仏、非常事態宣言3か月延長 ニーステロ事件
Ulala(ライター・ブロガー)
楽しいお祭り気分が一変して恐怖に変わった。ベビーカーを押し、子供の手を引いて人々は逃げ惑った。14日、フランス南部のニースで、革命記念日の花火大会に集まっていた群衆に一台のトラックが猛スピードで突っ込んだのだ。22時30分頃に起こった突然の出来事であった。
トラックは2Kmほど暴走したのち警察の銃撃を受け停止したが、トラックが通った後の豪華なホテルが立ち並ぶプロムナード・デ・アングレ通りには、犠牲者の遺体が転がり、人々が泣き叫び続けた。この無差別な暴力行動により子ども十数人を含む84人が死亡し、約50人が重軽傷を負った。運転手は警察当局に射殺され、車内からは手榴弾と小型の武器と共に身分証が見つかっている。地元のメディアでは、男はニース在住のチュニジア出身のフランス人31歳であると報じている。
オランド大統領は15日未明に「故意に多数を殺傷しており、テロの性質を帯びていることを否定できない。」と述べ、昨年11月のパリ同時多発テロを受けて出していた非常事態宣言を7月26日からさらに3カ月延長すると明らかにした。パリの大統領府エリゼ宮では、15日の9時より国防特別委員会が開かれ今後の対策について協議を開始している。
トラックは数日前からレンタルされていた。車内に残された身分証の人物はまったくテロリストとしての注意対象者にはなっておらず、身分証自体が本人のものか偽造であるか調査中だ。またニースは町中に監視カメラを多く設置されている町でもあるため、監視カメラによる容疑者の足取りの解明も期待されている。
亡くなった子供達の中には、トラックに轢かれなくてもパニックで逃げ惑う群衆の下敷きになった犠牲者も居たようだ。この日は革命記念日の祝日でフランスでは各地で毎年花火大会が開催されおり、夜でも町に繰り出す家族連れも多く、子供達と一緒に楽しいお祭りの夜を過ごしていたのだ。インタビューを受けている人の中には、「子供が鼻から血を流していた。何もしてあげることはできなかった。救急隊が対応してくれたが、彼は逝ってしまった。」と4歳のお子さんを亡くした父親が涙ながらに語る姿もあった。
ニースの事件ではこれまで犯行声明は出ていないが、テロであることが確認されれば、フランス国内では18か月で3回目の大規模攻撃となる。
フランス革命記念日は共和国栄光を称え祝う日であり、世界的にも知られた日でもある。そんな象徴的な日に起きたテロ。フランス全体の受けた衝撃はとても大きい。
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Ulalaライター・ブロガー
日本では大手メーカーでエンジニアとして勤務後、フランスに渡り、パリでWEB関係でプログラマー、システム管理者として勤務。現在は二人の子育ての傍ら、ブログの運営、著述家として活動中。ほとんど日本人がいない町で、フランス人社会にどっぷり入って生活している体験をふまえたフランスの生活、子育て、教育に関することを中心に書いてます。