六本木ヒルズ「けやき坂イルミネーション」点灯式
【まとめ】
・11月7日、女優の吉瀬美智子さんをゲストに迎え、「けやき坂イルミネーション」の点灯式が行われた。
・六本木ヒルズを皮切りに今後、都内では数多くのスポットがイルミネーションで彩られる。
・イルミネーションは都市ブランドの向上に寄与しており、街の活性化と共に都市の魅力を高める役割が期待されている。
六本木ヒルズ開業以来、冬の風物詩として親しまれている「けやき坂イルミネーション」、立冬の11月7日、木枯らし1号が吹くなか、22回目となる今年も華やかに幕を開けた。
11月7日に行われた、女優の吉瀬美智子さんをゲストに迎えた点灯式を皮切りに、六本木の街は幻想的な光に包まれた。
本イルミネーションは、11月7日(木)から12月25日(水)の17時〜23時までの間、点灯する。今年のテーマは「I PEACE YOU」。「違いをこえて、違いをたたえて」というメッセージが込められており、人と人、人と世界、そして、あなたとわたしがピースでつながる未来を願う意図が表されている。
約400メートルにわたるけやき坂の並木道は、白と青のLED約90万灯が輝く「SNOW & BLUE」に彩られ、ロマンチックなムードが漂っている。66プラザでは、昨年に初開催された鮮やかな光の花束をイメージしたイルミネーション「Luminous Bouquet」が、今年も登場し、来場者を温かく迎える。
写真)66プラザ「Luminous Bouquet」
出典)森ビル
■ 来訪者の変化
コロナ禍の前後で来訪者数の大きな増減は無いが、コロナ禍が開けた2022年のクリスマスイブには、六本木ヒルズ開業以来1日あたりの来訪者数が歴代最高となる33万人を記録した。この傾向は、コロナウイルス対策のため外出を控えていた反動も影響していると見られ、来訪者数は微増を続けている。
けやき坂イルミネーションは、始まった当初から現在に至るまで、老若男女問わず、家族連れから友人同士、カップルなど幅広い層に愛されている。年々、その認知度は増し、今では東京の観光名所として、多くの外国人観光客も訪れる。イルミネーションの点灯式でも海外からの旅行客の姿が多く見られ、国際的な冬の観光地としての魅力をさらに発信している。
写真)けやき坂上から写真を撮る外国人観光客
ここ数年の円安がそうした状況に拍車をかけている。「近年は、特にインバウンド客の来訪が増加していることを肌感覚で感じる」と、森ビル株式会社タウンマネジメント事業部深田栞里さんは語った。
この季節の都内のイルミネーションは、六本木ヒルズだけではない。同じ六本木では、東京ミッドタウンの、「MIDTOWN CHRISTMAS 2024」2024/11/14(木) 〜 2025/02/24(月・休)。八重洲・日本橋エリアの街を灯す、「TOKYO ILLUMILIA」2024/11/06(水) 〜 2025/02/14(金)。丸の内仲通りの、「丸の内イルミネーション2024」2024/11/14(木) 〜 2025/02/16(日)。渋谷の、「青の洞窟 – THE SNOW DOME –」2024/12/6(金)〜2024/12/25日(水)、「表参道 フェンディ イルミネーション 2024」2024/12/2(月)~12/28(土)など、たくさんのスポットがイルミネーションで彩られる。
写真)「TOKYO ILLUMILIA」昨年の様子
こうしたイルミネーションは、国内、国外問わず観光客を引きつけ、地域経済の活性化をもたらす。かつてイルミネーションはその電力消費の大きさからエコではない、と批判を浴びた。また交通渋滞を引き起こし、裏の路地まで多くの観光客が溢たことに地元住民が反発し、一時期表参道ではイルミネーションを中止したこともあった。
ただ、今では電球は消費電力の少ないLEDに置き換わっており、環境への影響は緩和されている。それ以上に、こうしたイルミネーションが、東京という都市のブランドイメージのアップに貢献していることは疑いもなく、今後も増えることはあっても減ることはなさそうだ。
そうしたなか、「世界の都市総合力ランキング」(Global Power City Index, GPCI)で東京は、総合力で、ロンドン、ニューヨークの後塵を拝し、3位に甘んじている。また、「ナイトライフの充実度」においては、ロンドン1位、ニューヨーク5位に対し、東京は30位にとどまり、課題となっている。 東京は今後、都市の魅力をどう高めていけばいいのか、イルミネーションを足がかりに様々な街づくりを模索すべきだ。
トップ写真:六本木ヒルズ アリーナにて、けやき坂イルミネーション点灯式を行う女優の吉瀬美智子さん 2024年11月7日 東京都港区 ©Japan In-depth編集部