[現役大学生・留学リポート]インドを嫌いなんて言わせない!(2)女性も肌を出している!?インドの裏原宿で見たインドの若者ファッション最前線
インドのファッションというと何をイメージしますか?インド女性の服装といえば、装飾の施された美しいサリー、男性の服装といえばクルタ・パジャマ。このようにインドのファッションというと伝統的な民族衣装のイメージが強く、特にインドの地方に行くとこのような格好の方々を多く見ます。
この事実もまた前回の記事、『インドの男尊女卑の意識にも変化?!』で書いたように、インドには宗教が色濃く国民の暮らしに関わっていることに起因しています。
インド国民の8割近くを占めるヒンドゥー教徒、次に多いのがイスラム教徒であり、いずれの宗教も女性の肌を露出した服装を禁じています。これは外国人観光客が観光目的で寺院に入る時であろうと、肌の露出の多い服装はNGで、入場禁止になることも少なくありません。それだけ厳格なインドのファッション文化も今、変化を迎えているようです。
先日私は、インドのデリー近郊にあるハウズ・カース・ビレッジに行きました。『インドの裏原宿』。インド在住の日本人の間で、そう呼ばれているこの街。「そんなお洒落な街が、まさかインドに…?」私も半信半疑で向かうと、まさにそこは裏原宿でした。
コンパクトな町並みに、お洒落なショップやカフェが所狭しと並んでいる。インドをモチーフにしたデザイナーズショップに、伝統工芸品をモダンにリメイクした雑貨まで、お洒落なものが大好きな私にはたまらない街でした。
そして、ここに集まるインド人もまた想像を越えるファッショナブルな若者ばかり。『肌露出NG?そんなの知らない!』と言わんばかりに肌をバーンと出し、スレンダーなボディラインを見せつける。
特に女性は「お洒落!」と声が出てしまうくらい、ファッショナブルなのです。
どうしてこのような若者が増えてきたのか。経済成長まっただ中のインドでは、服の心配もない、食べ物の心配もない、住居の心配もない、絶対的な衣食住の確保が既に達成されました。その低次欲求が満たされた今、インドでは欲求の更なるフェーズである『自己表現欲求』が高まってきたのです。
みんな同じサリーに身を包み、みんな同じようにストールで肌を隠す。今までは外国人からするとファッションともいえない画一的なファッションから、自分らしさを出そうとファッションも多様化してきているのです。
しかしながら、ハウズ・カース・ビレッジに訪れるのはまだまだ裕福な層の人ばかり。ファッションを楽しんでいるのは、一部の富裕層に限られています。
一方で、国をあげての経済政策が、急速に中間所得層を膨張させています。彼らが伝統的価値観から解放され、ファッションに目覚めるのは時間の問題です。インドのファッションが、世界のファッションをリードしていく時代がもうすぐそこに来ているのかもしれません。
【リポーター学生紹介・三宅瑶(みやけ・よう)】
宮城県生まれ。宮城県第二女子高等学校を卒業後、同志社大学文化情報学部へ進学。
さまざまな価値観に触れることを好む『ひと・こと・ものに恋をしやすい性格』と、恐ろしいほどのカレー好きが高じて、2014円インド留学キャンペーンなるものに当選。初海外でインド留学中。JIA認定インタビュアーとして複数メディアにて累計90名以上のインタビューを行い、個人ブログは1日4万PVを記録したこともある。価値観に囚われることが嫌い。日本でネガティブなインドのイメージを良くするお手伝いができれば幸せです。
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