「2025年は“ヤマタノオロチの年”アンシャンレジームを打破する」玉木雄一郎衆議院議員
安倍宏行(Japan In-depth編集長・ジャーナリスト)
Japan In-depth編集部(山崎航太郎、麻生理花子)
「編集長が聞く!」
【まとめ】
・玉木議員は「103万円の壁」問題は、2、3月までヒリヒリした協議が続くと述べた。
・また2025年以降、与野党が乱立する「ヤマタノオロチ」のような時代が来ると予測。
・そのうえで、「アンシャンレジーム」を打破し、日本を引っ張りたい、と決意を述べた。
「103万円の壁」引き上げを巡る協議が越年する中、国民民主党の玉木雄一郎衆議院議員をJapan In-depthチャンネルに招き、今後の見通しについて聞いた。「103万円の壁」は、与党税制改正大綱で123万円へと引き上げられた。
国民民主党は178万円まで引き上げることを主張し続けているが、玉木議員は今回の引き上げを「二つの点で意味がある」と振り返った。
一つ目に、「103万円の壁」が動いたという事実だ。当初、与党側は基礎控除の引き上げをするには新規財源の確保を必要とすると主張していたにもかかわらず、今回はそれを必要とせずに達成した。1995年以来変わっていなかったこの壁が、動いた背景に「ご都合主義」的な与党の対応が見られたと振り返った。
二つ目に、与党の「対応のショボさ」だ。今回の引き上げで見込まれる低所得者への減税効果は、昨今の物価高騰に伴っていない。玉木議員は、これでは「生存権を保証できない」と指摘する。そもそも基礎控除は、衣食住に関わる生きるために必要なコストを賄う所得から税金を取らないという趣旨があった。玉木議員は「123万円では生きていけない」と指摘し、「税金を払う人」の目線に立った政治をするべきとして、178万円への引き上げの必要性を改めて強調した。
また、再開となった自民・公明・国民民主での税制協議は、来年の2月、3月まで「ヒリヒリと」した交渉が続くのではないかと玉木議員は予想し、結果によっては予算案の反対というカードも持っていることに触れながら、178万円までの引き上げに期待感を示した。ただ、この協議で何の進展もない場合は幹事長間の協議にレベルアップした方が良いのではないかという指摘に対して、玉木議員は明言は避けた。
重ねて玉木議員は、税制の政策決定プロセスが旧来のような少数者が密室で行っていたものから、秋の衆議院選挙以降、公になったことに触れつつ、これは「国民の声」であるはずなのに、国民民主党と自民党の間に「壁の引き上げ」に関する認識にギャップがあることに違和感を表した。
一方、来年は選挙イヤー。夏には東京都議選、参院選が控える。衆議院で過半数割れした与党は、参院選の過半数死守が大命題となる。当面、石破政権が続くとの見方が大勢を占める中、予算が通り本会議が終わってから、政局は流動化するのか。衆参同時選の可能性もささやかれる中、来年の政局について聞いた。
前回の衆議院選挙、議席数を4倍の28に伸ばし、617万票を獲得するという躍進を遂げた国民民主党だが、反省が残る部分があるという。それは「獲得議席の1割である3議席を他党に譲った」ことだ。次回の参院選では「しっかりと候補者を擁立し、受け皿を作ってパワーをつけて、納税者の立場に立った政策を推進できる力をつけたい」との決意を語った。一方、参院選公募に応募している人は急増しているという。現在、公認候補者については「約300人から公募が来て見切れないので、年末年始集中して見ます」と述べた。
また参院選に際して、日本維新の会からの共闘の呼びかけに否定的な見方を示した、と言われている件については、「戦いの土俵」の違いが要因であると言う。「協力的でないのではなく、一人区の勝負より、全国区と複数区で確実に議席を増やしていく」のが国民民主党の選挙戦略であり、一人区で他党と選挙区調整したり、予備選をするメリットはあまりない、との考えを示した。
また今後の選挙について、玉木氏は「与野党のマジョリティ政党が過半数を占めることは恒久的にないんじゃないか」との考えを示した。様々な党が乱立する中で、特に中道勢力は重要な役割を果たすとして、さらなる党勢拡大を目指している。
2025年は巳年である。まさに「ヤマタノオロチ(八岐大蛇:日本神話に登場する八つの頭と尾を持つ巨大な大蛇)」のように、各党が乱立して競争する年になるだろうと玉木氏は予測した。
来年をどのような年にしたいかという問いかけに対し、玉木議員は自民党など変わらない組織を「アンシャンレジーム(旧体制)」と表現、「蛇は脱皮しながら新しく生まれ変わっていく。逆に脱皮しないと死んでしまう」と述べ、旧体制を打破し、常に新しい自分たちを求める姿が大切になるだろうと、決意を新たにした。そのうえで、「日本を引っ張っていく巳年にしたい」と締めくくった。
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トップ写真)国民民主党玉木雄一郎衆議院議員
©︎Japan In-depth編集部
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この記事を書いた人
安倍宏行ジャーナリスト/元・フジテレビ報道局 解説委員
1955年東京生まれ。ジャーナリスト。慶応義塾大学経済学部、国際大学大学院卒。
1979年日産自動車入社。海外輸出・事業計画等。
1992年フジテレビ入社。総理官邸等政治経済キャップ、NY支局長、経済部長、ニュースジャパンキャスター、解説委員、BSフジプライムニュース解説キャスター。
2013年ウェブメディア“Japan in-depth”創刊。危機管理コンサルタント、ブランディングコンサルタント。