大雪でも休校せず、その是非「高岡発ニッポン再興」その40
出町譲(高岡市議会議員・作家)
【まとめ】
・12月23日、高岡市は周辺市町村より、多くの大雪に見舞われた。
・高岡市の小中学校では、平常通り終業式が行われた。
・専門家によれば、ここ数年災害には予防的な措置をとるのが主流。教育委員会は実態を踏まえて次の大雪に備える必要がある。
先週金曜日23日、高岡市は周辺市町村より、多くの大雪に見舞われ、混乱しました。時間帯も集中した局地的な大雪です。ゲリラ豪雨ならぬ、ゲリラ豪雪ともいえます。私自身も、交差点でクルマが立ち往生しました。
今後、再び大雪になるかもしれません。そこでゲリラ豪雪に見舞われた12月23日を検証します。
この土日、複数の父兄からこんな声を聞きました。
「どうして高岡市は小中学校を休校しなかったの。大雪の際、歩道の除雪は後回しになり、子どもたちは歩道を歩けません。車道を歩いて、危ないのです。早く休校と判断してくれれば、良かった」
高岡市では、小中学校は、平常通り終業式が行われました。多くの子どもたちは午前8時ごろに学校に行き、午前11時半ごろに帰宅しました。なぜ、休校にしなかったのか。
高岡市教育委員会に聞きました。理由は、前日の22日午後3時段階では、大雪に関して注意報だったからです。教育委員会は、「警報だったなら、休校していた」といいます。休校にするかどうかは、午後3時ごろに判断することになると言います。この日は午後5時ごろに教育委員会で最終確認し、「休校せず通常通り」に決定しました。
気象によりますと、注意報とは「災害が起るおそれがある場合にその旨を注意して行う予報」で警報は「重大な災害の起こるおそれのある旨を警告して行う予報」です。警報の方が、深刻な事態なのです。結局、警報になったのは、23日当日の午前6時でした。
「当日の朝6時になると、すでに、教師や児童が学校に向かっており、突然休校できない」としています。この日私は早朝市内を視察しました。小学生が、雪で歩道を歩くことができず、車道を歩いている姿を見かけました。正直危ないと思いました。大きな事故などがなかったのは、良かったのですが、行きも帰りも、悪天候の中、子どもたちが歩くのは、やはりリスクがあると思います。
砺波市と小矢部市は市内の小中学校を臨時休校としたほか、県立高校と私立高校、特別支援学校合わせて23校が臨時休校となりました。一方、氷見市と射水市は、高岡市と歩調を合わせ、休校せず、平常通りにしました。
つまり、22日に危機感があったのかどうか。対応を分けました。この22日がポイントです。
国土交通省北陸地方整備局はこの日、異例の記者会見を行いました。高速道路会社や気象庁などと一緒に、23日から富山、新潟、石川で大雪の可能性があるとして、不要不急の外出を控えるよう呼び掛けたのです。JR西日本も22日段階で、大雪が見込まれるため23日に一部区間で運休すると、発表しています。22日は、翌日の気象に警戒感があったのは確かです。
休校にするかどうかは難しい判断だと思います。ただ、専門家によれば、ここ数年、災害に関しては、予防的な措置をとるのが主流です。つまり、不要不急の外出を控えろというのです。
しかし、高岡市は前日の午後3時の時点で「休校せず」と判断しました。さらに、大雪警報が出た午前6時になっても、方向性を変えませんでした。国土交通省などとの危機感とはずいぶん違いますね。
雪道を車とすれ違いながらとぼとぼ歩く子どもたち。一方、大人は車に乗っていますね。教育委員会には、こうした実態を踏まえて、
次回の大雪に備えて欲しいですね。
トップ写真:大雪に見舞われた高岡市 出典:筆者提供