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.社会  投稿日:2023/12/26

都知事選、小池氏再選は固い【2024年を占う!】国内:東京都政


西村健(NPO法人日本公共利益研究所代表)

【まとめ】

・2024年都知事選、着実に成果を上げてきた小池氏が出馬した場合再選は固い。

・止まらない都市再開発。近年、景観や眺望を重視し反対する声も。

・2024年、世界的にも魅力的な都市東京は防災面での脆弱さを抱えながらも開発が進んでいくだろう。

 

2024年は東京都知事選挙の年。

東京都・区市町村においては女性首長がいたるところに誕生した2023年。都庁をはじめ各自治体のDXも進行し、東京都にかかわる行政は安定している。しかし、2024年には東京都知事選挙がある。自民党のパーティー券のキックバック問題が中央政治で問題になっていることの影響がありそうだ。

その1:都知事選を占う→再選は固い

都知事選小池氏が立候補をするかが争点だろう。中央政界の動向次第で、野心をもって国政に挑戦するか、再度立候補をするか、どちらかの選択をすることになるだろう。

さて小池都政、この8年で成果は出たのだろうか?「『未来の東京』戦略」をもとに、施策・事務事業の進行管理をして、比較的着々と進めている。政策目標の目標達成度も順調なものもある。

▲図 【出典】「未来の東京」ダッシュボード

しっかりと都民相手にはアピールをして、着々と進めているようには見えるが、8年前の「7つのゼロ」の公約はどこにいってしまったのだろうか。

▲写真 【出典】小池百合子氏選挙公約

多くの成果は「ゼロ」である。筆者も調査報道とファクトチェックのメディア、インファクト(InFact)の都知事選検証チームに参画したが、あまり良い状態とは言えなかった。

こうした行政面での着実な成果と公的約束とのギャップはあるものの、もし出馬する場合の勝利は固いだろう。現職知事はそれなりに強い。また、小池氏が不出馬の場合、混とんとする。有名候補を各党が出せるかに尽きるだろう。巨大都市故に知名度がどうしても必要になってくるので、文化人的な著名なタレントが対抗候補ということになるのではないか。

参議院議員や衆議院議員、名物首長の出馬もありうる。とはいえ、各党も対応は難しそうだ。自民党は統一地方選で相当のダメージがあったわけで、江東区での不祥事、さらに今回の政治不信により、東京都内ではかなり厳しいこととなるだろう。立憲民主党は多摩地区を中心に堅調な支持を誇っている。維新は大阪万博の動きで勢いが落ちている。

その2:再開発への疑問出現→住民は目覚めるか?

都心の再開発、ますます進んでいるが、少しだけその動きに抗う行動がでてくるようになった。神宮外苑の銀杏並木をはじめ、世論の動きで反対が広がった。銀杏並木の伐採については小池都知事が世論の動向を慎重に検討しているほどである。

たいていの場合、都市再開発は止まらない。何十年にわたる地権者の説得をしてきたディベロッパーと地域の組合や行政機関の努力の結晶のようなものだ。地権者はそれなりの対価が得られるし、街が出来上がることへの盛り上がりもある。空間、景観、眺望、ノスタルジックな風景だけが失われるだけだ。

そんな中、渋谷で興味深い動きがみられるようになった。それは39階建てのパークコートの近くに新たな巨大タワマン開発の計画が明らかになり、パークコートの住民が反対運動を始めている。「タワマン戦争」という言葉さえ言われているなど、住民の権利などを巡った闘争である。都市再開発が高度を上へ上へと進めば進むほど、少し年代が古い開発地域は割を食う。1つの開発でタワマンがたてば、その周りはその高度を越え、よりよい魅力づくり=良い眺望を得ようとする。渋谷のケースはこうした高度を巡った競争が住民間のトラブルを誘発していく前兆かもしれない。

麻布台ヒルズをはじめ、東京の再開発はますます進む。OECD30位くらいの、先進国とは言い難い状況にある中で、東京だけが繁栄していくのだろうか。世界的に見ても魅力も多く、競争力の高い都市ではあるものの、東京は防災面でも脆弱である。そこに住む住民のウェルビーイング(幸福度)についても明らかになっていくことだろう。デジタル庁が進めるウェルビーイング指標で明らかになる事だろう。

とはいえ、行政の方がしっかり頑張ってくれて、都市開発についても色々と問題を抱えながら進んでいくだろう。2024年も皆さん頑張っていきましょう。

トップ写真:小池百合子都知事(2023年3月29日東京都・千代田区)出典:Jun Sato / GettyImages




この記事を書いた人
西村健人材育成コンサルタント/未来学者

経営コンサルタント/政策アナリスト/社会起業家


NPO法人日本公共利益研究所(JIPII:ジピー)代表、株式会社ターンアラウンド研究所代表取締役社長。


慶應義塾大学院修了後、アクセンチュア株式会社入社。その後、株式会社日本能率協会コンサルティング(JMAC)にて地方自治体の行財政改革、行政評価や人事評価の導入・運用、業務改善を支援。独立後、企業の組織改革、人的資本、人事評価、SDGs、新規事業企画の支援を進めている。


専門は、公共政策、人事評価やリーダーシップ、SDGs。

西村健

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