仏、風刺画問題で議論続く
Ulala(ライター・ブロガー)
【まとめ】
・仏、風刺画を巡り、表現の自由の制限にあたる議論が続く。
・マクロン大統領は表現や風刺の自由を強調。
・政治家ロワイヤル氏は自由とはなんでもしてよいという権利ではないと主張。
まだまだフランス国内では風刺画をめぐる論争が続いているが、フランスの根本である「表現の自由」と「宗教を冒涜する自由」を貫きとおすために、全てのフランスの政治家が「誰かが侮辱と感じる風刺画」を容認しているかと言えばそうではない。例えば、環境相、教育相、家庭担当相などを歴任した社会党の政治家セゴレーヌ・ロワイヤル氏は、「侮辱と感じること」をしてはいけないと考える一人だ。
11月16日に受けたCNewsのインタヴューにおいても、「よそで不快に思う人がいるからといってフランスの権利を変えるわけにはいかない。」と表現や風刺の自由を強調したエマニュエル・マクロン大統領の発言について質問された際、「ムハンマドのいくつかの風刺画は侮辱だ。」という自身の考えを述べている。
ロワイヤル氏はこう語る。「自由、平等、友愛は、フランスのモットーです。しかし自由と言っても、自由とはなんでもしてよいという権利ではありません。(…)権利と義務があるのです。共和国によって課された義務は友愛であり、これにより自由とのバランスがとられているのです。」
さらに、「友愛とは何か?」と問いかけ、「それは、ショックを与えたり、屈辱を与えたり、侮辱したりすることの禁止です。いくつかの事柄を是正できるようにするために、他人の苦しみを考慮することです。自由というのは、方法を選ばないで何でも言っていい権利ではないのです。」と説明する。
そして、「風刺画の禁止に賛成しているわけではありせん。しかし、風刺画を保証しませんし、良いとは言いません。」と付け加え、「ムハンマドの風刺画の中には侮辱的なものがあると思います。わいせつな風刺画により、原理主義でもない、過激でもないイスラム教徒を含め、一部の人が侮辱されていると感じることを理解しています。」と述べた。
ロワイヤル氏は以前から同様の主張をしており、今回もその主張を繰り返した形だ。
この件に関しては、政治家だけではなく、フランス国民の中でも意見は分かれている。「侮辱に感じること」をしてはいけないか?という表現の自由の制限にあたる議論は、今後も続いていくことは間違いない。