無料会員募集中
.政治  投稿日:2020/7/4

都知事選4候補者人間力分析 東京都長期ビジョンを読み解く!【特別編】


西村健(NPO法人日本公共利益研究所代表) 

【まとめ】

・宇都宮候補のスーツで赤いネクタイは「戦う」姿勢を表す。

・小野氏はバランス感覚に優れ、山本氏は服装が親しみやすい。

・小池氏は都民のニーズや傾向を汲み取る才能にたけている。

 

今回は主要4候補者の「人間力分析」。人材育成のプロとしての筆者を中心に、専門家の力を借りつつ、行っていきたい。人間力分析のロジックをまずは明らかにしよう。

行動分析:経歴、キャリアをもとに、各種映像、過去のインタビュー記事を読み込み、さらに関係者の意見を聞き、分析をする。

声診断:声の周波数や波形を分析し、過去のプロファイリングを参照し、人の才能を診断・分析する手法。筆者の師匠でもある一般社団法人日本声診断協会代表理事の中島由美子氏の協力を仰いだ。

イメージ分析:イメージ・コンサルタントの古橋香織氏の協力を仰いだ。

④その他:顔相診断についての記事などの引用をし、関係者の意見を参考にした。

このような方法での人間力分析、いざスタート。

 

1 宇都宮けんじ氏

(1)分析

弁護士として法という正義を盾に仕事をしてきた。「貧しい人の力になりたい」という使命が垣間見れる。「日本の社会は、私の父や母のように黙々と働いてきた、名もない農民や漁民、労働者などによって支えられてきた。政治家とは、そうした人びとのために働く存在」という信念の強さが感じられる。たまに仕事師の時の顔を見せるが、基本的には優しいまなざしが印象的である。独立後、宇都宮健児法律事務所を「東京市民法律事務所」と変更するくらいなので、理念を大事にする人のようだ。日弁連元会長ということであるし、何度も都知事選の候補として応援されるくらいなので、相当の人望があるようだ。社交性がある方ではなく人付き合いも苦手と自己評価しているそうだが、仕事の信頼度は相当のものであろう。ファッションについては、服装はほぼスーツである。ネクタイは赤いことが多く「戦う」姿勢を示している。

中島由美子氏によると「これまでコツコツと自身の後ろ姿で人に見せてきたリーダーの質を持っている」と分析。「傾聴力を表し人の気持ちを汲み取り、色んな人の声に耳を傾けることのできる方。しかしとても優しい方ゆえに、色んな人の気持ちを汲み取りすぎてエネルギーが枯渇してしまうこともあるかと思います」とのこと。自己犠牲によって人を救っていくという気持ちが強いのが宇都宮さんらしさ、ということのようだ。

▲写真 宇都宮けんじ候補(右) 出典:宇都宮けんじtwitter@utsunomiyakenji

 

(2)当選後の課題

都庁という大きな組織を動かせるか、マネジメントできるか。弁護士会とは違う様々な人がいるし、相手にしなくてはならない都民も多様。まずは、都庁の優秀な官僚たちにその能力を認めてもらうこと。彼ら・彼女らの信頼を得ずに組織を動かすことはできない。説得・交渉力や知識などの面は大丈夫だろうが、指示命令の仕方、コミュニケーション、求心力のある「言葉」の使い方などが問われる。大きな組織を動かした経験がないことから、どのように組織をつくり動かしていくか?が問われる。法律至上主義のバランス、指導性のあるメッセージ性のある発信ができるかが課題であろう。

 

2 小野たいすけ氏

(1)分析

東京都小平市育ち(4人の中では唯一の東京出身)。東大では政治学の蒲島ゼミにいたことが示すように日本政治について大学で学び、その後も政治家秘書や副知事経験など政治・行政経験のキャリアを重ねた。外資コンサル会社にいたとアピールされているが、アンダーセン・コンサルティング(現アクセンチュア)には1年ほど。2002年から2008年まで明豊ファシリティワークス株式会社という法務総務の会社に勤務しビジネス経験を積んだ模様だ。

肺がんを克服したり、恩師から「配慮ができる」学生だったといわれるように人間的に立派な人だったのだろうと推察される。趣味は三線。

古橋香織氏によると「かなりカラーに気を使う人」とのこと。ただし今回の選挙では「ポスターのシャツがボタンダウンシャツ(襟の先にボタンが付いてるシャツ)が気になる。ビジネスカジュアルで着用するものので、選挙ポスターで使う人あんまりいない」そうです。

中島由美子氏によると「人とコミュニケーションを大切にするなど人間的にバランス感覚が良い方」と分析。「世のため人のために何か尽くしていきたいという気持ちが強い方であると思われる」とのこと。

 

 (2)当選後の課題

課題は、世論を十分踏まえたうえでの発信力。小池さんのような抜群のタイミングでのしゃべり方、人を引き付けるプレゼンテーションを身に着けられるか。エリートかつ優秀な知事になるので、都民と同じ目線で対話できるかが問われそう。

▲写真 小野たいすけ候補 出典:小野たいすけ 東京都知事候補twitter@taisukeono

 

3 山本太郎氏

(1)分析

詳しくは、筆者記事を参考にしてもらいたいが、凄いのはその対話能力であり、相手の話を聞く態度、巧みな話術、プレゼン能力、主張、ベースにある有権者・主権者への敬意であろう。「アジテーター」という意見もあるが、確固たる信念での発言が心を揺さぶる。芸能人時代はかなり破天荒な行動・言動であったし、愉快犯的行動(伊集院光氏のラジオへの乱入など)もあったものの、ユーモアのセンスは抜群であった。

古橋香織氏によると「元俳優という経歴から、何を着てもそれなりにサマになってしまう」という特徴がある。「Tシャツなどのカジュアルなアイテムを「カッコよく」着こなしている、ポロシャツやデニムジャケットなどかなりカジュアルダウンしている服装が目立つ」そうである。確かに、スーツを着た姿はほとんど見ない。「政治家っぽくなさ」が都民や相手との距離の近さを際立たせている。

また、古橋香織氏によると「男性政治家のテーマカラーを選ぶときに早い段階で選択肢として無くなるのがピンクであり」のにもかかわらず「難なく、いやらしさを感じさせずに取り入れてしまっている」と専門家も評価している。

 

中島由美子氏によると「軸が強いぶれない信念を持っている」と分析。さらに、自分の軸を持ちながらも「リーダーとして多くの人に影響を与えることができ、さらには、世のため人のために行動を起こすことを惜しまない人」ということのようだ。

 

(2)当選後の課題

組織マネジメントの経験が課題や特定政策以外の全体的なマネジメントが課題であろう。理念が強すぎるので、実務派のスタッフを配置することが必要であろう。

▲写真 山本太郎候補 出典:東京都知事は 山本太郎 れいわ新選組公認twitter@yamamototaro0

 

4 小池百合子氏

(1)分析

カイロ大卒後、キャスターを経て政治業界入り。状況を見て政党を渡り歩くところ、1人のボスについていかないところに、上昇志向の強さ、機を見るに敏であることが感じられる。また、その喋りや発言・プレゼンテーションは素晴らしい。個人的に心奪われてしまいそうになったほどだ。他方、発言や行動を見ていても、「リーダーになって何をやりたいのか」は見えてこない。

古橋香織氏によると「選挙中は百合子グリーンと呼ばれるグリーンを着ているが、実際の小池氏はロイヤルブルーや紫、漆黒などの落ち着いた色を好んできており、グリーンを着用する頻度は大変少ない」とのこと。「政務と公務を使い分けてコーディネートしている証拠であろう」と古橋氏は推察する。専門家から見ても「スカーフ。シンプルになりがちなジャケットスタイルを華やかに見せるスカーフの巻き方は圧巻である」と高い評価を受けている。

▲写真 小池百合子氏 出典:小池百合子twitter@ecoyuri

中島由美子氏によると「都民のニーズや傾向を汲み取る才能にたけている。演説内容も都民の心を惹きつける内容を話せる」「先を見据える能力が抜群に高く、時代に合わせた政策を産み出すセンスがある」との分析だ。「とてもエネルギッシュに都政に取組んでいけるタイプ」との診断結果も出た。確かに前回選挙でも小池候補の演説では足を止める人の割合が相対的に高かったように感じられた。

顔相診断では、「マイペースで周囲を思いやる懐の深い性格がにじみ出て」いて、「もともとは、おおらかで協調性もある。周囲に好かれるタイプ」(2016年7月19日、日刊スポーツ)との指摘。さらに「顔の輪郭は丸みを帯びており、社交的で同時に複数のことをこなす能力にたけている」とのこと(同上)。ちなみに血液型はA型。

 

(2)当選後の課題

都政を進めていく上で、課題は都庁職員からの信頼。都庁職員の評価は「小池知事1年目の点数は平均で46・6点」と低い。どのように職員からの信頼を得ていくかが課題であろう。

以上が「人間力分析」です。

上記あくまで私の意見ですし、人生の先輩や候補者をよく知った方からは「違う」「わかっていない」との声があることも承知です。あくまで多くの政治家を現場で見てきた経験や人材育成の専門家としての意見です。候補者のうちどなたが都知事になるにせよ、課題を意識して頑張ってもらいたいという気持ちを込めたので、その点ご理解頂けると幸いです。

繰り返しますが、特定個人を応援する目的で記載していませんので悪しからず。

トップ写真:東京都庁 出典:フォト蔵


この記事を書いた人
西村健人材育成コンサルタント/未来学者

NPO法人日本公共利益研究所(JIPII:ジピー)代表、ターンアラウンド研究所共同代表・人財育成コンサルタント、事業創造大学院大学国際公共政策研究所研究員・ディレクターなど。


慶應義塾大学院修了後、アクセンチュア株式会社入社。その後、株式会社日本能率協会コンサルティング(JMAC)にて地方自治体の行財政改革、行政評価や人事評価の導入・運用、業務改善を支援。独立後、組織改革、人材育成コンサルティング、政策分析、メディア企画、ソーシャル・イノベーション活動を進めている。


専門は、公共政策と社会心理。近年は、中国の先端技術、世界のスマートシティ、人工知能などテクノロジーと社会への影響、個人情報保護と民主主義の在り方、企業の利益相反、健康医療・福祉政策などをテーマに研究や執筆を進めている。

西村健

copyright2014-"ABE,Inc. 2014 All rights reserved.No reproduction or republication without written permission."