維新代表選【政策・人間力分析】その3 梅村みずほさん
西村健(NPO法人日本公共利益研究所代表)
【まとめ】
・日本経済活性化のために、ベーシックインカムを強調している。
・母親の立場から教育の無償化の優先順位を高く設定。
・女性役員が24名うち1名しかいない維新において、女性代表として代表選に臨む。
日本維新の会の代表選、第3回は梅村みずほさん。
1978年9月10日生まれの43歳。愛知県名古屋市生まれ。父は金融機関につとめる転勤族、母は専業主婦の家庭に生まれる。富山県立呉羽高等学校卒業。2001年3月、立命館大学文学部卒業。旅行代理店のJTBに入社。2003年から、京都・大阪を中心にMBS・KBS・FM京都などを中心にフリーアナウンサー・タレントとして活動。タレントオフィスともだちに所属し、ラジオ・テレビ・イベント司会などで活動。華のある活動とはいえ、「レギュラーの仕事は週2コマ入る地方局のラジオニュースだけですし、お金もたくさんいただけるわけではありません」という実情だったようだ。
2009年4月よりフリーランスに転向した。2017年春、同じ立場の夢ある女性を応援したいという想いで「働き女性のためのトークスキルラボ」を始動し、話し方教室を運営。京都橘大学非常勤講師、京都府高等学校文化連盟放送専門部講師を務める。「幼少期からコミュニケーション能力を高める教育プログラムを作ろう」という思いを持っていたそう。2019年、参議院議員選挙に大阪府選挙区から立候補して、初当選。
■ 政策は?
日本大改革プランや維新八策をベースにしているものの、今回の選挙では以下の政策を掲げている。
1.政党交付金・幹部決済資金・立法事務費の透明化
2.支部交付金の使途適正化と地方議員への分配
3.文通費使途を地方の政務活動費使途を参考に再検討
4.衆参両院議員の多選禁止と各級議員の流動化
5.ハラスメント窓口の設置など、党内弱者を救済
6.議員・秘書・職員の研修・教育機会の充実
7.「維新八策」「日本大改革プラン」の継承
8.宗教・教育・家族などへのタブーなき議論
▲図 出典:日本大改革プラン
梅村さんは特にベーシックインカムを強調している。その目的は、日本経済を活性化するものだとしている。イメージは国民1人1月6、7万円を主軸に考えているそう。また、ベーシックインカムを実現するためには、財源論を考えるべきと強く主張している。財源論から逃げてはだめだと強調する。中でも、ベーシックインカムをやるという前提で、金融資産課税をどれだけにするのかの党内議論、その活性化を望んでいるそう。
■ 母親の立場からの子育て・教育
子育て施策については「子供を産んで保育園に子供を預けましょうとなったときに、お兄ちゃんの保育園に娘が入れられませんでした」という経験・体験をきっかけとして語る。教育については教育の無償化の優先順位を高く設定している。子供の教育を何とかしたいと思っているらしく、学びたくても学べない子供がいることが「有事」だと思っているほどである。
特に教育の問題点を、子供の自己肯定感が低いことだと指摘、いじめ対応についても積極的に発言・行動するなど日本の教育への問題意識も高い。他方、「教育委員会の抜本改革」と言うように、少し過激な発言をするところは気になるところである。家庭・教育・宗教などの問題については、党内でも聖域なき議論が必要だと主張している。
■ 維新の女性代表として
エネルギーについては地熱発電の必要性も主張していて、党と同様に原発再稼働は賛成している。ある討論会では原発の新増設をみとめるべきという足立氏に対して、馬場氏とともに梅村氏は新増設には反対を示している。
梅村さんは国会でも熱心に活動しているようだ。山形県酒田市で生徒がいじめを受けて自殺した事件について「事件後、学校側は遺族に十分な説明をすることなく、1か月以内に調査を終了しています。遺族は調査を継続してほしいと希望したものの、新しい事実が出てこない限りは調査ができないと断られている」と発言、いじめに関するガイドラインについての疑問を投げかけるなど活躍しているようだ。また、悪質な水上バイク対策の法律提案など、新しい課題に対して熱心に活動したと言われている。
「男性優位の政党」と評され、女性役員が24名うち1名しかいない維新。女性のイメージが弱い維新だからこそ、梅村さんに期待したい。
トップ写真:梅村みずほ氏 出典:梅村みずほHP
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この記事を書いた人
西村健人材育成コンサルタント/未来学者
経営コンサルタント/政策アナリスト/社会起業家
NPO法人日本公共利益研究所(JIPII:ジピー)代表、株式会社ターンアラウンド研究所代表取締役社長。
慶應義塾大学院修了後、アクセンチュア株式会社入社。その後、株式会社日本能率協会コンサルティング(JMAC)にて地方自治体の行財政改革、行政評価や人事評価の導入・運用、業務改善を支援。独立後、企業の組織改革、人的資本、人事評価、SDGs、新規事業企画の支援を進めている。
専門は、公共政策、人事評価やリーダーシップ、SDGs。