[宮家邦彦]外交・安保カレンダー(2013年11月18-24日)
宮家邦彦(立命館大学 客員教授/外交政策研究所代表)
今週は上海発北京行の「和諧号(中国版新幹線)」の中でこの原稿を書いている。値段は一等座(日本式ではグリーン車)で片道933元(一万五千円程度)だが、この上には、更に値段は高いが、座席がほぼフラットになる「ビジネス座席」もある。
初めは怖い気もしたが、乗ってみれば意外に快適。電源はあるし、少なくとも原稿を書くことに不自由はない。車窓からは農地のど真ん中に時折忽然と現れる高層ビル群が見える。なるほど、これが有名な「鬼城」と呼ばれるゴーストタウンだろうか。
さて今週も個人的に最も気になるのは20日にジュネーブで再開される対イラン核協議の行方だ。先週はエルサレム、ワシントン、コムの強硬派間の「美しき共存関係」に触れ、彼らがロウハニの微笑路線を「潰しにかかるのは目に見えている」、と書いた。
案の定、今朝のCNNはネタニヤフ首相や共和党マケイン上院議員らの厳しいコメントを報じている。日本ではあまり知られていないが、最近オバマの内政的失態が続いている。対イラン交渉が妥結しても、失敗しても、オバマ政権は針の筵だろう。
19日から24日までTPP首席交渉官の会合がソルトレークシティーで開かれる。ポイントは今回でどの程度まで交渉を詰めることができるかだろう。12月に入れば欧米諸国はクリスマス気分となる。
年内の基本合意は今回の詰まり方次第ではなかろうか。かなり詰まればクリスマス前の合意も期待できるが、さて今回はどうだろう。筆者の個人的経験則では大きな貿易交渉が予定通り妥結したことなどないのだが・・・・。
これ以外にも、重要なイベントが目白押しだが、もうこれ以上コメントするスペースがない。
今週はこのくらいにしておこう。いつものとおり、この続きはキヤノングローバル戦略研究所のウェブサイトに掲載する。
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