンマなどの残った骨に片栗粉をまぶし、カリッと揚げて塩コショウをしてレモンを絞ると、カルシウムたっぷりの美味しい「骨せんべい」になります。
このことは近年では「エコクッキング」とも呼ばれ、無駄なく食すことは環境にも家計にも優しく、食べ物を大事にするという食育の一環でもあります。皆さんもこの機会に、野菜や魚の今まで捨てていた部分に少し目を向けてみてはいかがでしょうか。
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