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.国際  投稿日:2019/3/18

米、独に中国製品の排除要請


古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)

「古森義久の内外透視 」

【まとめ】

・ファーウェイ事件を機に、米は同盟国へ対中警戒網結成を要求。

・米から独にファーウェイの技術・製品の締め出しを要請。

・同盟国が米の情報収集能力の恩恵を受けられなくなる可能性。

 

【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て表示されないことがあります。その場合はJapan In-depthのサイトhttps://japan-indepth.jp/?p=44772でお読みください。】

 

トランプ政権が同盟国に対し「中国のファーウェイ社の製品を政府機関が使えば、アメリカ政府からの秘密情報の提供は少なくなる」と警告したことが判明した。アメリカ側の中国への不信はいよいよ決定的となったわけだ。

しかもアメリカ中心の同盟諸国全体の対中警戒網の結成が求められるようになった。同盟国側はさらにアメリカ情報機関の貴重な情報が得られなくなるという危険な事態までが予測されるのだ。米中対立はグローバルな波紋をますます激しく広げてきた

アメリカの大手紙のウォールストリート・ジャーナルの3月12日付に「アメリカがファーウェイについてドイツに警告する」という見出しの記事が掲載された。この記事の報道によると、アメリカ政府はドイツ政府に対して、ドイツ側での第5世代モバイル通信システム(5G)の構築に中国のファーウェイ社を参入させたり、同社の製品を調達した場合にはこれまでの長年にわたるアメリカからドイツへのインテリジェンス(秘密情報)の提供を減らす、と警告した。

この警告はドイツ駐在のアメリカ大使、リチャード・グレネル氏からドイツ政府の経済大臣あての書簡で伝えられたという。ファーウェイは中国の共産党政権や人民解放軍に直結する大企業で、アメリカ側ではこれまでこのファーウェイ社が中国政府のためのスパイ活動や高度技術の窃盗行動をひそかに実行してきたとして、米軍や政府機関からの公式の締め出し方針を明らかにしてきた

▲写真 リチャード・グレネル氏 出典:在ドイツ米国大使館

トランプ政権は北大西洋条約機構(NATO)のヨーロッパ各同盟諸国や日本や韓国というアメリカとの二国間同盟国にも、ファーウェイ社の技術や製品の締め出しを要請するようになったという情報は未確認のまま広がっていた。しかしトランプ政権が同盟国のドイツに対して、その締め出しを公式に要請し、しかも容れられない場合は秘密情報の提供を減らすと通告したという報道は初めての確認に近い情報として注目されている。

アメリカ政府は長年にわたり、自国の諜報機関の中央情報局(CIA)、国家安全局(NSA)、防衛情報局(DIA)などが得た諸外国の秘密情報のほとんどを同盟国政府にも提供してきた。超大国アメリカは全世界でも情報収集では傑出した能力を有し、その情報の質は一般にきわめて高く、提供を受ける同盟諸国からは貴重な情報源とされてきた。

だが同盟の相手国でも、5Gなどの高度技術のインフラ建設に中国のファーウェイを参加させた場合、アメリカはその秘密情報の提供を制限するようになるという対応は明らかにファーウェイがそれらの情報を奪取する危険を意識しての措置だといえる。またアメリカ政府がドイツに中国企業締め出しを要請したことは当然、同じ同盟国の日本にも同様の要請があることを意味するともいえよう。日本にとってもアメリカ政府のインテリジェンスは非常に重要であり、ファーウェイ締め出しの要請があるとすれば、当然、順守することを余儀なくされるだろう。

▲写真 5G-Mobile World Congress 2016 出典:Flickr; Kārlis Dambrāns

米中対決がいよいよ国家の秘密情報取得という活動の分野にまで深刻な影響を及ぼすようになったわけである。

トップ写真:Huawei P10 launch event 出典:Flickr; Kārlis Dambrāns


この記事を書いた人
古森義久ジャーナリスト

産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授。1963年慶應大学卒、ワシントン大学留学、毎日新聞社会部、政治部、ベトナム、ワシントン両特派員、米国カーネギー国際平和財団上級研究員、産経新聞中国総局長、ワシントン支局長などを歴任。ベトナム報道でボーン国際記者賞、ライシャワー核持込発言報道で日本新聞協会賞、日米関係など報道で日本記者クラブ賞、著書「ベトナム報道1300日」で講談社ノンフィクション賞をそれぞれ受賞。著書は「危うし!日本の命運」「中・韓『反日ロビー』の実像」「トランプは中国の膨張を許さない!」など多数。

古森義久

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