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.国際  投稿日:2015/4/3

[Ulala]【キッパリ意思を伝える事の大切さ】~GACKTさんがパリで遭った人種差別~


Ulala(ライター・ブロガー)「フランス Ulala の視点」

執筆記事Twitter | Website

ミュージシャンのGACKTさんがパリのホテルで露骨な人種差別に遭ったとして、そのいきさつを30日配信のブログマガジンで紹介していた。

内容は、入口近くの眺めのいい席に腰を下ろすと、他に誰も客が居ない時なのにも関わらず、店員に奥の席へ行くよう告げられたが、後から来た白人客が、GACKTさんがさっきまで座っていた席に着き、店員は何も言わなかった。その後、アジア人客がまた入り口近くの席に座ろうとしたが、GACKTさんの近くの席を指示され、次に中国人の団体客も同じ扱いだった。

それを見て、人種による差別だと感じたGACKTさんがいったんビュッフェを出でて、2分後に再入店し入り口近くの席に座った。その時も店員に向こうに座るよう言われたが、笑顔で「なんでだ?分かり易いように説明してくれ」と要求したら、店員はあきらめて去っていった。と言う。

「これはホテルひどいな~」と思ったが、長年フランスに住んで差別も受けてきて、それと共にフランスの問題も見てきた筆者としては、今回のことは人種差別で行われた行為とは言い切れないではないかとも同時に思ったのだ。

理由として一つ目は、ホテルやレストランで座る場所を決められることは多い。場所の決めかたとして団体客をなるべく固める傾向もある。ホテルに泊まる他のアジア人の団体客と間違われたのかもしれない。

また二つ目は、戻ってきてGACKTさんがここに座りたいとフランス語で意思を表明した時には、問題なくその場に居続けることができたことだ。もし、ほんとに人種で差別していたのなら、それでも引き下がらなかったかもしれない。

三つ目は、実は筆者も同じ体験をしたことがあるのだ。あるホテルのレストランの朝食でアジア人が沢山いる方の席に案内されそうになったことがあった。だがそこの席はコーヒーサーバーから離れていたので「あちらの席も空いてるのでそっちでもいいですか?」と聞いたところ、あっさり入口に近い希望の席に案内されたのだ。

場所の移動をお願いされる例はいくらでもある。特にアジア人の団体客は人数が多くて同じ場所になるように配慮される場合もあるだろう。それと共に人種に関係なく、パリなどでは身なりと年齢で人を判断されることが多く、判断された内容によって扱われ方も変わる場合もあるのも確かだ。そういった理由で、フランス人自身も努力して身なりやマナーに気を使っている。

しかし、自分も努力してるのにマナーが悪い客が同席していると気分が悪い。そうなるとその客を非難するよりもそのホテルやレストランに文句言った上、その後お店に来ないことを選択する。お店側としては、そういう理由でお客が遠のくことは避けたいのでお店のイメージを上げるよう努力する。その一環として窓側にはお店のイメージに合うお客に座ってもらう結論を出し、フランス人であろうと白人であろうと、同様に座る場所を選ばれるケースも発生する。それはフランス国内でも問題になっていることでもあり、定期的に問題を報じる記事を見かけることだ。

例えば、社会の問題点について風刺を利かせた記事が特徴のフランスの週刊紙「カナール・アンシェネ」で、カフェの座席案内基準は、客の外見だとする元従業員の話に基づいた記事が以前掲載されていたことがある。

その記事の中には、見栄えのいい客が目立つ入口近くの席に案内されることなっていて、電話予約でこの席を希望した客には「お席が確保できるよう最善を尽しますが、保証はできかねます」と告げ、 実際に席に案内するかどうかは来店した客の外見を見て決めているのだという話などが複数紹介されているのだ。
まあ、でも「カナール・アンシェネ」のことだから誇張されている点もあると思うが、同様の内容をニュースでもやっていたのでおおまか事実であろう。

確かに、日本人は比較的マナーが良い人が多いが、フランス人にはどのアジア人も見分けがつかないし、アジア人の中にはフランス風のマナーがあまりわかってない人の割合が多い。

そういった店側の経験値が積み重なることにより、最初はどこに座ってもよかったはずのお店でも、自然に割り当てる席の配置が決まってきたのではないかとも考えられる。

よって、その場に居て細かい状況を見なければ断言はできないが、一概に人種で差別されたとは言えないと感じるのだ。しかしこの件で学ぶことは、「不満があるなら穏やかに、そしてキッパリその意思を伝えることの大切さ」である。

常に疑問を持って考える習慣が付いている欧米では、疑問があればその場で伝えて解決することが多い。しかし、相手に言われることをなんの疑問を持たずに従うことに慣れてる日本やアジアでは、後になって考えて文句を言うことが多くなるが、それでは相手に何も伝わらないのだ。

今まで文句を言われたことがないから、お店側も問題は起こらないということで慣習になっていたのかもしれない。慣習が作られアジア人は奥の席に振り分けられることになり、初めて来た人がそういった行為を突然受け、思いもよらないショックを受ける結果になる。

それを避けるためには、自分の身なりやマナーに気を遣うのももちろんのことだが、こういった慣習を作らせない努力が必要になってくるのだ。

GACKTさんのブログはこう続く。

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あははは。
ムカついたから何か変わるわけじゃないだろ?
ムカついて文句言って何もしないのは、
愚の骨頂だよ。

だったら、
笑ってサラッと行動した方が
よほど意味があると思わないか

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怒りをぶつけるのではなく、頭脳を使って「笑ってサラッと」自分の意思を表明した結果、GACKTさんは自分が座りたかった席に座れている。

実際のところ世の中には、人種以外にもあらゆる差別や区別に溢れている。それは事実で確かに非常に腹立たしい。しかし、それに文句言っているだけでは何も変わらない。「常に考え、行動し、意思を表明する」その積み重ねが大切なのだ。

そのことが身に付いているのかGACKTさんは最終的に自然にクールに対応しているのはさすがだ。ホテル側のイメージ戦略は最悪の物に終わったが、GACKTさんへのイメージは、筆者の中ではグレードアップした。

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