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.社会  投稿日:2023/2/15

「ミモザの日」を祝おう 伊大使館でイベント


Japan In-depth編集部(秋山彩葉)

【まとめ】

・在日イタリア商工会議所主催Mimosa Day 2023公式記者会見が行われた。

・3月8日のミモザの日=国際女性デーにはさまざまなイベントが行われる。

・より多くの人に国際女性デーについて知ってもらいたい。 

 

2月14日はバレンタインデーだが、東京港区にある在日イタリア大使館では、在日イタリア商工会議所主催Mimosa Day 2023公式記者会見が行われた。Mimosa Day=ミモザの日とは毎年3月8日に行われる「国際女性デー」の別名だ。女性の社会参画を願う日として国連が定めた。

会見では、ミモザの日が始まった歴史を振り返り、現在行われている、Mimosa Dayの取り組みが紹介された。また、来る3月8日のミモザの日に開催される「The Yellow Walk」及び、マハラジャ六本木で行われる「The Yellow Aperitivo」などのイベントへの参加などが呼び掛けられた。 

会見で、ジャンルイジ・ベネデッティ駐日イタリア共和国特命全権大使は、愛と尊重のシンボルであるミモザの花を女性に贈ることは、イタリアでは儀式となっていると紹介。女性は間違いなく「現在と未来における必要不可欠な人的資源である」と開会の言葉を述べた。

▲写真 会見にて開会の挨拶をするベネディッティ閣下 ⒸJapan In-depth編集部

次に在日イタリア商工会議所事務局長ファントニ・ダヴィデ氏は、イタリアMimosa  Dayの歩みを語った。

Mimosa Dayはコロナ禍真っ最中である2021年3月8日に開始されたプロジェクトであり、3つの理念をもとに活動しているという。

1つ目は、全ての女性に「ありがとう!」と感謝を伝えること。2つ目は、この活動を広めるために「頑張ろう!」と声を上げること。最後は、コロナ禍で社会全体の雰囲気が落ち込んでいる中で、「明るく生きていこう!」と呼びかけることだ。

▲写真 Mimosa Dayの活動について語るダヴィデ氏 ⒸJapan In-depth 編集部

続けてダヴィデ氏は、Mimosa Dayの活動のテーマについて語った。

Mimosa Dayがスタートした2021年のテーマは、『YELLOW POWER〜ポジティブシンキング〜』。2022年は『YELLOW MAGIC〜貴方もマジックができる〜』であった。そして今年のテーマは、『YELLOW SUSTAINABILITY』。環境にやさしい活動を推進していこうという思いが込められている。

ミモザの日と環境問題がどのように結びつくのか、疑問に思う人もいるだろう。具体的な活動を一つ紹介する。3年間にわたって、在日イタリア商工会議所はCBCテレビとコラボレーションし、2月28日から3月7日までの1週間にわたり、CBCテレビにてミモザの日の特別なメッセージを放送しているのだという。そしてその視聴者の女性の方に、Ferrero Rocherのチョコレートをプレゼントしている。このチョコレートはミモザの花をモチーフとしており、イエローゴールドに輝くパッケージが特徴だ。

フェレロ アジア パシフィック ブランド デペロプメント ヘッドの村岡由香氏は、「ミモザの日に女性に贈るチョコレートのパッケージに使用する素材をすべてリサイクル、又はコンポスト可能なものにすることを目標にしている」と語った。チョコを手に取った人が環境について意識してもらうことを期待する活動だ。

▲写真 フェレロのチョコレート 。黄金に輝く見た目がミモザを彷彿させる。 ⒸJapan In-depth編集部

また、Mimosa Dayが行っている活動が紹介された。

冒頭で既に取り上げた「The Yellow Walk」は、国際女性デーを祝福するパレードに東京在住のイタリア人の女性たちが黄色いアイテムを身にまとい参加、全員で最終目的地である「マハラジャ六本木」を目指すものだ。

The Yellow SNSキャンペーン」は、2月14日から、社会をポジティブに変えようとする女性たちのインスピレーション溢れるメッセージをSNSで発信する取り組みだ。この活動は、日本人同士でインスピレーションをしあう点に特徴がある。イタリア人女性から発信されるだけでなく、日本としても積極的にミモザの日を盛り上げていこうというプロジェクトである。

さらに、名古屋にある中部電力MIRAI TOWERと提携し、3月1日から1か月にわたり、ミモザの日を応援するイエローメッセージを発信しているという。

また、男性側の視点に立った活動も展開、伊勢丹メンズ館とコラボしてインスタライブを配信する。ミモザの日や女性のこと、そして世界をより良くする明るいイエローのようなポジティブなことについて語り合うための活動だという。

▲写真 ベネディッティ駐日イタリア大使(左)とダヴィデ氏(右)左から2番目、エネルエックス・ジャパン株式会社APAC人事部長 笠井利美氏 株式会社フジテレビジョン取締役・国際局長 柾谷美奈氏(右から2番目) ⒸJapan In-depth編集部

■ そもそも「ミモザの日」とは?

「国際女性デー」は、毎年3月8日に制定されている。1904年にアメリカ合衆国のニューヨークで、参政権のなかった女性が労働条件の改善を求めて起こしたデモを受け、ドイツの社会主義者クララ・ツェトキンが、1910年の国際社会主義会議で、「女性の政治的自由と平等のためにたたかう」記念の日と提唱したことに端を発している。

では、なぜ国際女性デーのシンボルとして、ミモザの花が用いられているのだろうか。

一つ目は、ミモザの花言葉にその理由が隠されている。ミモザの花言葉は「安全」「愛」。フランスでは「私がどれほどあなたを愛しているか、誰にも分かりはしない」という意味を込めて、母親や祖母に対してミモザの花を贈る慣習があるという。

そして、ミモザは寒い冬が終わり春を告げる2〜3月に花を咲かせることから、「幸せの花」と呼ばれていることにも由来している。イタリアでは3月8日を「FESTA DELLA DONNA(フェスタデラドンナ)」=「女性の日」として、男性が女性に旬のミモザをプレゼントする習慣があることから、国際女性デーの別名として、ミモザの花が使われるようになったのだ。

しかしダヴィデ氏によると、ミモザを待ちゆく女性に配るようになった理由は、ミモザがどこにでも咲いている安い花であり、誰でも手に入れることができたことが大きいという。上記に挙げたようなミモザの持つ意味が、女性のイメージとぴったり合うことに気づいたのは後の話なのだそうだ。

鮮やかな黄色い花は太陽をイメージさせ、厳しい冬の寒さに耐えてきた人々の心を明るく照らす『冬の太陽』としても親しまれてきた。

■ 国際女性デーとしての他のイベント

1975年に国連によって「国際女性デー」として正式に制定されて以来、「女性の生き方を考える日」として様々な活動が行われている。SDGsの5つ目の目標にも「ジェンダー平等を実現しよう」と掲げられている。

▲写真 SDGsが掲げる17の目標。5つ目にジェンダー平等についてが掲げられている。 出典:UN WOMEN

日本では、HAPPY WOMAN実行委員会が「国際女性デー|HAPPY WOMAN FESTA」というイベントを開催している。ている。Googleは毎年3月8日に検索ロゴを国際女性デーに合わせたものに変更し、ミモザの日の存在を多くの人に知ってもらおうと努力している。

▲キャプチャ 2021年の国際女性デーのGoogleの検索バー

Mimosa Dayの取り組みは私たちの身近なところで行われているが、その認知度はまだまだ低いのが現状だ。私自身も今回の会見に出席するまでは「ミモザの日」という名前さえ聞いたことがなかった。

会見終了後に設けられた質疑応答で、「Mimosa Dayの活動を広げて女性の権利向上を推進して行くために個人ができることはあるか」と聞いてみた。

ダヴィデ氏は「日常生活において、とにかく伝えることが大切。1人の人が1人の友達に伝えること自体はとても小さなことではあるが、活動はそのような地道な過程を経て広がっていくものだ。どうか、身の回りの友人や家族に伝えてほしい。」と、自分だけではなく周りの人たちも巻き込んでいくことの重要性を語った。

加えて、「3月8日に開催されるミモザの日のイベントに是非出席してください。黄色いものを身に纏い、共にミモザの日を祝いましょう」と、イベントへの積極的な参加を呼び掛けた。

1人でも多くの人にミモザの日の存在を知ってもらうことで、国際女性デーがより身近なものになる日を願う。

トップ写真:イタリア大使館に飾られたミモザの花 ⒸJapan In-depth編集部




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