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.社会  投稿日:2020/4/14

ICUは増やせるのか?~東京都長期ビジョンを読み解く!その89


西村健(NPO法人日本公共利益研究所代表)

【まとめ】


・新型コロナウイルス対応で医療現場、保健所は疲弊。

・日本のICUベッド数はイタリア以下。

・我々が自粛と共に医療者を支援する方法はあるか。

医療崩壊を防ぐために、緊急事態宣言に従う。

感染しない、もし感染しても無症状のまま無自覚に行動して広めてしまわないようにするためだ。10人以上への感染拡大の感染源となった患者「スーパースプレッダー」にならないことが大事である。無自覚の感染者になってしまった場合、大事な人に最悪の事態をもたらしかねない。

国民生活も大変だが、医療現場保健所はもっと大変だそうだ。はたから見ていて、とても心配な状況。私は保健所の現場から大変だという声を聞いた。電話や問い合わせが殺到する、PCR検査の窓口対応を求められる、結果として疲弊している保健所。そうした中、保健所のバックアップを小池都知事は表明した。

大変素晴らしい。

集中治療室(ICU)の問題はなぜ大事にならない?

メディアで一部報じられたが、一般社団法人日本集中治療医学会の理事長の西田修さんが発表した「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する理事長声明」が相当衝撃であった。
ICUIntensive Care Unitとは「集中治療のために濃密な診療体制とモニタリング用機器、ならびに生命維持装置などの高度の診療機器を整備した診療単位」のこと。いわゆる集中治療室。


【出典】日本集中治療医学会HPより

このICUについての問題提起である。

骨子は、

・イタリアでは
331日の時点で感染者105,792人に対して死者約12,428人であり死亡率は実に11.7%と急増
・ドイツでは、感染者約71.808人に対して死者は775人に留まり、死亡率は1.1
・この違いの主なものは、集中治療の体制の違いであると考える
ICUIntensive Care Unit)のベッド数は、ドイツでは人口10万人あたり2930床、イタリアは12床程度
・日本ではイタリアよりも高齢化が進んでいるにもかかわらず、人口10万人あたりのICUのベッド数は5床程度
・これはイタリアの半分以下
・死者数から見たオーバーシュートは非常に早く訪れることが予想
・コロナ患者に対応するには看護師や人工呼吸器を扱える医師も不足

ということだ。結構衝撃である。そうだったのか、と。

ICUについては、その数字にはいろいろ前提の違いがあるし、この数字を真に受ける訳にもいかないそうだ。専門家によると、海外の病院は専門化、つまりICUみたいな高度な機能に特化されているから、比較的多く見えるそう。
とはいえ、多かれ少なかれ、不足していることは事実のようだ。

クオモ知事のようにできる?医療崩壊を防ぐために

NYでは何がおきているか。
ニューヨーク州のアンドリュー・クオモ州知事が州は各病院に50%の病床数増加を命じた。ニューヨーク州には53,000ベッドと約3,000のICUベッドがあるが、当局は110,000ベッドと18,000~37,000 ICUベッドを必要とすると推定。


写真)クオモNY州知事
出典)flickr: Shinya Suzuki

これを受けて、各病院は手術室をICUに作り替えたりして、まさに、「病院そのもののICU化」の対策がとられているようだ。
自粛も大事だが、小池都知事にももっと頑張って貰いたい。

◆何かできることはないのだろうか?支援は?

国民は自粛するものの、医療者を支えられないのか?何か不足しているのだろうか?何か支援はできないのだろうか?皆がなんとか支えあう方法はないのだろうか?と考え、何か医療現場を応援したい人もいるだろう。そうしたニュースがメディアで流れることは少ないのはなぜだろうか。
今回はICUを取り上げたが、医師やスタッフの不足に対して警鐘を鳴らす専門家が周りには多い。
中国武漢では病院が10日で建設された。NYでは前述のような緊急対応が行われた。さて、東京はいかに。

トップ写真)pixabay by 15734951


この記事を書いた人
西村健人材育成コンサルタント/未来学者

NPO法人日本公共利益研究所(JIPII:ジピー)代表、ターンアラウンド研究所共同代表・人財育成コンサルタント、事業創造大学院大学国際公共政策研究所研究員・ディレクターなど。


慶應義塾大学院修了後、アクセンチュア株式会社入社。その後、株式会社日本能率協会コンサルティング(JMAC)にて地方自治体の行財政改革、行政評価や人事評価の導入・運用、業務改善を支援。独立後、組織改革、人材育成コンサルティング、政策分析、メディア企画、ソーシャル・イノベーション活動を進めている。


専門は、公共政策と社会心理。近年は、中国の先端技術、世界のスマートシティ、人工知能などテクノロジーと社会への影響、個人情報保護と民主主義の在り方、企業の利益相反、健康医療・福祉政策などをテーマに研究や執筆を進めている。

西村健

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