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.社会  投稿日:2019/3/9

「同性婚、社会の理解と法制化を」東小雪氏xサヘル・ローズ氏


©Japan In-depth編集部(小俣帆南)

【まとめ】

・国や地域によって、LGBTへの理解は未だ格差がある

・社会からの理解を得つつ、日本は同性婚の法制化を進めるべき

・被害者が声を上げることも大事だが、それが全てではない

 

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2月14日、全国各地の同性カップル13組が国を相手に損害賠償を求めて一斉訴訟を行った。日本におけるLGBTへの理解は進んでいるのか。今回のJapan In-depthチャンネル(MC:Japan In-depth編集長安倍宏行、キャスター桑原りさ)では、元タカラジェンヌでLGBTアクティビストとして全国で活躍する東小雪氏をゲストに招き、女優のサヘル・ローズ氏が性的マイノリティの人々を巡る現状や課題について話を聞いた。

東氏は自身の活動について「LGBTについて知ってもらうことが仕事なので、企業で研修をしたり自治体で講演をしたりしている」と述べ、LGBTへの認知度が高まってきていることを実感していると話した。実際、LGBTは人口の8.9%を占め、11人に1人の割合と、実は身近な存在でもある(電通ダイバーシティ・ラボ「LGBT調査2018」)。

▲写真 電通ダイバーシティ・ラボ「LGBT調査2018」 出典:©2019 TROIS COULEURS

一方で、LGBTへの理解を巡っては未だ課題が残る。東氏は「土地ごとに違った課題がある」と述べ、「自殺率が高くて自殺の問題に取り組む中でLGBTについて考えたいという地域。取り組み自体は進んでいるが、保健室の先生方が子供たちのケアの仕方について更に考えたいという地域。とても保守的な所では、そもそも女性が生きづらいのでLGBTだとのカミングアウトは絶対に出来ないような地域もある。」と、地域間でも情報や取り組みの進捗に格差があることを指摘した。

さらに東氏は、国によっても理解に差があると指摘。「『いないことにされる』ことが日本独特の暴力」だとの見解を示すと共に、LGBTであることは死刑にあたるとする国があることにも言及し「全世界的に差別を無くしていくべき」と述べた。

続けて東氏は同性婚についても言及。現行の法制度では同性同士が婚姻届けを出しても受理されない日本の現状について、「憲法24条の『婚姻は両性の合意のみに基づいて』という文章を根拠にする人もいるが、同箇所は『当事者で納得して下さい』ということであって、同性を禁止しているわけではい。さらに民法の規定に『夫婦』と書いてあることを指摘する人もいるが、これはもともと女性の人権が無かった時に、子供が父親に結婚させられるのではなく、『二人が納得して結婚して下さい』という規定を作る為に書かれたもの」と述べ、論点に挙げられるどちらの規定も当事者間の合意形成を目的としたものであり、同性同士の婚姻を禁ずるものではないとの見解を示した。

▲写真 東小雪氏 出典:©Japan In-depth編集部

2月14日に行われた全国一斉訴訟については、「声を上げられない同性カップルの方々がいると知ってもらいたい」「何か特別な権利を求めているわけではなく人権を求めているだけ」と述べた上で、「税の優遇や相続などは民法の規定なので、自治体や企業の努力ではどうにもならない」と、同性婚の法制化を進めることが必要だとの見解を示した。一方で「具体的にどうしていくのか政治の場で議論が進まない」ことと「理解がない」ことが課題だとし、「社会の理解と政治での法制化は両輪だ」と述べた。

サヘル氏が「友人にカミングアウトされた時どういった風に接したら良いか」「どう言葉をかけるのが良いのか」と尋ねると、東氏は「その気持ちがあれば大丈夫」だと答えた。続けて東氏は、「『レズ』は侮蔑語で『レズビアン』がベター。でも言葉に差別の本質はない。相手を傷つけないように、という不安を持っている人は相手を傷つけることはない」と述べ、「カミングアウトしてもらうことは一つの信頼の形」だとも話した。

東氏は自身の性の在り方への気付きについて、「高校生の時に『自分は女の子だけど女の子が好きだ』と気付いた」と話した。2010年にTwitterでカミングアウトしたものの、学生時代については「当時は絶対言えなかった」と当時を振り返った。

番組内では、国際的に盛んになった#Me Too運動や3月8日に定められている国際女性デーにも言及。東氏は「日本の中で女性の声は聞かれにくい。そんな中#Me Too運動が起こったことは日本にとってすごく影響があった」「#Me Too運動があって良かった」とした一方、被害者が声を上げる運動が盛んになっている現状の中で、「自分が声を上げられないからといって『もっと頑張らなくては』『自分はだめなんじゃないか』とは思わないでほしい」とも述べた。サヘル氏もこのような運動について、「被害者を増幅させない為の大きな一歩」だと賛同した。

▲写真 ©Japan In-depth編集部

東氏自身も過去に実父から性被害を受けており、その事実を著書『なかったことにしたくない』でカミングアウトしている。番組内では、加害者である父親が亡くなっていたことや親戚のことを鑑みて「書いていいのかすごく葛藤した時期もあった」と話した。当時のことについては、幼い頃から日常的に被害にあっていたため、「何をされているか分からなかった」「虐待だと思えなかった」と述べ、虐待だと認識してからも「良いお父さんの面もあったのですごく複雑な気持ち」との感情を示した。被害にあった際には「自分一人では整理できないことがある」と、専門家のカウンセリングを受けることが大事だとも話した。

加えて、パワーハラスメントや虐待、いじめについて「性暴力だけが特別なのではなく、力がある人から力のない人への力の濫用が全ての暴力の根源」だと話し、「自分の問題にしっかり向き合ってから親になっていく」ことが負の連鎖を断ち切る為には重要だとの見解を示した。

最後に東氏は「私は運が良かったから沢山の人に支えられて生きる力を取り戻せたけれど、それを運に任せてはいけない。国として制度を作っていくことがすごく重要だ」と述べ、番組の視聴者に向けて「少しでもおかしいと思ったら行動してほしい」と訴えた。また「人というのは本当に多様。色々なマイノリティ性を持った人が既に一緒にいるということを知って頂きたい」「他人に言うか言わないかはそれぞれにタイミングがある。言っても良いし言わなくても良い。誰かが『言いたい』と思った時にしっかり聞いて受け止めることが大事」だと話した。

(本記事は、Japan In-depthチャンネル 2019年2月26日放送の内容を要約したものです。放送アーカイブはこちら

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