ゴーンと司法
.政治  投稿日:2015/1/24

[相川俊英]【市議の税滞納に市がお目こぼし!?】~議員に毎年納税証明書提出を義務付けよ~


相川俊英(ジャーナリスト)「相川俊英の地方取材行脚録」

執筆記事プロフィール

 

社会的な課題を解決するために皆んなで出し合うカネが、税金である。この税金の集め方と使い方を決めるのが、政治だ。昔は特定の人しか政治に関われなかったが、今は主権在民の世の中となった。ひとり一人の主権者が選挙などを通じて意思表示し、税金の流れを決める建前となっている。議会や行政機関に代表者(代理人)を送り込む代議制民主主義の本旨である。

そのため主権者が与り知らぬうちに課税されたり、恣意的に徴税されるようなことは民主主義の下ではありえないし、あってはならない。税の取り扱いは、ルールに基づいて公平公正に行われるのが大原則だ。

こうした民主主義の根幹を揺さぶるような重大事案が、ある地方都市で発覚した。市議による地方税の滞納とそれに対する行政側の特別扱いである。市が議員の税の徴収に対し、密かにおめこぼしを続けていた疑いである。

熊本県菊池市で1月22日、市議会に設置された100条委員会が開かれた。テーマは市議に対する市税の賦課徴収に関するもので、市当局から関係書類が提出された。実は、菊池市では数年前から市議による税滞納疑惑が持ち上がっていた。疑惑が浮上していたのは4人の市議で、事態を問題視した市議会は「個人情報が漏れているのでは」と100条委員会を設置し、市職員を訊問した。議員の税滞納疑惑を解明せず、職員による情報漏えいを一方的に疑ったのだ。

この時の100条委員会は「漏えいの確証は得られなかった」との結論を出したが、市当局は二人の職員を強引に処分した(その後処分は不当とされ、取り消しに)。その一方で、市は「議員の滞納はなかった」との答弁を繰り返した。

市議選後の2014年9月、市議会全員協議会で各議員の納税証明書を自主的に提出することになった。その結果、2人の議員に過年度の滞納があったことが判明(他の2人はともに非議員に)し、市が偽りの答弁を重ねていたことが明らかになった。

そればかりか、市が滞納議員に特別な対応をしていたことが次々に発覚した。担当職員ではなく、課長が対応し、しかも自宅などに足を運んでいた。時効を中断する誓約書を取らず、しかも、議員報酬(年額500万円以上)を差し押さえることもしなかった。

市の不適切な事務処理を問題視した議会は、滞納議員に対する市税の徴収業務の実態を究明し、市民の信頼回復を図るべく昨年末に100条委員会を設置したのである。全貌解明にはまだ時間がかかりそうだ。

ところで、税を滞納している議員の話はよそでもよく耳にする話だ。議員報酬をもらっている公人として税滞納は、本来、あり得ないのだが、うやむやになっているところがほとんどだ。議員に毎年、納税証明書の提出を義務付ける必要があるし、選挙の際にも添付を必須とすべきだ。

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