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.経済  投稿日:2013/10/9

[安倍宏行]ウィメノミクスって何??②


Japan In-Depth編集長

安倍宏行(ジャーナリスト)

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昨日の続きになるが、安倍総理が、「ウィメノミクス」を実現する為に、上場企業にいくら女性管理職を増やせ!と号令をかけても無駄である。そもそも、これまで女性を登用してこなかった会社の中に、優秀な女性社員は存在していないものを管理職に出来ない。

では、中途採用か、ということになるが、労働の流動性が低い我が国において、そう簡単に有能で管理職に足る人物が採用出来るかと言ったら、ことはそう簡単ではない。そもそもそんなに優秀ならとっくのとうに外資に勤めているに決まっている。

女性管理職の数を増やそうとしているうちに、長年女性のチカラを無視してきた企業は、女性が大きく消費している市場に対するマーケティング戦略を構築できず、得べかりし利益をみすみすどぶに棄てることになる。これは株主からしてみると、とんでもない話で、経営陣を訴えてやる!ということになりかねない。

伝統的な20世紀型の企業、つまり新卒一括採用、年功序列を堅持し、ピラミッド組織に拘泥してきた企業は、仮に数値目標を設定しても、そう簡単に女性管理職は増えないし、無理に増やしたら男性側から(嫉妬のせいで)クレームが出る、というジレンマに陥る事になる。

そう考えると、安倍総理が提唱する「ウィメノミクス」なる戦略も、実現可能性から見て、はなはだお寒い限り、ということになる。小生は今や、女性が社会に貢献しつつ、お金も稼ぐ事ができるのは、古い伝統的な日本企業で働く事ではではない、と思うに至った。

何がウィメノミクスにとってブレークスルーになるのか、と問われれば、私は躊躇わず以下の2つが鍵となる、と答えるだろう。

それは、女性が:

  • ①起業する
  • ②政治家になる

ということだ。

①の「起業する」は事前にちゃんと準備さえしていれば、不可能ではない。現に、ソーシャルビジネスに身を投じる女性は後を絶たない。

②もハードルが高そうだが、SNSを駆使し、メディアを通じて、有権者に訴え、無所属で当選する議員は現実存在する。政党政治にうんざりしている無党派層に訴え、トップに近い票を獲得し千葉県我孫子市議になった水野友貴さんの例もある。(Japan In-Depthに寄稿中)

ワークライフバランス社のように、女性が設立した会社は女性スタッフが多い傾向にあるし、女性議員が地方でも中央でも増える事によって、子育てや介護などの分野における様々なサービスの起業が促進され、女性の社会復帰が促進されたり、新規事業における雇用が増えたりする。結果として社会保障費=ソーシャルコストも圧縮できるだろう。

ウィメノミクスを「きわもの」であり実現不可能なもの、と決めつけるのは簡単だが、その効果を冷静に見れば、「きわもの」どころではなく、日本の持続的成長にとって必要不可欠な政策だということがわかる。

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