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.政治  投稿日:2021/11/29

立憲民主党代表選【政策・人間力分析】その3 泉健太さん


西村健(NPO法人日本公共利益研究所代表)

【まとめ】

・外交では現実的な傾向だが、米従属でも中国寄りでもなく独自路線が明確。

・声診断では「これまでの経験を削ぎ落とすくらいの覚悟で取り組むことで新しい道が開ける」とのこと。

・権威主義的な日本社会を変えるために若手がリーダーになることが日本のためになる。

 

立憲民主党の代表選が行われている。第3回目は泉健太さん。衆議院議員。京都3区(京都市伏見区、長岡京市、向日市、大山崎町)選出である。前回の代表選に出馬し、枝野さんに敗れたが一定のプレゼンスを示した若手議員であり、現在の党政調会長を務める。

前回の選挙時には「国民に愛される政党」「追及、批判だけではない政策を伝える」「提案型の野党」と政党の在り方を掲げていたが、今回は「普通の安心が得られる社会」という政策理念を掲げてきた。

この泉さん、以前から「自己実現のために政治をしているのではない」と発言していたように、政治家になって権力を握りたい、出世したい、政治家になってプライドを満足させたい….という人間ではない。「自民党に移ったら?」ということを言われることがあると言っていたが、そういったことはしないそう。社会の在り方を考え、方向性を示す、そして、現実を変えていくことに意義を感じるタイプである。そうした意味で、旧来の政治家とは一線を画した「新時代の政治家」といっても過言ではない。

 経歴

1974年7月29日北海道生まれの47歳。少年時代は野球に励む。市立北海道札幌開成高等学校をへて立命館大学法学部に入学。大学時代には弁論活動、ボランティア活動に熱心に取り組んだそう。そのときも縁があったそうで、法学部卒業後、福山哲郎参議院議員の秘書を務めた。

2000年、衆議院選挙に挑戦するも惜敗、2003年の選挙で、初当選。当時29歳。その後、8期連続の当選をほこる(あの宮崎謙介元議員と小選挙区で戦っていたこともあり、その補選に出たため同期より多めの当選回数であるようだ)。

民主党では「次の内閣」子ども・男女共同参画担当副大臣、政権交代後、内閣府大臣政務官に就任し、少子化対策、男女共同参画、防災などを担当した。前前回の衆議院議員選挙では希望の党より立候補して当選、国民民主党国対委員長、政務調査会長などを歴任。その後、立憲民主党に合流した。ちなみに、福祉施設職員の経歴も。家族は妻と子ども3人。趣味は料理、DIY、自転車、アウトドアなどだそう。

 ウイングを広げられる現実的な政策

HPにも政策や自分の発言を掲げている。

▲画像 【出典】HPより

さて、政策スタンスを見てみよう。東大・朝日新聞の調査結果を見てみよう。

経済で見ると

・小さな政府にはどちらかというと反対

・公共事業による雇用確保にどちらともいえない

・景気対策のために財政出動を行うべきにどちらかというと賛成

・資産家や法人への税引き上げにどちらかというと賛成

外交で見ると

・防衛はどちらかというともっと強化すべき

・日本にとって中国はどちらかというと脅威

・沖縄県の普天間基地の辺野古移設は反対

・日米安保は強化・慎重どちらともいえない

・憲法改正についてはどちらかというと必要ない

外交といったところで現実的な傾向であるが、アメリカ従属でも、中国寄りでもなく独自路線が明確であるとも言える。

これまで主張した政策を見ても、全体的にバランスがある。というか、立憲民主党のイメージを一新するものが多い。

「特別会計の見直し、天下り規制の強化、官製談合の防止、随意契約の制限、公文書管理の抜本的見直しと情報公開の拡充等による行政監視機能の強化」や地域主権改革を主張してきた。孤独対策を政党の主要政策に掲げた実績もある。

泉氏は原発政策も「廃止でも推進でもどちらでもない」という立場。2030年の段階で厳しい安全基準などの条件を満たした場合、予備電源として確保という報告書を党でまとめたそうで、条件付き再稼働容認という立場である。ただし、「省エネ、蓄電、再エネ技術の推進により原発・火力依存度を低減し、分散型エネルギー社会を推進」「原子力エネルギーの着実な縮減に向け、立地地域の雇用・経済対策、使用済核燃料の最終処分などへの国の責任の明確化、廃炉作業を担う人材の育成を推進」といった主張をしている。

学生時代からボランティア活動をしていただけあって、同性婚や夫婦別姓は賛成、「執行役員をの半分を女性にしたい」「パリテは当然」などとの発言をするなど、社会的なテーマについてはリベラルな立場であり、人間の尊厳についても時代にあった主張をする。

 声診断でみる泉さん

一般社団法人日本声診断協会、株式会社ターンアラウンド研究所のコンサルタントの中島由美子氏に今回も登場いただいた。

中島さんによる声診断結果では、「現実主義で、現実を動かす才能があります。力強いパワーで動くことができる政治家です」とのこと。

課題は「既存のものを動かしたり、大きくすることは得意ですが、ゼロから一を生み出すのが得意ではない」とのこと。「これまでの経験を削ぎ落とすくらいの覚悟で、取り組むことで、新しい道が開ける可能性を持っています」と中島さんは期待する。

▲図 【出典】中島由美子氏

 若きリーダー

京都という地域から、出身地・地元ではない、2世でもない政治家として長年当選を重ねてきた泉さん。学生時のボランティア活動でいかした「現場力」「社会への問題意識」はさすがのレベルである。しかもまだ40代である。

「民主的で、自由闊達な議論のできる、風通しのよい党組織をつくる」とこれまで言ってきたわけで、そこは期待できるところだろう。党内についてはよく知らないが、権威主義的な雰囲気が強すぎる日本社会を変えるためにも、泉さんのような若手がリーダーになることが日本のためになるのは間違いない、泉さんに期待したい。

トップ写真:泉健太衆議院議員 出典:泉健太HP




この記事を書いた人
西村健人材育成コンサルタント/未来学者

NPO法人日本公共利益研究所(JIPII:ジピー)代表、ターンアラウンド研究所共同代表・人財育成コンサルタント、事業創造大学院大学国際公共政策研究所研究員・ディレクターなど。


慶應義塾大学院修了後、アクセンチュア株式会社入社。その後、株式会社日本能率協会コンサルティング(JMAC)にて地方自治体の行財政改革、行政評価や人事評価の導入・運用、業務改善を支援。独立後、組織改革、人材育成コンサルティング、政策分析、メディア企画、ソーシャル・イノベーション活動を進めている。


専門は、公共政策と社会心理。近年は、中国の先端技術、世界のスマートシティ、人工知能などテクノロジーと社会への影響、個人情報保護と民主主義の在り方、企業の利益相反、健康医療・福祉政策などをテーマに研究や執筆を進めている。

西村健

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