【103万円の壁】を巡る与党との協議 「明日までに方向性でないと厳しい」国民民主党玉木雄一郎代表
Japan In-depth編集部 (梶谷友花)
【まとめ】
・玉木代表は「103万の壁」引き上げをめぐる与党との協議について、「ゼロ回答」なら今後の協議を継続しない意向を示した。
・「11月22日閣議決定なら、20日ぐらいには方向性が出ないと難しい」と述べた。
・来年の都議選における都民ファーストや石丸新党との連携については未定とした。
国民民主党による「103万の壁」を巡る与党との協議も、ついに山場を迎えている。本日行われた同党の玉木雄一郎代表会見ではこの「103万の壁」ついて様々な質問が飛び交った。
玉木:まず私から1点、今与党と2つの協議を行っています。
1つは、経済対策の協議と、そして税制改正の協議ということでありますが、昨日、浜口政調会長そして古川政調会長と自民党、公明党の政策責任者と協議を行いました。
経済対策について我々の党内でまとめた意見をつけましたけれども、昨日の時点では、ある意味我々の求める内容、細かいところで要望したものは入れていただいているところは評価をしますけれども、肝心の103万円の引上げ、またガソリン減税、そしてそもそもこれらを貫く手取りを増やす経済政策の必要性、こういったものが盛り込まれておりませんでしたので、改めて今日再び与党と協議を行わせていただきたいと思います。
これはですね、我が党が要請、要求しているということよりも、各種世論調査を見ても、約3万の壁の引き上げをやってほしいという人が7割、8割に達するということで、国民の願いだということを政府与党側にもしっかり受け止めていただきたいと思っておりますし、日本経済がこれから本当にデフレから完全脱却をして持続的な賃上げが実現できるかどうかにとっても、極めて重要な政策だと思いますので、我々としては譲る気はありませんので、厳しい交渉にはなりますけれども、仲間と力を合わせて一致団結して向き合っていきたいと思います。
仮にこれゼロ回答であれば、今後与党に対して協議を継続することはありませんので、我々としては選挙で約束した政策の実現に全力を傾けてまいりたいと思います。
そして一部で財源論からやめるべきだという議論がありますけれども、我々はこれもともとですね、インフレ増税になっていて、取り過ぎた税収を外資するということなので、新たに財源を見つけてくるような話ではそもそもないということ。
また、憲法25条の生存権に基づいて我々は国民に代わって要求をしているわけでありますので、財源論より生存権の問題だというふうに思っていますので、この点も改めて政府与党に対しては強く求めてまいりたいと思っております。
私からは、以上です。
写真:国民民主党玉木雄一郎代表 2024年11月19日 東京・千代田区
ⓒJapan In-depth編集部
記者:103万円の壁の引上げについて伺います。これまで基礎控除等の引上げというふうにおっしゃっていたと思うんですけれども、Xの投稿などでは基礎控除の178万円の引上げというふうな発信されていますので、そこのところの給与所得控除をいじらないのかというところ、お考えをお聞かせください。
玉木:これはこれから税制改正の議論の中で、具体的に決めていくことにはなろうかと思いますが、私自身が選挙の最中に年収200万から年収1000万モデルケースにおける減税額を出しましたけれども、あれは基礎控除をフルに広げて178万円にしたケースですね。
つまり、皆さんもそうなのと、給与所得者の方が多いのは確かなんですが、今フリーランスとか、いわゆるサラリーマン、サラリーウーマンじゃない形で働く方も、多様な働き方が出てきておりますので、全ての方々の所得に対して控除額を増やして課税対象所得を減らしていくという観点からすると、給与所得向上を拡大するのももちろん一つの考え方としては否定しません。
けれども、基礎控除を目いっぱい広げるということをベースにこれから政府与党とも交渉してまいりたいと思っています。
記者:もう一点別で、政治改革について。今日は自公の二幹二国で、幹事長レベルで与党とも与野党での協議をするという方向で行きましたが、その呼びかけに対して国民民主は応じる考えなのか、その必要性についてはどのようにお考えでしょうか。
玉木:はい、これはもう私からも石破総理にも斉藤代表にも申し上げましたけれども、紙も渡してますが、与野党協議をしっかりやりましょうと。政治改革は、与党野党をまたがって全ての政党全ての政治家に影響を与えることですから、しっかりとこの野党協議の場を設けて、その中で合意点地点を見出していくということが重要だと思います。
もちろん野党同士でまとまることも必要なんですけれども、公明党さんと我々の考え方が非常に近いところもありますので、これ、与野党の垣根を越えて合意できるところは合意したらいいと思ってますので、その意味では速やかにこの与野党協議の場を設けて、
例えば政策活動費の廃止であるとか、あるいは外国人のパーティー券の購入の規制であるとか、こういったことは与野党協議の場でしっかり決めて実現につなげていくべきだと思いますので、速やかに設置を求めたいと思います。当然賛成です。
記者:103万の壁について伺います。こちらの103万という数字、どれくらいの引き上げ幅ということで、いろんな議論がされているかと思うのですが、自民党の佐藤正久幹事長代理がフジテレビの番組で生活物資という部分に注目すれば、128という数字を提示されました。こちらはおそらく1995年からの生活必需品の品目の物価の伸び率という数字を元にしていると考えられると思うのですが、この根拠について玉木代表として、どのように考えられるのか、そして改めて178万円という数字を譲らないことは変わらないのかということを改めてお伺いしたいと思います。
玉木:はい、いろんなことをおっしゃる方がいるんですけれども、我々この178万円を浜口誠政調会長あるいは当時公約検討委員長の下で検討したときに、どの数字を使うのかは、我々の中でもいろいろにしました。
今おっしゃったような物価上昇率というのもいろんなものがありますね。CPIの総合から今言った生活必需品あるいは食料費に限定するということもあります。そうなると上昇率はいろいろあります。
ただ今回、我々はさっき言った、生存権をしっかり保障するということをまずベースに置きながら、もう一つ今の日本の最大の課題は労働供給の制約が起きている。もっとわかりやすく言うと、お客さんがいるのにその103万の壁があることによって働き控えを起こして、特に年末年始、これから忙しい時に人が雇えない、特に学生のアルバイトとかパートさんが雇えないという声はいっぱい聞いています。
これは明らかに、供給抑制が起きているということは成長を阻害しているわけですよ。
ですから、まず2つ目的があって、1つはしっかりと物価高に応じて、それに対応できるような手元にもっとお金が残るようにしようという観点と、もう1つはどちらかというと供給制度のサプライサイドの問題ですけれども、供給制約が起きていることを解放して、もっと日本の成長力を高めていこうと。企業からしたら、もっと売上が立つ、そして物が売れる。こういうことになれば、法人税も消費税も増えますから、こういった税収の増加効果も見込めるようなことをやろうということで、29年間の最低賃金の上昇率が1.73倍なので、これを使おうということで提案をしております。
これからいろんな議論が始まっていくと思いますけれども、我々としては当初から主張している178万円をしっかりと主張していくというのが我々の基本方針です。
記者:話が全然変わりますけれども、県議会から不信任を提出された兵庫県の斎藤知事、先日知事選で再選したことへの受け止めを伺いたいのと、この結果についてはSNSがかなり重大な影響を及ぼすと指摘されていることに対してどうお考えでしょうか。
玉木:一つの民意が示された結果だと思いますので、これは兵庫県民の皆さんの民意ですから。また、投票率もかなり上がったというふうに聞いておりますので、この結果は重いというふうに思います。
SNSの影響が言われます。我々国民民主党の役人にも、SNS、特に動画が影響したということを言われますけれども、私、これは一つの手段であって、やはり言っている主張というのが一番大事で、それがSNSというメディアで伝わりやすくなったのかなと思いますので、あくまでこれは県民の皆さんの判断と民意の結果ではないかなと思っております。
ただ、この間のいろんな選挙を見ていて、我々もそうかもしれませんが、既存の政党とかあるいは既存の概念ということに対して満足しない、満足できない民意が存在しているなということは強く感じますので、そういったことをどうしっかり受け止めることができるのか、これからの政治には問われると思いますし、我々も何度も申し上げていますが、結党から4年、我々とて気を緩めると、常に古くなって、今この瞬間も古くなってますから、常に自らをアップデートしていく。
政策的にもやり方にしても手法にしてもですね。
常に自分たちが古くなっているんだという自覚を持って対応していかないと、政党や政治家はすぐ陳腐化するということの警鐘だと受け止めてですね。
我々も変わり続けたいと思います。
記者:関連して、来年参議院選挙に行かれる中で取り替え選挙に行かれるということ。ネット戦略に関しては代表もおっしゃっている通り、これまで続けてきたことが今回の衆議院選でも大きく影響したということですけれども、今後の選挙戦の国民との戦い方としてどういうふうに戦略を練っていきたいというふうに考えていますか。
玉木:改めて今回の衆議院選挙の振り返りをしっかりした上で、我々にとって完璧にできたとは思っていませんし、戦略的に行ったことと、結果として多くの名前も知らないたくさんの人に動画や様々な静止画の投稿も含めて助けていただいたおかげで結果が出ているのかなと思いますので、今回の兵庫県知事選挙の結果も含めてよく分析をして、来年の参議院選挙に生かしていきたいと思っています。
記者:SNS上では選挙各種選挙期間中に色々なデマや虚偽情報が出回るわけですけれども、これらの対策を今後どのようにしていくべきなのかということを、国民民主としては現在ではどのようにお考えでしょうか。
玉木:そうですね。私もXなんかを使ってますけど、比較的コミュニティノートとかがすぐ付くようになっているのはいい傾向なのかなと思います。けれども、私も正直必ずしも真実じゃないことを拡散されたりすることもよくありますし、今もそういうことにさらされていますけれども、ただ常日頃から発信をしていることによって、実はそんなこと言ってないよ、という過去の発言をユーザーの方が挙げてくれたりですね。
例えば典型的なのは尊厳死の発言について、私が日本記者クラブで少し短い期間の中でちょっと不十分な説明だったり、それで誤解も含めて広がった時にですね、この場で濱口さんと一緒に最初の政策を発表した時に、これは医療費の削減のためではなくて事故決定をサポートするための制度ですよということを発言していたので、その時の少し長めにしゃべっていたものを貼り付けて、支援者のみならずユーザーの方がそういったことのファクトを補強してくれるという効果もありましたので、常日頃に地道に発信を続けておくということがネットドブ板として呼んでいますけれども、選挙になったからといって急にSNSを始めてもうまくいかないし、いざという時のフェイクニュースに弱くなるので、常日頃からの情報発信、地上線も空中線も同じだと思うんですけれどもドブ板、ネットドブ板大事だと思います。
記者:都知事選の際にネットを非常に活用して票を伸ばしたとされる石丸さんですが、新党の動きも一部報道されていますが、石丸さんとの今後の連携のあり方、合わせて、都議選での都民ファーストとの連携のあり方について伺います。
玉木:まだ何も決まっておりません。ただ、都民ファーストの皆さんは、衆議院選挙の際に選挙区にはよりますけど、かなりお手伝いいただいて、本当に一生懸命に黄色のジャンパーを着て我が子どものようにサポートいただいた都議会議員の方もいらっしゃいます。また、今まで、政策的な連携も、特にコロナ禍では、コロナ対策では情報共有したり政策的な連携を取ってきた経緯もありますので、そういったことを踏まえてどのような対応が取れるのかよくコミュニケーションしていきたいと思います。石丸新党に関しては、全くまだ私は何も知らないので、近々会いますので聞いてみたいと思います。
記者:103万円の基礎控除の引き上げで、代表は以前の178万円という引き上げる額について、協議の中で与党からも案を出してもらって決めていけばいいという趣旨を発言していましたが、本当に178万円というのは動かせない絶対条件なのか。それとも交渉の中で、103万円から178万円の間で決着するということも容認する用意はあるのでしょうか。
玉木:まだ税制改正の具体的な議論が始まってないので、やる前から何か下げる用意がありますよ、となると交渉になりませんしね。
128万円というのは今教えていただいて、生活必需品の増加率だというふうに伺いましたけれども、佐藤正久さんがおっしゃったということなんですが、彼は政調の担当者でもないので一自民党議員の意見としては参考にさせていただきたいと思いますが、組織として党として自民党政調や税調がどう考えているのか、これはまだお聞きしていないので、それをしっかり聞いた上で濱口さんや古川さんとも相談して交渉方針を決めていくことになろうかな、と改めて申し上げます。
現時点においては、178を譲るつもりはありません。
記者:もう一点、石破総理がAPECでの外遊に合わせてトランプ次期大統領との会談を調整していたのが、結局実現できないということになりました。アメリカ側は一律の対応だとは言っているんですけれども、石破総理の外交のスタートとしては逆風ではないかという指摘もありますが、このあたり、石破総理の外交をどのように見ていますか。
玉木:そうですね。どういった背景があったのか話も分かりませんけれども、日米同盟というのは両国間のみならず世界の共通財産というか、重要なコーナーストーンの役割を果たしていますので、できればお目にかかる機会があった方がよかったかな、と思いますけれども。今回は会談は実現しませんでしたけれども、ぜひ日米関係、日米同盟を強化する形で、個人的な関係も含めて絆を強めていただきたいと思っています。
記者:103万の壁の話に戻りますが、103万の壁の解消をめぐって代表のおっしゃる通り世論調査では7から8割の賛成があるものの、地方自治体が先週今週今週にかけて数百億規模の税収減を発表して懸念を表明しています。この懸念に改めてどのように答えるか、代表の考えをお聞かせください。
玉木:地方自治体の皆さんの懸念は当然だと思います。何もしなければ減りますからね。ただ、我々は地方財政に何か悪影響を及ぼしたいとは思っていませんので。当然、地方財政に対する配慮も前提で交渉していきたいと思っております。
ただ、これも申し上げているのですが、国もそうなんですが、地方税収も、例えば交付税でいうと、基幹3税の一定割合を交付税に回すということ、所得税だと33.1%だったと思いますが、そういったことも根っこが増えればそういった配分も増えていくし、地域が元気になれば、国税のみならず地方税収も増えていきますので、そういったことを精緻に分析をしていきたい。
歳出、歳入両面にわたった見直しも必要だというのは我々も当然感じておりますので、生存権の問題としてしっかり対応していただきたいということと同時に、例えば昨年度と一昨年度の予算、決算ベースで見ますと、かなり数兆円レベルの、使い残し不要というんですけれども、9兆円ぐらい年平均でありますし、また歳入の側の税収については、2年の平均でいうと予定よりも4兆円ぐらい年平均で上振れています。
予定よりも入ってくるのが、4兆円実は多かった。
支出面で見ると予算は組んだけれども、実はそんなに他にいらなくて9兆円ぐらい少なく済んだということを考えると、7兆円ぐらいの減収が問題だと言いますけれども、対応は私は十分可能ではないと思いますので、歳出、歳入両面にわたった見直しがどこまでできるのかできないのか。これはまさに政府与党としっかり協議をさせていただきたいと思いますので、全部向こうに考えろという気持ちはありません。
ただ今、110兆円超える予算や歳入に対して責任を持ち、また詳細なデータを持っているのは政府与党ですから、我々ばっかりに考えさせずに、政府与党もせっかく政権持っているわけですから、いろいろ考えられたらどうかなと思いますけど、対案がないですよね。ダメだダメだという反対ばっかりで、ぜひ対案を示していただきたいなと思いますね。
記者:103万の壁関係についてなのですが、代表がさっきおっしゃられたように、本格的な議論は税制改正かなと思うのですが、一方で、今続けられている政策協議で引き上げに関するというか、これにつながるようないろんな案を求められているかと思うのですが、どういった姿勢を与党に求めるのかが、経済対策においてこの103万の壁についてよく分かりづらいなと思うのですが、そこらへん教えていただけないでしょうか。
玉木:まず基本的な考えは、我々は決闘以来給料が上がる経済を実現しようということを言ってきました。民間の努力で、例えば5%を超えるような高い賃上げが30数年ぶりに実現したというのは皆さんご存じのとおりです。
ただ一方で聞く声は、賃上げは実現したけど、税と社会保険料が高すぎてちっとも手取りが増えていない。よってもって、消費が増えないわけで、消費が増えないと経済が元気になりませんから、企業業績もいまいちということになると、来年の賃上げの原資が生まれてこないんですよね。
やっぱり、企業としては売上が立って利益が出て、そして働く人に分配する、要は賃上げの原資が生まれてこないと持続的な賃上げが生まれないし。よってもって、政府の言う好循環というのは鎖が切れているわけですよ。
私たちは手取りを増やす経済政策で、好循環の切れた鎖をつなぎ直したい、というのが主張で、その中でも特に税金については皆さんの国民の所得の向上率以上に税収の増加率の高い状況、ブラケットクリープ現象といいますけれども、そういうことが起こって、インフレと賃上げと円安で、国の懐は極めて豊かになっている。
その増えた税収を国民の皆さんにお返しをして、民間の努力で実現した賃上げの成果がちゃんと国民の家計や懐にダイレクトにつながっていくような政策をしていこうというのが、私たちが手取りを増やす経済政策、とりわけ基礎控除の引き上げを行って皆さんの手元に残るお金を増やしていこうという政策の背景にある哲学ですので、これは政府が言っているデフレの脱却あるいは好循環の実現のためにに不可欠な経済政策なので、むしろ、政府がこの政策を取り入れない理由は私はないと思っているんですね。
だからこそ強く求めていますし、繰り返しになりますけれども、世論調査を見ても、7割、8割の人がこれはやるべきだとおっしゃってますので、ある種の民意だということでしっかり受け止めていただきたいと思っています。
記者:現時点で明らかになっている経済対策の原案では、ちょっと分かりづらいような表現になっているようにも伝わってきているのですが。
玉木:経済対策の原案には回答ゼロです。分かりにくいとかどうかではなくてゼロだと思っているので、これが続くのであればこれ以上協議はできません。
記者:重ねて103万の壁についてお伺いします。玉木代表も178万円引き上げることによって税収の増加効果は見込めるといようにおっしゃいましたが、与党側も考えるべきだということですが、この増加効果というのは大体どのくらいの規模を想定されてお話しされているのか、というのをお聞かせください。
玉木:具体的な数字は今申し上げませんけれども、訂正的に申し上げれば、まず手取りが増えますから、消費の拡大効果という一つのルートがありますね。
もう一つは、供給制約が起きていて、本当はお客さんもたくさんいるのに、あるいは店を開けば売れるのに、人を雇えないことによって開店の時間を短くしたり、あるいは中には店舗を閉じたりするところも出てくる。
これは明らかにそこにある需要を逃しているわけですから、きちんとした供給制約を取り除くことによって十分需要に対応することができれば、それはまず、企業としては売上が増加します。売上が増加すると裏から言うと、消費も増加しますから、その意味では法人税や、あるいは消費税や、あるいは所得税なども増加が見込めるということですので、こういったことを少し経済学的にもちゃんと分析をして、その中で本当に減る税収はどれだけなのか、一方で増える税収はどうなのか、ということについては、これからしっかり政府ともまたデータを出していただきながら分析をしていきたいと思っております。
記者:先ほどゼロ回答であれば協議継続はないとおっしゃいましたけど、改めてですが、何か協議に対するタイムリミットみたいなのがありますか。
玉木:はい。これ今現場で政調会長が議論してますが、今私が聞いているのは、22日に閣議決定をしたいという方針で逆算してやってますけども、そうなると前日の21日ぐらいには与党内、党内手続きもする必要があるとなると、我が党との協議はその前の日、というか明日ぐらいには方向性が出ないと難しいですよね。
もちろん閣議決定を先送りしていくということもあり得るのでしょうけど、今度は補正予算の編成とか臨時国会の開会との関係があるので、その意味では今日、明日が山場になるのかな。
これは具体的な交渉は濱口政調会長や古川政調会長にも任せていますので、私からどうこう言うべきものではないと思っていますけれども、かなり正念場に差し掛かっているのかなと思っていますので、交渉担当者に任せてその動きを注意深く見守りたいと思います。
記者:ちなみに、その協議の結果がどうなるかわからないですけれども、現在は与党との協議が先行していますが、こういった経済対策について、逆に野党との政策協議をより進めていくような考えはありますでしょうか。
玉木:他の野党とはですね、例えば政治改革などについては、一致するところも多いと思いますので、そういった点については、まさに我々が申し上げているのは自民党、公明党だけやろうとしているのではなくて、誰とやるかではない、何をやるかなので、政策ごとに最も近い政党と協議していくことは否定しませんし、その対象が立憲民主党であったり他の野党であったりすることは否定しませんし、一致する範囲において積極的にやっていきたいと思います。
記者:逆に、経済対策では今のところはちょっと組みにくいという感じなのでしょうか。
玉木:経済対策はそうですね。逆に、どういう経済対策を各党がおっしゃっているのか、というのが必ずしも判然としませんし、あと103万の壁については、野田代表と党首会談をしたときには、協力していただけるということでしたので、もし協力いただけるのであれば協力をしていただきたいなと。
ただ、私が仄聞しているところによると、106万とか130万ですかね、そちらの方に重点を置いておられるということなんですが、これはもうご存じの通り、第3号被保険者の問題はどうするかとか、まだ不十分であっても今2年間の暫定措置が既に政府で打たれているので、これはこれとして一つ対策が打たれている中で、全くノーマークだった税の103万の壁については、国民民主党しか選挙をする上で主張していませんでしたので、これは我々が強く言うしかないし、もしご協力いただけるのであれば、それは本当にウェルカムな話なので、党派を問わずご協力、後押しをいただきたいなと思っています。
安倍:NHKの報道で国民民主の政党支持率が5.1ポイントアップして7.4%ということです。
先ほど他の記者さんからSNSの公表について話がありましたけれども、代表自ら動画の後押しもあったということで、国民民主党、多くの国民に支持されているのかなと思いますが、同時に兵庫のケースなんかを見ると、デマであるとか、誹謗中傷が跋扈するというようなこともある。
そういうのの中で、メディアの役割というものもますます重要になってくるのかなと思うんですが、そこについてはどんなお考えでしょうか。
玉木:我々30代以下の、39歳以下、これ日経新聞さんだと思いますが、支持率が1位になったということなんですけれども、おおむねですね、我が党も若年層の支持が固いというのは共通の傾向で出てきているなと。私はテレビがダメでSNSがいいという考えでもなくて、多様なメディアを通じて有権者や国民が物事を多面的に判断することができるようになってきているというふうにプラスに捉えています。
ただ、地上波の限界として、どうしても短い時間で放送機関の中で伝えなければいけない。
我々もよくテレビに呼んでいただいて発言するんですけども、例えばNHKの日曜討論もそうですけども、1分以内で点滅し始めるし、あと放送法があるので各党全部並べて同じく聞かなきゃいけないというような、ある種の限界の中で既存のテレビも苦労されているのかな、という気がします。
ただ一方で、ネットメディアにもよく出ることはあるんですけど、2時間たっぷりですね、政策だけ話すことができる。
これはもう地上波では無理ですよね。
ですから、いろんな形で情報を発信するこのメディアが多様化してきているので、そういった多様化したメディアに対応したですね、情報発信をこちら側も気をつけなければいけないし、受け取る側もいろんな形で情報を収集して吟味するようになっているので。
だから、若い人がネットに飛びついて不十分な情報で判断しているという仮説にも私は立たないんですよ。彼らはよく見てますから、真偽を。
だからそこはですね、ある種、フェイクニュースなどに対してどう対応していくのか。
これは特に外国勢力の影響が選挙などでも取り立たされるようになってきてますから、そこは何らかの対策が必要だと私も思いますけれども、基本的には、この自由な言論空間の中で、やっぱりフェイクニュースとか間違ったものはいずれ淘汰されていくと、言論の自由市場での淘汰が正しく行えるような環境をどう整えていくのか、憲法にもかかる議論なんですけど、そういったこともこれからしっかり考えていきたいなと。
まさにそれは憲法審査会などで議論すべき、あるいはしてきた話なので、新しい言論空間の在り方をどう作っていくのか、民主主義の基盤になりますからね。
技術の進展に伴って発信側も変わらなければいけないし、受信側もある種のリテラシーを高めていく、双方の努力が必要なのではないか、と思います。
トップ写真:国民民主党玉木雄一郎代表 2024年11月19日 東京・千代田区
ⓒJapan In-depth編集部