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.政治  投稿日:2013/10/15

[西田亮介]民主党は今こそ「攻めのネット選挙」に取り組むべきだ


西田亮介(立命館大学大学院先端総合学術研究科特別招聘准教授)

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2013年7月の参院選からネット選挙が解禁された。その経緯や評価については、拙著『ネット選挙 解禁がもたらす日本社会の変容』(東洋経済新報社)や『ネット選挙とデジタル・デモクラシー』(NHK出版)などでも指摘したが、投票率向上など事前に期待されたような効果をあげることはなかった。

さらに特筆すべきは、自民党がネット選挙の主導権を握っていることかもしれない。自民党が2009年に野党となってから、ネット上のコミュニケーションの分析を行ってきたことが各所で報道されている。また2000年代前半から、もともと民間企業でPRを担当してきた世耕弘成官房副長官が自民党のコミュニケーション戦略の革新に取り組んできた経緯もある。

2012年末のネット選挙解禁の提案から、参院選まで、党内にガバナンスを形成し、「情報の収集→分析→研修、端末を通じた候補者・政治家へのアドバイス」というサイクルを構築し、ネット選挙をもっとも戦略的かつ効果的に進めたのも自民党であった。

対する民主党はどうか。2000年代を通して、もっとも声高にネット選挙解禁を主張してきたはずの同党だが、2010年以後鳴りを潜めていた。2012年以後の解禁を巡る議論でも完全に後手に回ることになった。むろん当初から自民党圧勝が予想されており、ネット選挙での挽回も難しかっただろうが、こうした新しい分野でも与党の後塵を拝する結果になったことが野党第一党の役割としてとても残念に思われる。

ネット選挙は確かに現状大きな影響を与えているとはいえない。しかしネットを使わない世代が徐々に社会から退場し、ネットを活用する世代が、人口の多くを占めるようになる時期にはそのような状況も変化するかもしれない。メディア環境の変化も、そのような傾向に拍車をかける可能性がある。

2015年、2016年には大きな選挙が控えているが、その直前になって慌てふためくようではいささか心もとない。民主党は長く「新しい政治」や「透明性」を標榜していた。その意味でも、本来ネット選挙との相性はいいはずだ。失った信頼を取り戻すには、透明性を徹底するほかないかもしれない。

民主党のシンクタンク機能を果たすはずであった「プラトン」解散後は、党内にネット選挙を含め、中長期の攻めのビジョンを生み出すガバナンスが不在にも見えるが、今こそ「攻めのネット選挙」についてじっくり再考してみてはどうだろうか。

 

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