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.政治  投稿日:2019/2/25

「児童虐待防止 警察と連携を」NPO法人シンクキッズ後藤啓二代表理事


「細川珠生のモーニングトーク」2019年2月23日放送

細川珠生(政治ジャーナリスト)

Japan In-depth編集部(石田桃子)

【まとめ】

・児童虐待対策には、関係各機関の情報共有・連携が必須。

・日本の「縦割り体質」の弊害。

・政府の対策はピントがずれている。事件の原因を踏まえた対策を。

 

【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て表示されないことがあります。その場合はJapan In-depthのサイトhttps://japan-indepth.jp/?p=44327でお読みください。】


今回のゲストは、NPO法人「シンクキッズー子供虐待・性犯罪をなくす会」代表理事で弁護士の後藤啓二氏。児童虐待をテーマに、政治ジャーナリストの細川珠生が話を聞いた。

細川氏はまず、今年1月、千葉県野田市で10歳の女の子が虐待死した事件に触れ、虐待事件が後を絶たない現状を指摘した。昨年3月東京都目黒区の虐待死事件以来、政府が取り組んできた、「児童虐待防止のための緊急対策」(注)について、後藤氏の意見を聞いた。

(注:政府は、昨年6月、7月、今年2月に「児童虐待防止対策に関する関係閣僚会議」を開催し、「児童虐待防止対策の強化に向けた緊急総合対策」の閣議決定や、更なる徹底・強化をした新たな対策を取りまとめた。)

後藤氏は、「政府や関係各機関は、児童虐待が児童相談所一機関だけで解決できるような甘い問題ではないことを認識すべき」と述べ、関係各機関の連携の重要性を指摘した。特に、児童相談所から警察への情報共有がごく一部の自治体を除いて行われていないことが問題だとの考えを示した。

細川氏は、児童相談所が不適切な対応を繰り返すことについて、「深刻な状況を認識し子どもの命を救うという目的を持っていれば、自ずと適切な対応がとれるはず」と批判した。

後藤氏は、「野田市の事件をめぐる、児童相談所の一連の対応はあきれるほどずさん」と述べ、児童相談所の対応は、以下の点から問題視されるとした。

・危険な家庭状況を把握しながら一時保護を解除した

・一時保護解除の後、一度も家庭訪問を行わなかった

これらの問題の背景には、親に対する恐怖があったと言われている。このことについて後藤氏は、児童相談所と警察との連携の重要性を改めて指摘した。「親を怖いと思うことは仕方がないが、圧力に屈して子どもを危険にさらすことは許されることではない。警察との連携があれば対応は可能」と述べた。

▲写真 ©Japan In-depth編集部

野田市は、1月の女児虐待死事件を受けて、2月14日に「児童虐待事件再発防止合同委員会」を設置し、事件の検証と再発防止策の検討に着手した。後藤氏は、同委員会の委員を務めている。細川氏は、野田市が目指す虐待防止体制の具体的な内容について聞いた。

後藤氏は、目黒区の事件や野田市の事件のような虐待事件を未然に防ぐことのできる体制として、以下のような仕組みを説明した。

児童相談所警察、市町村、学校、病院、保健所間で情報共有を行う

・子どもの危険な兆候を確認し次第すぐに情報を共有する

・機動力のある機関(警察)が直ちに家庭訪問を行い、問題があればすぐに保護をする

細川氏はさらに、日本の「子どもに対する思い」がアメリカなど諸外国と比較して弱い印象があると述べ、虐待への対応における日本と諸外国との違いについて聞いた。

後藤氏は、「アメリカでは、虐待件数は多いものの、子どもを守るという目的のため、厳しい法制度や関係機関の情報共有と連携の姿勢が当たり前になっている」と指摘。一方日本では、「縦割り体質」が制度面の不十分を招いているという。

細川氏が、相次ぐ虐待事件について「当事者でない人たちも真剣に考える機会にすべき」という考えを述べると、後藤氏はこれに同意。「度重なる虐待事件に対して、国が何ら有効な対策を打たないことはあってはならない」と主張して、政府が事件の原因を踏まえた対策を打ち出すよう、積極的に提言を行っていく考えを明らかにした。

細川氏は最後に、野田市でモデル体制が確立され、それが全国の自治体に広がることに期待感を示した。

(この記事はラジオ日本「細川珠生のモーニングトーク」2019年2月23日放送の要約です)

 

「細川珠生のモーニングトーク」

ラジオ日本 毎週土曜日午前7時05分~7時20分

ラジオ日本HP http://www.jorf.co.jp/index.php

細川珠生公式HP http://hosokawatamao.com/

細川珠生ブログ http://tamao-hosokawa.kireiblog.excite.co.jp/

トップ写真:©Japan In-depth編集部


この記事を書いた人
細川珠生政治ジャーナリスト

1991年聖心女子大学卒。米・ペパーダイン大学政治学部留学。1995年「娘のいいぶん~ガンコ親父にうまく育てられる法」で第15回日本文芸大賞女流文学新人賞受賞。「細川珠生のモーニングトーク」(ラジオ日本、毎土7時5分)は現在放送20年目。2004年~2011年まで品川区教育委員。文部科学省、国土交通省、警察庁等の審議会等委員を歴任。星槎大学非常勤講師(現代政治論)。著書「自治体の挑戦」他多数。日本舞踊岩井流師範。熊本藩主・細川家の末裔。カトリック信者で洗礼名はガラシャ。政治評論家・故・細川隆一郎は父、故・細川隆元は大叔父。

細川珠生

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