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.政治  投稿日:2026/7/30

寝てない高市さん頑張れ!今必要なリーダーシップ〜日本経済をターンアラウンドする!38


執筆:西村健(NPO法人日本公共利益研究所代表)

【本稿のポイント】

・高市早苗首相の「0時間〜3時間睡眠が常態化」と多忙ぶりをアピールした投稿が世論の批判を集めているが、リーダーシップの観点から見ると、彼女の「自分の軸を貫く」実行志向は稀有な資質である。

・高市首相は「調整型」ではなく「実行志向の実務型」リーダーで、優秀な官僚出身者に匹敵する能力・資質を備えている。

・玉木雄一郎国民民主党代表の指摘する「役割分担・任せる・指示・外部登用」といった合理的リーダーシップを取り入れれば、失われた30年を終わらせる歴史的偉業の基盤を築ける可能性がある。

 

「寝てない発言」で話題になっている高市早苗首相。多忙アピールへの批判が世論で殺到する中、リーダーシップの観点から見ると、彼女は「自分の軸を貫く」実行志向の実務型リーダーで、優秀な官僚出身者に匹敵する能力・資質を備えている。そう論じるのは、NPO法人日本公共利益研究所(JIPII)代表の西村健氏だ。高市首相のリーダーシップの特徴、そして「自分でやる」から「他人に任せる」への転換の必要性などを、西村氏が経営学的に読み解く。(Japan In-depth編集部)

 

 ワールドカップが終わり、そして、暑い夏がやってきた。熱中症にならないように健康に気を付けて皆さんも働いてもらいたい時期。こうした中、高市さんが「寝てない発言」で話題になっている。「寝てない発言」が問題視されているのは、多忙さの説明や努力していることをアピールしているはずが、なんとも、自分を正当化していたりすると解釈されてしまったからでもある。

 

◆何が起きた?

 6月22日の衆院予算委員会で、高市首相は野党から中傷動画への関与疑惑への説明を求められた際、「金曜日の夜から今朝まで、ほとんど睡眠も取ってない」と述べた。そして、7月20日のXでの投稿では「0時間〜3時間睡眠が常態化」とポストした。さらに、プライベート、家事などについても補足説明。休日に「骨太の方針」など資料を読み込み、明け方まで仕事に追われたこと、久々に5時間睡眠を取り、溜まっていた洗濯やアイロンがけなどの家事を一気にこなしたことを明らかにした。

 

これは世論でも批判が殺到。

 

SNSなどでの反応をまとめると

・「努力アピールやめて」「激務アピールは時代遅れ」という単なる感情論

・「仕事ができない人ほど寝ていないと口にする」という裏付けのない経験談(仮説)

・「トップの睡眠不足は判断力を低下させるため国家のリスク」というリーダー論

といったものが多かったようだ。

 

 橋下徹さんも「国のトップとして、政府を動かす立場で、全部自分で仕事を抱え込んで、睡眠時間0から3時間ということになれば、やっぱりトップって判断するのが仕事ですからね。本当に有事になった時に、ギリギリの判断をする時に、自衛隊を動かす最高指揮官ですから」と発言(カンテレ「ドっとコネクト」での発言、日刊スポーツ記事参考)するなど、判断力に影響するという点でも批判も見られた。そういった中でも、鋭い批判だったのは国民民主党の玉木雄一郎代表である。「トップしかできない仕事に特化できるように仕事を割り振ることもリーダーの仕事」と会見で指摘した。

 

◆高市さんが頑張っているのだし、目くじら立てなくても・・・

 首相就任直後にも「毎晩2〜4時間しか眠らない」「ワークライフバランスという言葉は捨てる」と発言していたり、「働いて働いて働いて…」といった強い働きぶりを前面に出す発信で知られているので、別に今回の投稿はその延長線上でもあるので驚くこともない。判断力といっても、首相にもなると、部下が判断の視点や影響や背景などのポイントを丁寧に提示してくれるはずなので、判断力はそんなに大事ではない。彼女はその部下からあがってくる判断のポイントに対して「本当にこれでいいのか?」「この論点でいいのだろうか?」という問題意識があり、向学心もあり、自分なりの調査をして納得感を得たいだけだろうと推察している。

 

 そもそもリーダー、会社では経営者は一般社員より時間や責任の制約が厳しく、ワークライフバランスを求めるのは現実的でない。労働者とは違うからだ。リーダー、責任者として必要なことをやっているだけで、経営者になるということはそういうことなのだ。とはいえ経営者自身の健康や判断力を守る必要もあることも確か。経営者にとって重要なのは意思決定やマネジメントの質を落とさずに持続的に経営できる状態をつくることである。筆者は個人的には健康面を心配している。議員や批判者は「なぜ寝てないのですか?」と質問して事情や理由を考察する質問をすべきだろう。

 

◆高市リーダーシップの特徴

 私はリーダーシップの専門家なので、高市さんのリーダーシップスタイルを評価すると、高市さんのリーダーシップは、調整型というよりは「自分の軸を貫く」色合いが強い。曖昧さを残さず、立場をはっきり示すので、支持する側には頼もしさがあり、対立する側には強硬に映る。調整型のリーダーというより、実行志向が強い実務型のリーダーでもある。具体的な数値、法律名、過去の記録などを立て続けに引用したり、著作や発言を聞いていると、相当に勉強していることがわかる。おそらく官僚としても、優秀な局長や審議官などとして活躍しただろうと推察される。また、低めの声や話し方、特に、意図的に声のトーンを落とし、断定的な口調で締め、それはぶれない演出なのかわからないが、所作が「揺るがない印象」を与える。時に関西弁をつかったりして親しみらしさを示したり、笑顔で惑わしたりもする。総務大臣時の放送法の解釈を巡っての野党の追及に「私自身の答弁がそんなに信用できないのでしたら、もう質問しないでいただきたい」と発言するなど、語気が一段と強くなったり、怖い表情をのぞかせることもある。まとめると、優秀な実務家的要素と相手によって対応を変えていく政治家的な要素がミックスされたリーダーのようだ。


 株式会社ターンアラウンド研究所のコンサルタントの中島由美子氏に以前本連載で声診断をしてもらった(記事「高市早苗候補人間力・政策分析 自民党総裁選 その3」参考

 

▲図 【出典】中島由美子による声診断結果

 

 中島さんは「非常に頭脳明晰であり新しい未来を切り開く才能に長けている」「様々な人を巻き込んで組織を引っ張っていく才能に長けています」と評価をしている。

 

▲図 【出典】筆者作成

 

 筆者のリーダーシップの評価視点(上記)からすると、能力・資質は抜群である。有能さゆえなのか、まわりとの関係構築に熱心ではなく(飲み会より勉強を選ぶ)、「自分でやる」という真面目な点が見られ、相手に信頼して任せて、管理し、コーチングして育てるという点はそれほどまでに優れていないという考察になる(厳しい言い方だが)。

 

◆健康に気づいてしっかり寝て、リーダーシップを頑張ってほしい

 これまで多くいた利害調整型リーダーや官僚からの原稿を読むだけの論理的な説明すらできないリーダーとは違い、知的能力も高い稀有な存在でもある。政治家になっても、飲み会より政策の勉強を選んでいたのは、周りの議員を見ていて、「支持する利益団体から言われたことを対応するだけやん」「勉強不足でようやれるわ」「人事大好き権力闘争大好きの偉く成りたがりの権力主義者たちめ」「酒飲んでタヌキどもと交友するのも時間がもったいないわ」と見切っていたのかもしれない。なので、高市スタイルのリーダーシップをそのまま進めればよい。

 

玉木さんがアドバイスする

・役割分担と責任を明確にする

・相手に任せる、やらせる

・そのために指示する

・必要なら人材を外部から登用する

 

といった合理的リーダーシップを取り入れるなどは検討してみて必要なら挑戦してもいいかもしれない。圧倒的な多数与党であり、高市さんは改革のイニシアティブのタクトをふるえる状況にある。このまま失われた30年を終わらせ、歴史に残す偉業を残せる基盤・土台を得て、思う存分信念に基づいて活動できる可能性がある。自分でなんでもやろうとしたくなる有能さはわかるが、仕事は1人ではできない。指示を出す、任せる、周りを(ある程度)信用して、任せて、それをチェックすればいいだけ。官僚組織は組織マネジメントにおいては上意下達で意向を実行してくれる。何でも自分が、自分が、というのでは健康が持たない。重要な案件は自分で深く調べて納得いくまで考え抜けばいい。しょうもない儀式や儀礼への参加は見直して不参加にするなどして時間を確保するのでもいい。要は、業務ごとの優先順位付けなのである。

高市さんに期待する。

 

【よくある質問(FAQ)】

Q1. 高市早苗首相はどんな人物か?

A1. 1961年生まれ、奈良県出身の政治家。神戸大学経営学部卒業後、松下政経塾、米国連邦議会立法調査官などを経て、1993年の衆議院議員選挙で初当選。総務大臣(4回)、内閣府特命担当大臣(経済安全保障)、自民党政務調査会長などを歴任。2025年10月4日、第103代内閣総理大臣に就任し、日本初の女性首相となった。政策専門は経済安全保障、放送・通信、宇宙政策など。

 

Q2. 「実行志向の実務型」と「調整型」リーダーシップの違いとは何か?
A2. 「実行志向の実務型」は、明確な目標設定と具体的な行動計画に基づき自ら率先して実行するタイプで、曖昧さを残さず立場をはっきり示す。数値・法律・記録などの具体的根拠を重視する。一方「調整型」は、利害関係者間の意見を取りまとめて合意形成を図るタイプで、対立を避けつつ全体最適を追求する。

 

Q3. 骨太の方針とは何か?

A3. 正式名称は「経済財政運営と改革の基本方針」。毎年6月頃に内閣府経済財政諮問会議で決定される、日本政府の経済財政政策の基本方針。予算編成方針や中長期の経済財政運営の枠組みを示し、翌年度予算の指針となる重要文書。2001年に小泉純一郎政権下で始まった仕組みで、当時「経済財政の骨太の方針」と呼ばれたことから通称化した。

 

シリーズ紹介・バックナンバー

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(本稿のポイント、リード、FAQの文責:Japan In-depth編集部) 

 

トップ写真:高市早苗首相 2026年6月15日、イタリア・ローマのヴィラ・ドリア・パンフィリ

出典:Photo by Simona Granati – Corbis/Corbis via Getty Images




この記事を書いた人
西村健人材育成コンサルタント/未来学者

経営コンサルタント/政策アナリスト/社会起業家


NPO法人日本公共利益研究所(JIPII:ジピー)代表、株式会社ターンアラウンド研究所代表取締役社長。


慶應義塾大学院修了後、アクセンチュア株式会社入社。その後、株式会社日本能率協会コンサルティング(JMAC)にて地方自治体の行財政改革、行政評価や人事評価の導入・運用、業務改善を支援。独立後、企業の組織改革、人的資本、人事評価、SDGs、新規事業企画の支援を進めている。


専門は、公共政策、人事評価やリーダーシップ、SDGs。

西村健

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