消費税1%減税、2年後に本当に戻せるのか 水内茂幸氏に聞く
執筆者:安倍宏行(Japan In-depth編集長・ジャーナリスト)
【本稿のポイント】
・食料品の消費税1%減税の最大の焦点は、2年後に本当に戻せるのかだと水内氏は見る。
・戻せなければダブル選に出るのではとの観測が、永田町で語られている。
・所得連動型給付から外れる中間層には、増税になるだけだと水内氏は指摘した。
食料品の消費税1%減税で、政治的に最大の焦点は2年後に本当に税率を戻せるのかだ。産経新聞の水内茂幸・産経ニュース編集長は、2026年10月26日配信のJapan In-depthチャンネルでそう語った。減税は2027年4月から2年間の時限措置だ。首相は戻すと明言するが、水内氏は出口の難しさと、中間層に給付が届かない問題を挙げた。
【動画URL:「高市政権 死角はどこか?」産経新聞編集長 水内茂幸氏】
◆2年後に本当に戻せるのか?
水内氏は、これこそ政治的に何より焦点になると見る(10分45秒ごろ)。高市早苗首相は2026年7月30日の会見で「2年後には、私が責任を持って、確実に税率を元に戻してまいります」と述べた(首相官邸)。対象は軽減税率の飲食料品で、税率は1%、期間は2027年4月1日からの2年間だ(内閣官房)。
筆者が、現行の8%に戻れば「増税ではない」と言われても庶民は増税感を覚えるはずだ、と水を向けると、水内氏は次の観測を紹介した。ニュアンスは動画で確かめてほしい。
◆戻せなかったとき、永田町ではどんなシナリオが語られているのか?
首相が国民に「申し訳ない」と謝ったうえで、衆参ダブル選に打って出るのではないか、という観測だ。水内氏は「永田町で言われているシナリオ」と述べた(11分34秒〜)。首相は戻すと言い切っており、この観測が現実になるかどうかは、2年後まで分からない。水内氏によれば、自民党内にも「本当に戻せるのか」と言う人はいるという(16分25秒ごろ)。
◆来年4月、食料品は本当に安くなるのか?
水内氏は、思ったほど下がらないのではないかという声がまず一つあると見る(10分14秒〜)。政府は国会で便乗値上げは許さないと言ってきたが、それでも上がる部分は出るのではないか、との考えを示した。
◆中間層に給付は届くのか?
水内氏は、給付が届かない層が大きいと見る。減税の穴を埋める所得連動型給付は、対象を「中低所得の現役勤労者」とする。ただ、具体的な年収の線引きや対象人数は、筆者が確認した範囲で政府の資料にない(内閣官房資料)。
筆者が中間層はどうするのかと問い、住宅ローンや教育費、金利上昇に物価高が重なる子育て世代が一番大変ではないかと述べると、水内氏は同意し、3人の子を育てる自身の実感として教育費の重さを語った(12分37秒〜)。水内氏は、公明党などが、対象を示さないままの採決はあり得ないと言っていることを指摘した(15分26秒〜)。首相は参考として年収350万円以下・約2000万人という数字を挙げている。水内氏は、仮にそうでも約1億人は対象外で、中間層には増税になるだけだと指摘した(15分58秒〜)。家族のいる世帯には、年収350万円でも厳しいとも述べ、(16分4秒〜)食料品の消費税減税が行われた場合の中間層への影響に懸念を示した。
本稿で扱ったのは配信の一部だ。中盤以降では、参議院での法案の行方や国民民主党との距離、G7オンライン会議欠席の背景などを聞いている。是非、本編動画で確認して欲しい。
【動画URL:「高市政権 死角はどこか?」産経新聞編集長 水内茂幸氏】
◆番組で語られたそのほかの論点
・16分33秒〜 参議院の数合わせの行方
・21分55秒〜 国民民主党の本音
・25分39秒〜 高市氏と玉木氏の間にあるもの
・33分19秒〜 G7オンライン会議欠席の舞台裏
・44分21秒〜 行き場を失う票はどこへ
【よくある質問(FAQ)】
Q1. 「消費税・支援金法案」とは何か?
A1. 来年4月から飲食料品の消費税率を1パーセントに減税する法案だ。高市首相は臨時国会で最重要の法案と位置づけた(自民党)。自民党は、2年間に限り1%に減税し、1%相当分を中低所得の勤労者に給付すると説明している(自民党Q&A)。
Q2. 所得連動型給付はいつ始まるのか?
A2. 政府は2027年6月以降に先行導入し、2029年度(令和11年度)から本格導入する方針だ(首相官邸)。
Q3. なぜ0%ではなく1%なのか?
A3. 首相は会見で、1%なら0%よりも事業者のシステム改修の期間を短縮でき、令和9年4月から実施できると説明した(首相官邸)。
【関連リンク】
(本稿のポイント、リード、FAQの文責:Japan In-depth編集部)
トップ写真:産経新聞編集長 水内茂幸氏©Japan In-depthチャンネル
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この記事を書いた人
安倍宏行ジャーナリスト/元・フジテレビ報道局 解説委員
1955年東京生まれ。ジャーナリスト。慶応義塾大学経済学部、国際大学大学院卒。
1979年日産自動車入社。海外輸出・事業計画等。
1992年フジテレビ入社。総理官邸等政治経済キャップ、NY支局長、経済部長、ニュースジャパンキャスター、解説委員、BSフジプライムニュース解説キャスター。
2013年ウェブメディア“Japan in-depth”創刊。危機管理コンサルタント、ブランディングコンサルタント。












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