[現役大学生・留学リポート]インドを嫌いなんて言わせない!(3)世界最大の総選挙真っ最中!インドから日本が学ぶものとは?
ある日、語学学校のインド人先生が、どこか暗い顔で登校してきました。「選挙期間に、断食が重なっているんデス……」そう、インドでは今まさに、世界最大と言われる総選挙が行われているのです。
今回の選挙は5年に一度の総選挙。インドの有権者数は8億1500万人といわれ、前回の総選挙でも投票率は70%を越えるという驚くほど高い投票率を記録しています。インド人がテレビに流れる選挙速報を食い入るように見つめる姿からも、インド国民の政治関心は世界的にも高いことが窺えます。
どうしてインド国民は政治的関心が高いのか。それは選挙によって生活がダイレクトに変化してしまうことが大きな理由です。
中でも影響を受けるのはインドが多く抱える貧困層と農家。1つの政策によって食料品価格の変動が起こり、貧困層と農家の生活基盤は揺るぎ、経済全体が大きな混乱に陥る可能性すらあるのです。
長い間、インド経済は問題を抱え込んできました。近年急激な経済成長を迎えていたものの、現在は経済成長も鈍化し、財政赤字や所得格差が拡大しています。
水道、医療、公衆衛生といった基本的な行政サービスも十分ではなく、市場開放を推進してきたにも関わらず、強固な規制がビジネス環境の改善を阻んでいます。
経済成長によってカーストによる職業差別が減少傾向にある中で、未だに政治が経済成長を邪魔していることが問題視されています。
有権者の宗教や民族が多様なインドの選挙では、カースト制度など地域ごとの問題が結果を大きく左右することがあります。世論調査によると、景気回復と雇用創出を掲げる最大野党インド人民党(BJP)が与党の国民会議派を上回ると予想され、政界に大きな変化が起きる可能性があり、だからこそインド国民の関心もより一層高くなっているのです。
先日街を歩いていると、若者が運転する派手にデコレーションされた大量の車が、道路を駆け抜けていました。車から身を乗り出し、笑顔で何かを叫びながら、「Revolution」と書かれたチラシをばらまく若者たち。それは選挙の広報車でした。あまりにアグレッシブで、けれどもいかにも楽しそうに広報活動している若者たちの姿が、私の目にはとても不思議に映りました。
若者の政治関心の薄さ、選挙離れが顕著な日本。その事実を話したら、インド人の先生は「それは信じられないネ」と空腹に耐えながらも呆れていました。
そうだ、これからの世界を作るのは若者である私たちなのだ。インドの総選挙の真っただ中で私は、「日本の若者への政治的関心の喚起」の必要性を実感したのでした。
【リポーター学生紹介・三宅瑶(みやけ・よう)】
宮城県生まれ。宮城県第二女子高等学校を卒業後、同志社大学文化情報学部へ進学。
さまざまな価値観に触れることを好む『ひと・こと・ものに恋をしやすい性格』と、恐ろしいほどのカレー好きが高じて、2014円インド留学キャンペーンなるものに当選。初海外でインド留学中。JIA認定インタビュアーとして複数メディアにて累計90名以上のインタビューを行い、個人ブログは1日4万PVを記録したこともある。価値観に囚われることが嫌い。日本でネガティブなインドのイメージを良くするお手伝いができれば幸せです。
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