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.国際  投稿日:2021/12/29

中国の動きが激化する「2022年を占う!」国際政治


古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)
「古森義久の内外透視」

【まとめ】

・2022年世界の潮流は「グローバル化の後退」「主権国家が自国の利害を優先」「中国の動きの激化」。

・なかでも中国の動きが最大の激動要因。特に日米への言動が極めて重要。

・日本は中国の軍事攻勢を防ぐ必要。国難と呼べる危険や脅威の切迫といえる。

 新しい年の世界を展望してみよう。

 国際情勢はもちろん人間のカレンダーに合わせて動きはしない。とはいえ、人間集団はみな新しい年の幕開けを祝う。年始を新たな出発とも感じる。そんな人間の心情が国家と国家の関係に反映されることもあるだろう。

 こうした条件をつけながら、2022年の国際情勢を予測してみた。

 新しい年の世界は少なくとも3つの潮流が顕著になると思う。

 第一はグローバル化の後退である。

 第二は主権国家の自主性の改めての発揮だといえる。

 第三は中国の動きの激化である。

 以上の特徴はいずれも2021年からの継続だともいえる。

 なかでも上にあげた3項目のうち3番目の中国の動きが最も大きな激動の要因になるだろう。だが他の要因も国際情勢の地殻的な変化をともなう重要性がある。

 順を追って説明しよう。

 第一のグローバル化の後退はすでに2021年にいやというほどみせつけられた。

 理由はいうまでもなく新型コロナウイルスの世界的な大感染である。どの国も自国の国境を封鎖、あるいは制限することで防疫対策を進めた。欧州連合(EU)のような国家連合体に近い存在でさえ、連携を保ってきた国家同士がたがいに国境を閉める厳しい措置をとった。

 国家と国家の間の人間の流れがグローバルな規模で大幅に規制されてしまったのだ。まさにグローバル化の画期的な後退である。

 この現象は国家同士の年来の協調や連帯をも薄める効果がある。国同士の絆が希薄になるともいえよう。政治、経済、文化、社会など多方面での国家間のつながりがより細くなるわけだ。この流れは国際関係全体にブレーキをかけるような変動をもたらすことともなる。

 第二の主権国家の自主性は第一の要因と表裏一体である。

 それぞれの国にとって他国よりも自国の利害を最優先して、自国の独自の判断で政策を決める傾向が強くなる。コロナウイルスがそれぞれの国家に自国民保護の責務を突きつけることになったのだ。

 アメリカ国民を邪悪なコロナウイルスから守るための措置はアメリカ合衆国しかとってくれない。日本も同様である。国際機関も同盟国や友好国も他国のウイルス対策には助力はしてくれない。個別の主権国家が単独で対処せねばならない。主権国家の責任とともに自主性や独立性が問われるのだ。



写真)新型コロナウイルス犠牲者の埋葬(2021年7月18日 インドネシア・北ジャカルタの墓地で)
出典)Oscar Siagian/Getty Images

 第三の中国の動きはコロナウイルス大感染とも密接な関係がある。

 全世界を襲ったコロナウイルスはまちがいなく中国の武漢で発生した。中国政府はその事実を隠し、虚偽の情報まで流した。その結果、感染が一気に国際的に拡大した。どの国にとっても自国にこれほどの被害をもたらした中国という国家へのこんごの接し方を再考させられることとなる。

 そのうえに近年の中国のアメリカに対する、そしてさらに日本に対する言動がさらに重要である。グローバルなレベルでは国際規範を踏みにじり、アメリカの覇権に挑戦してきた。日本に対しては領土の軍事奪取を目指し、経済面での不正慣行を続け、しかも「抗日」の歴史の名の下に反日の国是を保つ。中国の国内での人権弾圧は留まるところを知らない。

 日本は中国の軍事がらみの攻勢を防がねばならない。その防戦は容易ではない。国難と呼べる危険や脅威の切迫といえる。

 新しい年2022年の国際情勢は日本にこうした苦難を与えるだろう。

トップ写真)中国・習近平国家主席
出典)Mikhail Svetlov/Getty Images




この記事を書いた人
古森義久ジャーナリスト/麗澤大学特別教授

産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授。1963年慶應大学卒、ワシントン大学留学、毎日新聞社会部、政治部、ベトナム、ワシントン両特派員、米国カーネギー国際平和財団上級研究員、産経新聞中国総局長、ワシントン支局長などを歴任。ベトナム報道でボーン国際記者賞、ライシャワー核持込発言報道で日本新聞協会賞、日米関係など報道で日本記者クラブ賞、著書「ベトナム報道1300日」で講談社ノンフィクション賞をそれぞれ受賞。著書は「ODA幻想」「韓国の奈落」「米中激突と日本の針路」「新型コロナウイルスが世界を滅ぼす」など多数。

古森義久

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